火縄銃

火縄銃を撃ってみないかというお誘いがあったので撃つ。備忘録。

火縄銃は今現在、 狩猟に使われる散弾銃、ライフル銃、空気銃とは違い、古美術品扱いとなっており銃刀法の管轄内ではあるんだけれど取り扱いが違うようだ。

「1つの銃に1人の持ち主」が基本の散弾銃なんかは複数人シェアができない。 火縄銃は銃自体を登録しており、それを使用する際にはその都度、許可をとっているようだ。 その辺の手続きの方は火縄銃を持っている方のほうでやって頂いた。

なので今回撃った火縄銃は借り物。

撃つ場所は射撃場。 撃つと言っても弾は入れずに火薬を詰めただけの空砲だ。 黒色火薬を使っている関係で、その辺の畑で空砲を撃つというのも問題なようだ。

本当は鎧をつけるらしいのだが今回は鎧をつけずに撃ってみる。 鎧をつける理由は、武道としての継承 をしているというところと、実際の演舞などで使用する場合、鎧の動きにくさになれておかないと銃の取り回しが危ないというところだと理解する。

レクチャーを受けながら実際に火薬を扱ってみる。 火縄銃の銃口を上に向け、 予め量を測ってある黒色火薬をサラサラと流しいれる。 1回に使用した火薬は7グラム。 火薬量は増減可能なようなのだがあまり入れすぎると暴発につながる。弾こめるか、空砲なのかでも違っているそう。

火縄銃自体に 細い方が収納されているのでそれでトントンと火薬を押し込む。弾が入っていると重要な工程なのだろう。火薬だけなので軽くすんでしまう。 火縄銃自体に弾込めの棒がついていたのは初めて知る。あまり考えたこともなかったなあ。

火薬を詰めたら今度は火皿のほうに火薬を詰める。火皿から銃身のほうに細い穴が空いており、そこに薬を詰めることで導火線の役割をしている。 火皿に火薬を詰めたら火蓋をしめる。火蓋閉めとかないともう火がついちゃったら発砲しちゃうので。安全装置だな。

火縄をセットする。 火縄銃の火っていったいどこから用意するんだろうと思っていたけど、普通に長い縄に火をつけてそのまま持っていた。

火縄までセットできたら後は構えて撃つだけ。

火縄銃の構え方は猟銃とは全く違った。 肩に当てる部分がないので構えが不安定だからとりあえず頬付けしてみる。でもそれでも構えとしては違うと指摘される。鼻のすぐ親指がくるように構えた。頬付けというが、肩まで銃床があると仮定しての頬付けよりもっと顔の前に出しているイメージだ。

構えをしてから火蓋を開ける。火蓋を開ければもういつ着火してもいい感じ。

 

「 火蓋が切られる」は火縄銃からきている言葉だ。 火蓋を切るつまり開けるということはいつでも弾が発射されておかしくない状況だ。つまり戦いが始まるっていうことだね。「 火蓋が切って落とされる」は誤用だと言われるけど、扱ってみた感想としては切って落とされるの方でもしっくりくる。

というのは、 鉄砲隊の一斉射撃をする際に対象から掛け声があるけれど、「火蓋を切れ」の後に「撃て」の合図がある。火蓋を扱う際には銃を片手での持って、もう片方の手で火蓋をの開け閉めをしなければいけない。火蓋を開けてからもう一度構えて引き金を引くまでの所作にタイムラグがあり人によって差が出る。これでは一斉射撃にならない。なので 火蓋を切るだけで発砲までを意味するということには違和感を覚える( 火蓋を切った時点での暴発はありえる)。また引き金を引くと火が落ちて発砲ということになるので、扱ってみると「 火蓋を切って(火を)落とす」といった感じに取れるのだ。 

他の慣用句と混じることは多々あることなのでそちらの方が強いのだろうけれど。

他に「戦いの火蓋が切られた」というと、まだ一触即発ギリギリ、両陣営ともぶつかっていないというイメージである。発砲までしちゃえば始まっちゃったんだってな感じになるのだけど。火蓋を切った時点では緊張感高まりの頂点、超ドキドキって感じである。ボクシングのゴングがなるも両者にらみ合いってな感じ。火蓋は切られているけど、まだ火は落とされていない状態。単に始まりを意味するのではなく、そんな緊張感を表す言葉として「火蓋を切る」だったのではないかと。

混じった慣用句とされる「幕を切って落とす」は始まっている。戦場では発砲音が響き渡り、ボクシングなら両者激しい殴り合い的な。

扱ってみた個人の妄想みたいなものだけど。

 

かくして、引き金を引き発砲となる。引き金を引いてから発砲までのタイムラグは感じず。発砲音は気持ちのいい爆音だ。下手すると隣でやっていた散弾銃より音が大きい。

そしてちょっと熱い。火薬がちょっと飛んで顔にかかるのだ。火傷とまではいかないけれど服は焦げる。

撃った直後の反動はあるけれど、鼻先につけている状態から頬にかけて滑らせるように逃がすのでそこまできついと思わない。散弾銃をずっと撃っている方が肩が痛くなる。 その点、火縄銃の形体であれば身体へのダメージはそこまではないんだなぁと感心。 持ちにくいけど。

撃ち終わったらそのまま弾込めできるけれど、やっぱり弾込めのタイムラグは戦闘でのことを考えると 不利だと思う。

またお借りした銃には、引き金(トリガー)の部分に誤って引き金を引くことを防ぐためのトリガーガードがあるのだけれど、本来の火縄銃にはトリガーガードがないようなのだ。 現在使うにあたって危ないのでトリガーガードをつけたのか、現代に至るまでに改良があったのかはわからない。しかし、トリガーガードのない火縄銃が現存しているあたり実戦形式にはあまりにも向かないような気がしてきた。トリガーガードないだけで暴発しやすい。

よくこんなすぐ暴発するであろう構造の銃を使ってられるな。 こんな発想は現代の銃を使っているからこそなのか。

使い方のコツがわかっていないと不発も多い。不発だった場合の扱いを間違えれば大怪我もあり得る。

扱い方さえ覚えてしまえば、弓のように訓練に時間をかけることなく、十分に威力のある武器が扱えるというのは利点だ。1日の練習で弓を実践で使えるまでに扱えるとは思えない。

そして重かった。 比較的軽いほうの火縄銃を借りたのだけど、 何回も撃っているうちに腕がプルプルしてきてしまう。 原因は、火皿に火薬を詰めたり、火縄をセットするのに、銃を片手で支えていなければいけない場面が出てくるから。 火縄銃自体が4キロぐらいあるんじゃないだろうか。 両手で持っている分には何とかなるが片手で持っていると疲れる。

  

  

 

今後の火縄。

武道としての生き残りをかけているけれど難しい。法律上、火縄銃のレプリカが作れない限り、現存している火縄銃を手直ししながら使っていくしかなく、やはり物なので数が少なくなっていくわけで。技術継承も火縄銃自体がなくなってしまえばできないわけで。火縄銃を撃てる場所も限られている。いろんなお祭りてやっているけど、それには練習か必要で、でも練習するにも射撃場ならどこでも撃てるわけではないし。銃にも何にもお金がかかる。武芸として残すという建前上で、火薬を使用することに許可がだされているんじゃないかという現状。武道としてしまうと作法などが出てくるので敷居が高い。正装として鎧の着用とか。敷居が高いと新規に人が入ってこなくなる。火薬扱っている以上、怪我の危険性がつきまとうので気軽に声をかけるのは躊躇されるのは今回経験で感じた。続けていくのは大変だし、人を集めるのも大変だ。

しかし、考察するのに実際に撃ってみるということができるのは貴重だ。



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ケノユメ

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