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2018年 【開成中】国語記述問題 採点基準例

※採点の方法の詳細については、★採点方法の詳細★以降をご覧ください。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

一 問一 10点満点 文末は「気持ち」

【解答例】他の母親のグループが、自分が迎えに来たことを珍しがり残念がっているのがわかって、居心地悪く思っている。

【採点基準】
1(気持ち)
居心地が悪い/いたたまれない/つらい …④点
※「疎外感」に言及していても可。

2(1の理由)
他の母親のグループが、自分が迎えに来たことを珍しがり残念がっている/他の母親たちが、普段迎えに来ている夫が迎えに来ないことに違和感を示している/「彼女たち」が、普段送り迎えをしない自分を責めているように感じる …⑥点

一 問二 10点満点 文末は「点」

【解答例】稼ぎがない夫に対して、稼いでいる自分のほうが優位に立っているかのようなことを言ってしまった点。

【採点基準】
1 稼いでいる自分のほうが優位に立っているかのようなことを言ってしまった …⑧点
※「優位に立っている」は「上である/夫を見下している(=夫をさげすむ)」のような表現でも可。「お金を出す(=支える)のは当然である」のみの説明の場合には、4点のみ与える。
※「稼いでいる(=仕事をしている)」という内容がない場合には、2点減点。

2(1の比較対象としての夫の説明)
稼ぎがない/仕事をしていない …②点

一 問三 10点満点 文末は「から」

【解答例】自分は子どものころから優秀だと周囲にもてはやされてきたのに、卵焼き作りという普通の主婦にできることができないのが情けなかったから。

【採点基準】
1(気持ち)情けない/劣等感 …③点

2(1の理由)
普通の主婦にできることが自分はできない/みんなができることができない …④点
※「卵焼きくらい満足に作れない」という本文丸写しの場合には2点のみ与える。

3(背景)
子どものころから優秀だと周囲にもてはやされてきた …③点

一 問四 10点満点

【解答例】家族の中での自分の存在意義がなくなってしまうのが怖くて、素直に夫を応援できずにいたが、夫が慰めてくれたおかげで自分の居場所を感じられ、素直に応援できるようになった。

【採点基準】
1(―エの説明)
素直に夫を応援できずにいた/輝也の絵描きとしての成功を応援できなかった/夫にとっての好機を素直に喜べなかった/輝也が世間に認められることが受け入れがたかった …③点

2(1の理由)
家族の中での自分の存在意義がなくなってしまうことが怖い/家における自分の居場所
がなくなると思った …②点

3(―オの説明)
素直に夫を応援できるようになった/輝也の成功を願える余裕ができた …③点

4(3の理由)
夫が慰めてくれたおかげで自分の居場所を感じられた/輝也がありのままの自分を認めてくれたことで満ち足りた気持ちになれた …②点

二 問二

【解答例】
(たしかに)
大西社員の弁当は完売した
(しかし)
大西社員は完売後の一時間を無駄にし、最大限の利益追求ができなかった
(一方)
大西社員はすべての時間帯で弁当を売り、最大限の利益追求をした
(したがって)
小池社員のほうを高く評価する

【採点基準】
たしかに 5点満点
(大西社員を評価することもできる理由)
大西社員の弁当は完売した/大西社員のほうが多くの弁当を売り、売れ残ることもなかった …⑤点

しかし 5点満点
(大西社員を評価できない理由)
大西社員は完売後の一時間を無駄にし、最大限の利益追求ができなかった/大西社員は十八時から十九時の間は一つも売ることができず、お客様を最大限満足させられなかった …⑤点
※「大西社員は完売後の一時間を無駄にした」、「十八時から十九時の間は一つも売ることができていない」という内容のみの場合には、2点のみ与える。

一方 5点満点
(小池社員を高く評価することができる理由)
大西社員はすべての時間帯で弁当を売り、最大限の利益追求をした/大西社員は最後まで弁当を売り続け、お客様を最大限満足させられた …⑤点
※「大西社員はすべての時間帯で弁当を売った/大西社員は最後まで弁当を売り続けた」という内容のみの場合には、2点のみ与える。

したがって 5点満点
(小池社員のほうを評価するという内容があれば可) …⑤点

★採点方法の詳細★

すべての採点基準の記事の先頭に次の【全ての問題で共通のルール】を載せています。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

1つ目の●は、文末ミスについてです。例えば、「気持ちを答えなさい。」と問われているのに記述の最終部分を「から。」や「こと。」にしてしまっている場合には、1点減点してください。

2つ目の●は、誤字脱字についてです。漢字の誤り、送りがなの誤り、かなづかいの誤りのほか、単純に一文字抜けてしまっている等のミスについて、その都度1点減点してください。ただし、※にあるように同じ漢字や送り仮名等のミスは1回のみの減点で構いません。

3つ目の●は、句点の不備についてです。記述の最終部分に句点がない場合には、1点減点してください。

次に、例を挙げながら説明していきます。

【問題例】「のび太くんが目に涙を浮かべてバンザイをしている」とありますが、なぜですか。説明しなさい。(10点満点)



ここでは、解答例を次のようにします。

【解答例】好意を寄せるしずかちゃんに、バレンタインのチョコをもらえたうえに、自分の優しさを認めてもらえてうれしかったから。

採点基準は、以下の通りとします。

【採点基準】

1(きっかけ)

A しずかちゃんにバレンタインのチョコをもらえた/しずかちゃんが自分を気に入ってくれていることが分かった …②点

B しずかちゃんに自分の優しさを認めてもらえた/自分の優しいところが好きだとしずかちゃんに言ってもらえた …②点

2(しずかちゃんについての説明) 好意を寄せている/好き …③点

3(気持ち) うれしい/喜ぶ/幸せ …③点

※全体を通して「しずかちゃん」がないと、1点減点。


大きな解答要素は1・2・3の3つで、そのうち1はA・Bから成るので、実際には1A・1B・2・3の4つを解答要素として採点していくこととします。
すべての要素に / で区切った複数の文言を載せていますが、言い回しが異なるだけで内容は同じであることを示しています。採点する際には他の言い回しでもOKなのだということの参考にしてください。

では、子どもの答案を想定して、採点の練習をしてみましょう!

【答案例1】

しずかちゃんからの好意が伝わってきてうれしかったから。

【答案例2】

大好きなチョコを食べられて最高だったこと。

【答案例3】

好きな人からバレンタインのチョコをもらえるなんて夢のようだったから。

順番に見ていきましょう。

【答案例1】は、「しずかちゃんからの好意が伝わってきた」の1A②点+「うれしかった」の3③点=5点です。

【答案例2】は、「チョコを食べられる」ことと「チョコをもらえた」ことは意味が違うので1A無得点+「最高だった」は気持ちではないので3も無得点=0点です。最後が「こと」になっていて文末ミスもありますが、0点から減点することはできないので0点のままです。

【答案例3】は、「好きな人からバレンタインのチョコをもらえる」の1A②点+2③点-「しずかちゃん」がないことによる1点減点=4点です。「夢のようだった」は気持ちとしてカウントできないので、3の得点は与えられません。

以上のような感じで採点してみてください!
子どもたちも一生懸命書いています。目くじらを立てる必要はありませんから、おおよその方向性が合っていれば加点してあげてくださいね。

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