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FFJE article16 フランス語の中の外来語 〜初期の形成過程に注目して〜

Salut~~~, FFJE20期のShintaroです!
今回の投稿では、フランス語の中に含まれている外来語を、その初期の形成過程に着目しながら見ていこうと思います! (言語学に関しては初心者なので、一部で間違ったことを書いているかもしれませんが、ご容赦ください。)


 そもそもフランス語はいかにしてできたのでしょうか?一説によると、ガリア地方のラテン語が、それ以前に話されていたケルト語(ガリア語)を基盤として影響を受け、その後にそこに侵入して支配し始めたゲルマン民族の言語から上層として影響をうけてフランス語は成立した、といわれています。*1 (因みになのですが、ガリア地方とは現在のフランス・ベルギーの全土とオランダ・ドイツ・スイス・イタリアの一部にわたる地域に対するローマ時代の呼称で、カエサルに征服された後にラテン語が話されるローマ領となりました。*2 )

それでは、フランス語の形成に関わったその三つの言語に着目して見ていきましょう。
まずはケルト語です。ケルト語由来の単語はその大部分が名詞であるといわれています。*3 具体例としては、以下のものがあげられています。


   ガリア(ケルト)語     フランス語
       multo            →         mouton (羊)
      Lugdunum        →           Lyon (リヨン)
       Parisii           →           Paris (パリ!!w) *4


パリの“Paris“がケルト語由来だったというのは、びっくりですよね!

それでは次に、ラテン語についてみていきましょう。ラテン語からフランス語に入った言葉は「民衆語」と「学識語」の二つに分けられます。*5 前者は非常に古くから使われて続けているラテン語で、後者は16世紀ごろのラテン主義の流行のなかで、知識人や専門家たちが古典ラテン語や文筆家のラテン語から引っ張ってきたものです。 *6それぞれの具体例をあげると、以下のようになります。

民衆語:Chaud, Fille, Je… 学識語:Facile, Habiter, Tardif… *7

 
実は、“Je“はラテン語から来た言葉だったんですね。。。!

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南仏のアルルにある円形闘技場です。ローマの雰囲気が伝わってきますね。

それでは、最後にゲルマン語について見ていきましょう。フランスのガリア地域では、ゲルマン系のフランク王国による古フランク語の影響を強く受け、その後、9世紀のスカンジナビア民族のノルマンディー侵入で、ゲルマン系の古ノルド語と接触します。*8 それぞれの具体例は以下の通りになります。


古フランク語→古フランス語→現代フランス語
      ban(n) → abandoner → abandonner  (見捨てる)
その他にも “bâtir”や” hâte”、”sale”などが挙げられます。

古ノルド語→フランス語
                skipa→ équiper          (装備する)
    その他にも”joli”などが挙げられます。 *9


すごく似ている、というわけではないにせよ、共通点がある事が感じられるのではないか、と思います。

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ノルマンディー地方で有名な観光地の「モンサンミッシェル」
スカンジナビア人たちはこの辺りを疾走していたのでしょうか。。。

補足的になりますが、古ノルド語は、ノルマン・コンクエストを期に古英語に流入するのですが、同時期に古英語からもフランス語の影響を受けました。*10

 
古英語→フランス語
ēast → est
norþ → nord
    west → ouest   sūþ → sud *11

 
このように、フランス語はその形成の段階で既に多くの言語の影響を受けていました。形成段階以降においては、どのような影響を受けていたのか、非常に興味深いですね。


<<引用一覧>>

*1 石野好一「フランス語を知る、ことばを考えるー語彙の諸相2―」『ことばの世界』第7巻、愛知県立大学高等言語研究所、2015年、107頁。(https://aichi-pu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=2549&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1 2020年9月20日閲覧。)

*2 NTT Resonant「ガリア」(https://dictionary.goo.ne.jp/word/ガリア/ 2020年9月24日閲覧。)
Y-History 教材工房「ラテン語」(https://www.y-history.net/appendix/wh0604-015.html 2020年9月23日閲覧。)

*3 石野、前掲、107頁。

*4 同上、107、113頁。

*5 同上、124頁。

*6 同上、124頁。

*7 同上、124頁。

*8 上野貴史「ロマンス語語彙におけるゲルマン語の通時的影響―10世紀までのロマンス語語彙と古英語―」『広島大学大学院文学研究科論集』第76巻、広島大学大学院文学研究科、2016年12月25日、19頁。(https://www.hiroshima-u.ac.jp/system/files/77113/02_ueno.pdf 2020年9月22日閲覧。)

*9 同上、22~24頁。

*10 同上、24頁。

*11 同上、24頁。