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パラレルボトルシップ 第五章

パラレルボトルシップ / 第五章 雷雨

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え、嘘だ。そんな筈無い。ひろみち、はるみ、ひなこ。そんな筈無い。そんな。そんな。居なくなる筈無い。置いてかないで。お願い。助けて。助けて。飛び起きた。「夢か。」非常に不愉快な悪夢だ。

朝。ふと思ったが綺麗な花弁が舞い散る俺達の町に果たして戻る事が出来るのだろうか。今までは、生きることに必死で滅茶苦茶に探索しまくっていた。でも、このままこの孤島で過ごす事になりそうだった。考えた瞬間頭がおかしくなりそうだ。嘔吐ではなく、体内の何もかもを吐きそうだった。寝室を出た。

今日の天候は雷雨だった。雨に打たれようとどうなっても良い。少なくとも。考えたくないことを考えるよりは。ザザー。雨って良いな。今まで嫌いだったけど。よく見たら、船には様々な幾何学模様が連なっていた。どうでもいいけど。ザザー。何か、気を紛らわしたい。寒くて、ポケットに手を突っ込んだ。すると、不思議な感触を感じた。「これは、、、?」学校の時にポケットに入れたビニールだった。何かに使えるかも。そのまま戻した。

部屋に帰ったら、既に3人は起きていた。「どうしたんだよ、朝食も取らずに。」「よしあき君?顔色悪いよ?」はるみはひなこの質問のレスポンスを待たずに咄嗟に俺のベッドを整えた。「寝てなよ。どうせ今日は探索いけないし。」「いいよ。」「良くないよ。」ひろみちが背中を殴って来た。ベッドにうつ伏せに横たわった。「なにすんだよ。」枕を投げたがひろみちには当たらず。ひなこにあててしまった。「ごめん。」喋ってる途中に背中から枕が飛んできた。「ウワッ」はるみが投げて来た。そして、こう言った。「喧嘩はやめようよ。」

朝は揉め事で終わった。仲間割れの事態になったら。学校に戻れないかもしれないからな。俺様が一歩引いてやったんだよ。賢いだろ?な?な?な?まあ、その話はいいか。生きてる感触がない、この前から。なんでだろうか。ゴロゴロ。雷か。ドーン。船が揺れた。まさか。船のマストが打たれた?、、、やばい、打たれたみたい。焦げてるから。どうしよう、晴れたら修理するか?いや、そんな技術ない。諦めが良い事は自分自身の良い所であり、悪い所でもある。

甲板にバケツを置いた。なんでかって?水を貯めれば、色々使えるだろ。海水じゃとてもじゃないけど使えないよ。もしかして、俺、ひろみちより賢かったり?...そんなことないか。

一日中ぶっ通しで雷雨だったから、夜になってることに気付いてなかった。もう三人は寝たっぽい。ったく。呑気だな。まあいいや、バケツ見てくるから。...やった!めっちゃたまってるぜ!命の水だ!飲みたかったけど、せっかく貯めたんだから。それに、あいつらに聞いた方が良いしな。

今日は特に何も進歩がなかった、次の日に頑張ろう。ベッドに潜った。いつ帰れるんだろう。気付いたら涙が込み上げていた。4人がいるのに孤独みたいな感じがした。

眠いのに寝れない。そんなの初めてだった。結局、甲板に戻って来て、しばらく立っていた。深夜に、雨に当たりながら。


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