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細菌のグラム染色について

大腸菌の実験のことを調べているうちに「グラム染色」のことを耳にしました。グラム染色とは細菌を染色することでその細菌の特性が10分程度でわかり、抗生物質の効きにくさがわかるため、治療法の選択や感染症の診断に役に立ち、非常に強力なツールとなります。
少し調べてみたのでまとめを残しておきたいと思います。

グラム染色とは

グラム染色は、細胞壁の性質に基づいて細菌を2つのグループに分類する染色法のことです。1884年にデンマークの細菌学者ハンス・クリスティアン・グラムによって開発され、現在でも広く用いられています。グラム染色では、まず細菌にクリスタルバイオレットと呼ばれる染料を染み込ませ、次にヨウ素液でフィックスし、アルコールで脱色し、最後に細胞をコントラストとしてカウンターステインで染色します。

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グラム染色によって、細菌は2つのグループに分類されます。
グラム陽性菌:細胞壁が厚く、クリスタルバイオレットの染料を取り込み、青紫色に染まります。細胞の外側表面がペプチドグリカンという糖やたんぱく質、タイコ酸と呼ばれる物質の一層でおおわれ外側には外膜はありません。

グラム染色陽性

グラム陰性菌:細胞壁が薄く、アルコールで脱色されてクリスタルバイオレットを放出し、赤く染まります。細胞の外側表面は、グラム陽性菌よりも薄いペプチドグリカンの層とその外側に脂質やたんぱく質に富んだ外膜、この二層の間に細胞内に栄養分を取り込むための分解酵素や結合タンパク質を持つペリプラズム領域を持っています。(ちなみにグラム陽性菌は細胞壁の内側にこのペリプラズム領域を持っています。)

グラム染色陰性

なお、光学顕微鏡で染色の色と形状が確認できますが細菌名の特定は不可能です。抗生剤は、細胞壁を破壊することでこれらの細菌を死滅させる薬剤ですが、グラム陰性菌は外膜がカプセル様の「莢膜(きょうまく)」や粘液層で覆われたカプセル状の構造となっているものが多いため、マクロファージや好中球などの免疫細胞から貪食されにくく、グラム陽性菌よりも病原性が高い傾向があります。
つまり、
グラム陽性菌:病原性が低い
グラム陰性菌:病原性が高い

菌体の形状

グラム陽性菌とグラム陰性菌の菌体の形状には、それぞれ丸い形状をした「球菌」と細長い形状の「桿菌(かんきん)」があります。
よって「グラム陽性球菌」、「グラム陽性桿菌」、「グラム陰性球菌」、「グラム陰性桿菌」の4種類があります。このうち、医療現場で問題となるのは数が多い「グラム陽性球菌」と「グラム陰性桿菌」です。そして、大腸菌は「グラム陰性桿菌」です。

グラム染色は奥が深そうです。
こんな本が出てます(笑)

マニアックな本が出てます

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