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【風邪に使用される漢方】〜インフルエンザ予防にも〜

皆さんこんにちは

産婦人科医の内田美穂です。

皆さんの疑問に思っていることにお答えしていきながら、産婦人科を身近に感じていただくことでかかりつけの婦人科を探す際のご参考にお役に立てればと思っています。

今回は、「風邪に対して使用される漢方」についてお話したいと思います。

漢方は、一般的に長く飲まないと効かないと思われがちですが、実はもともと急性の熱性疾患の治療薬としてつくられたのが起源で、比較的早く効果が実感できます。



今回ご紹介する漢方について


以下の3つを紹介していきます。

①風邪のひき始めに効果のある漢方
②風邪がこじれて長引いている時に効果のある漢方
③風邪の回復期に効果のある漢方


①風邪のひき始めに効果のある漢方


まず、風邪のひき始めの漢方2種類をご紹介します。

一つ目は、葛根湯(カッコントウ)

一度は耳にしたことがあるかもしれません。

葛根湯は体力がある方の発熱、悪寒、背中のコリに効果があり、風邪をひいた時に汗をかかない方向けです。

二つ目は、麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシンントウ)

こちらは体力がない方で熱があまり上がらず、冷え性の方向けに使用される漢方です。

配合されている「附子」「細辛」という生薬は体を温めてくれる作用があります。


<効果をより高める服用のコツ>


これらの漢方の効果をより高める服用のコツについて説明します。

まずは一つ目、風邪の時は体を温めて発汗を促すことが大切であるため、服用の際はお湯に溶かして使用してください。

発汗は少し汗ばむ程度で十分です。

発汗後に身体が楽になる感覚が出たら漢方の服用は中止して構いません。

二つ目に、漢方服用後はお粥や温かいうどんなどを食べ、2時間ほど布団に入って体を温めて休めることが重要です。

そうすることで温熱効果を助け、早期に発汗を促し、治癒に導きます。


②こじれて長引いている時に効果のある漢方


風邪がこじれたときの漢方についてです。

先ほどご紹介した葛根湯や麻黄附子細辛湯はきかないため、「柴胡」という炎症を抑える生薬が含有した漢方薬を使用します。

有名な漢方は、柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)です。

これは柴胡がベースになっている「小柴胡湯(ショウサイコトウ)」と風邪の初期に使用される「桂枝湯(ケイシトウ)」という漢方薬をミックスしたもので、守備範囲が広い漢方薬になります。

常備薬を飲まれても風邪が良くならず、長引いた時に試してみてください。


③ 回復期に効果のある漢方


風邪の回復期の漢方についてです。

風邪から回復してもだるさや疲労感が残っている時、または毎年風邪をひいてしまう方の予防にお勧めなのが、補中益気湯(ホチュウエッキトウ)です。

補中益気湯は疲労倦怠感、食欲不振に使用される漢方ですが免疫機能を高める作用が報告されています。

インフルエンザ予防にも


インフルエンザの予防で補中益気湯を服用した人、服用していない人で検証した報告では、補中益気湯を服用した人の方がインフルエンザの罹患率が少なく、罹患した場合でも回復が早かったという報告がありました。

予防として是非お試しください。

冬場は風邪が流行る時期ですので、漢方も上手に使用して体調を整えてください。


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