見出し画像

【生理痛のお薬】ジェノゲスト~ピルとの比較~

皆さんこんにちは

産婦人科医の内田美穂です。

皆さんの疑問に思っていることにお答えしていきながら、産婦人科を身近に感じていただくことでかかりつけの婦人科を探す際のご参考にお役に立てればと思っています。

今回は、生理痛や子宮内膜症で使用される「ジェノゲスト」というホルモン剤についてお話したいと思います。


ジェノゲストの種類


ジェノゲストには、1㎎と0.5㎎の2種類のお薬があります。

  • 「1㎎のジェノゲスト」子宮内膜症や子宮腺筋症の病気がある方が使用するお薬で、生理痛を改善させる以外に、病変の縮小効果や子宮内膜症の手術後の再発予防効果があります。

  • 「0.5㎎のジェノゲスト」は、生理痛はあるけれど検査などで明らかな病気(子宮内膜症や子宮腺筋症)がない方に使用するお薬です。


内服方法


1日2回内服します。

朝・夕食後でも構いませんし、約12時間間隔で服用いただけるのであれば、いつ服用しても構いません。

基本的にはピルのような休薬期間はなく、ずっと連続で内服し生理を止めてしまうお薬です。

ただし、不正出血が気になる方は一時的な休薬を挟むこともあります。

生理痛のある方や子宮内膜症でピルを内服されている方が多いかと思いますが、ピルとの違いは何でしょうか?


ジェノゲストとピルの比較


ここからはジェノゲストについて、ピルと比較をしながらもう少し詳しく説明していきます。

<メリット>

ジェノゲストを内服するメリットは、主に2つあります。

ピルで心配される副作用が少ない

ジェノゲストでは、ピルで生じやすい吐き気や頭痛が少なく、血栓症やがんのリスクが上昇するということはありません。
したがって、ピルが飲めない方やピルの副作用が心配でお薬の服用を我慢しているような方でも比較的安心してお使いいただけます。

②生理を止めてしまうことができる

連続内服によって生理がなくなります。
生理はあった方が体にいいのではないかと感じている方も少なからずいらっしゃると思いますが、現代人は昔よりも約10倍生理の回数が増えているため内膜症などの婦人科疾患が増加しているといわれています。

また生理痛がある方は、生理痛がない方と比べて将来、子宮内膜症にかかる確率が2~3倍高いとも言われています。

ジェノゲストによって生理をなくすことは、内膜症の発症リスクを減らすことにもつながります。

<デメリット>

デメリットは1日2回内服しなければならないということ以外に、不正出血の頻度が多いということです。

ただし不正出血の量は少量~月経より少ない場合がほとんどで、2~3か月をピークにして徐々に減っていきます。

少量の不正出血が持続している場合、診察で異常が指摘されていなければ続けて内服していただいて問題ありません。


その他効果について


この他の効果についてですが、にきびに対しても悪化させることはありません。

避妊効果についてですが、連続で内服している場合で以下のことがあげられます。

  • ジェノゲスト1日用量1㎎(日本では0.5㎎を1日2回)→ 約95%排卵抑制率

  • ジェノゲスト1日用量2㎎(日本では1㎎を1日2回)→ 排卵が完全に抑制されたという海外の報告があります。日本では避妊に適応はありません。

余談になりますが、ピル、子宮内避妊具、卵管結紮など、この世の中に100%の避妊法はありません。

お薬を飲んだり、処置を受けたとしても確実な避妊をされたい場合はコンドームなどでの避妊併用をすることをお勧めします。


病気が隠れている生理痛も


多くの方が経験する生理痛
実は子宮内膜症などの病気があるかもしれません。

もしくは、今はなくても放っておいて将来子宮内膜症になるかもしれません。
内膜症は不妊症やがんになる可能性がある病気です。

生理痛は放置しないでジェノゲストやピルなどでケアすることをお勧めします。

さらに詳しく知りたい方は、医師に直接相談しましょう。

▼生理痛など生理に伴ってあらわれる症状にお悩みの方はこちらの記事もご参考ください


▼ただいま質問を募集しております!取り上げてほしいテーマ、お悩みなどございましたら下記フォームよりお寄せください
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeIjooWFNe3v79EYDILMY2qTAH4as2oke6geDpEFyaPG06Zg/viewform?usp=sf_link


▼関連動画はこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?