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Fieldism必聴新曲リスト September 2023 (Part.1)



前回の新曲特集はこちらから↓


''Buried Alive III'' ありがとうございました。

 ↑の記事を書いて以降、絶賛ロス中で何も手がつかず… いつもお世話になっております。Ryotaです。

 もう1か月以上放置していた新曲特集を再開していこうと思います。今回は導入部分はナシで、ちょっと書くことがまとまらないし何よりも遅れを取り戻したいので。



リストアップの条件ですが、下記2点です。
1. 9/1~9/15にフィジカル/ストリーミング/DL販売/MVのいずれかが解禁された作品(基本的により多くの人にアクセスできる手段を優先します)。
2. フルアルバム or EPのリリース時期がある程度明確にアナウンスされている作品の先行シングル、および既存楽曲のリマスターやカバー等は選出対象外。ただしアルバムのデラックス盤のみetc.に収録予定の楽曲は選出対象。

Polaris - Fatalism

シングル (9/1)

 オーストラリア・シドニーを拠点に活動しているメタルコアバンドの最新アルバム。メロディとヘヴィネスのコントラストを常に大事しながら、ブレイクダウンに頼らずフックのあるリフやメロディによりしっかり"聴かせる"アプローチに富んでいるバンドなのはもはや説明不要かもしれません。オーストラリアはもちろん日本でも高い人気を得ており、2019年にはLANDMVRKSと初来日。「モダンメタルコア」と標榜しているバンドは世界中に星の数ほどいますが、Polarisはその中でもトップクラスにクオリティが高いバンドだと思います。

 バンドでも中心人物を担っておりプレイヤーとしても評価が高かったGt. Ryan Siewが生前最後に携わった3rdアルバム ''Fatalism''は、「自分たちでコントロールできないものごとに対する諦観と恐怖と、それらを受け入れることの自由と安寧」を表現した逆説的な希望を探求した作品となっています。今作も上質なメロディ/リフワークに満ちていますが、テーマがテーマだけあって一段とダークでシリアスな印象が冷たいシンセ/エレクトロサウンドからも伝わってきます。特にアルバム最後のトラックTr.11 ''All In Vain'' はイントロやひねくれたリフワークからもその絶望感と不穏さが見え隠れします。あとはVo. Jamie Halesがクリーンを歌うTr.4 ''Overflow'' や2000年代後半のエモ要素をPolaris流モダンメタルコアに落とし込んだようなTr.5 ''With Regards'' もお勧めです。

 このアルバムを「悲劇」と捉えるかそうでないと捉えるかはリスナー各々の判断にゆだねられますが、個人的にはバンドの残りのメンバーが前進し、Ryanの遺産と功績を称えるという決断と取ったと捉えるほうが健全だと信じています。


HOSTILE EYES - Incurable Disease in the Hell of Hunger

アルバム (9/6)

 ''MORTAL,SAVAGE,BLASPHEMY'' をスローガンに、三重県を拠点に活動しているビートダウンデスメタルバンドの最新アルバム。今や伝説となったデスコアバンドMIRRORS(解散済み)のVo. Toshikiが並行しているバンドとしても有名ですが、こちらのバンドもそれに負けないくらい容赦ないです。激しいアップダウンに富んだ展開、容赦なく刻まれるスラミングとブラストビート、Toshikiのドロドロとしたガテラルボーカルなどブルータルデスメタルとビートダウンハードコアを融合させたサウンドは毎回ライブでも誰かしら〇人が出そうなくらい危険な感じに仕上がります。

 デビューアルバム ’'Disobedience'' 以来10年ぶりとなる待望の2ndアルバム ’'Incurable Disease in the Hell of Hunger''は、上述したブルデス+ビートダウンのクロスオーバーを主軸に、古き良きMyspace時代のデスコアやニューメタルまでも吸収したヘヴィネスとキャッチーさを両立させたスタイルに進化。昨年にシングルリリースされたTr.3 ''Hell of Hunger''を聴けばわかると思いますが、心休まる時が無いほどブラスト/スラム/ビートダウンが四方八方から襲い掛かってきます。個人的にアルバムで一番気に入ってるのは最後のTr.7 ''Incurable Disease''。苛烈なドラミングが際立つ序盤からキャッチーなツーステップパートに入る流れもそうですが、終盤のタテノリ感もニューメタルからの影響を感じて一番聴きやすいと思います。

 今年は一度Nicor in Punishmentの企画で観ているのですが、来月のDecasionの自主企画でアルバムリリース後初めて観るのでしっかり聴き込みます。


Nasty - Heartbreak Criminals

アルバム (9/8)

 ベルギー・ケルミスを拠点に活動しているビートダウンハードコアバンドの最新アルバム。容赦なく叩き込んでくるキレキレのビートダウンに次ぐビートダウンの嵐、ザクザクと刻まれる殺傷力の高いメタリックリフ、そして体格に恵まれたVo. Matthiの吐き捨てボーカルシャウトなど、極悪サウンドながらどこか軽いノリを感じさせる作風はヨーロッパでもWacken Open AirやGraspop Metal Meetingなど大規模なメタルフェスにも抜擢されるほど人気があり、過去3度来日したり彼らの楽曲にSANDのVo. MAKOTOがfeat.したりと日本ともかかわりが深いバンドです。

 前作 ''Menace'' 以来3年ぶりとなる8thアルバム ''Heartbreak Criminals'' は、ドイツの名門メタルレーベルCentury Mediaと契約した際にリリースされた前作同様チューニングは下がってはいるものの重量級のバンドサウンドと極悪ビートダウンは相変わらず健在。ここまでは「なんだいつものNastyか…」感じなんですが、今作一番のサプライズはTr.6の表題曲。最初の2分はいつものスタイルかと思いきやまさかのMatthiクリーンボーカル解放、そして泣きのギターソロまで飛び出してきて驚きました。Tr.11の ''Kiss from a Rose'' でもラップスタイルのクリーンボーカルだったりコテコテのペンタトニックなギターソロもフィーチャーされていてバンドとしても固定観念にとらわれずに試行錯誤している部分が見られます。



Shields - Bury Me

シングル (9/8)

 イギリス・ロンドンを拠点に活動しているプログレッシブメタルコアの最新シングル。伝説の映画監督Stanley Kubrickの実孫であるGt/Vo. Sam Kubrickが中心人物を務めているバンドで、テクニカルなメタルコアサウンドを軸に叙情ハードコアをはじめ多彩な要素を織り交ぜた作風が特徴的なバンドです。名盤 ''Life in Exile'' をリリースした矢先にGt. George Christieが急逝、その後はDr. Alex RaynerとBa. Lawrence WellingはOur Hollow, Our Homeで活動していたのをはじめ(現在は脱退)各々別々に音楽活動を続けていましたが、今年7月に突如として再結成を発表 & それに伴い新曲がリリースされました。

 5年間の沈黙を経てリリースされた最新シングル ''Bury Me'' は、Samの「できる限り最も典型的なShieldsのトラックを書くという純粋な意図があったが、最終的にはデビュー作の ''Jordan'' の影響も強く受けた曲になっていた」と語る通り、解散前のスタイルを踏襲したヘヴィネスと浮遊感を両立させたプログレッシブ/Djent調のメタルコアをベースに、Joe EdwardsのシャウトとSamのハイトーンクリーンのコントラストを際立たせた「これぞShields」と言わせんばかりの復帰作。夜驚症や不眠症などの経験に苦しんでいるものの視点から書かれているリリックにも注目です。

 もともとワンデイリユニオンで想定していたはずが、来月のAnnisokayのツアーを皮切りに翌年もライブスケジュールが決まっているらしく、また ''Life in Exile'' を超える作品が出るのか期待です。


Pain Of Truth - Not Through Blood

アルバム (9/8)

 アメリカ・ニューヨーク州ロングアイランドを拠点に活動しているハードコアバンドの最新アルバム。PDF SUMMER BASHを皮切りに、翌週のBLOODAXE FESTIVALまで来日ツアーが行われていたとおり現在話題沸騰中のバンドですね。90年代の古き良きニューヨークをはじめとした東海岸ハードコアへのリスペクトを込めながらも、ヒップホップ要素をはじめそれらを現代流にアップデートしたグルーヴィーでいなたいサウンドは、激しいライブパフォーマンスやパンチの聞いたリリックやワルい感じのアートワーク/世界観と相まってタフガイなハードコアバンドとして完成されています。

 3年ぶりの単独リリースとなるデビューアルバム ''Not Through Blood'' は上述したタフガイで叩きつけるようなハードコアサウンドで、MadballTrapped Under Iceなど先人たちへのリスペクトが込められた形であるべき姿で作られており、正直オリジナリティどうこうに言及するのはナンセンスまであります。音源に参加しているゲストアクトの数を見ればそれは必然であり、Anthony DiDio (Vein.fm) やSteve Buhl (200 Stab Wounds) など今を時めく若手から、Scott Vogel (TERROR), Freddy Cricien (Madball), Justice Tripp (TUI)など大御所まで参加した錚々たるラインナップを見ればこのバンドがどれだけハードコアシーンで注目されているかが客観的にわかるでしょう。

 インタールードの ''Same Old Story'' 含めて11曲26分とコンパクトな作品ながらも、一瞬たりともリスナーに休ませることなく駆け抜けていくスタイル、野暮なことは考えずにブン回しましょう。


Dying Fetus - Make Them Beg For Death

アルバム (9/8)

 アメリカ・メリーランド州アッパーマルボロを拠点に活動しているデスメタルバンドの最新アルバム。30年以上のキャリアを持つエクストリームメタル界のベテランで今も衰えを見せておりません。「死にかけの胎児」という名前にふさわしくサウンドも容赦なく、複雑且つテクニカルなギター・リフと超速ブラスト~ビートダウンまで大胆にギアチェンジする展開、そしてGt/Vo. John Gallagherを中心にガテラルをツイン・ヴォーカルで聴かせるスタイルには定評があり、アメリカの大人向けアニメ「サウスパーク」でも ''Second Skin'' の一部分が流されるほどデスメタル界では最大規模の人気を誇ります。

 前作 ''Wrong One to Fuck With''以来6年ぶりのフルアルバムとなる今作 ''Make Them Beg For Death'' は、Johnはじめ自分達のテクニカルさを信じこれまでに展開してきたサウンド・スタイルにさらに磨きを掛けた正統進化ともいえる作品。恥ずかしながら今まで彼らのような純粋なデスメタルは聴いてこなかったんですが、今作を聴いてみて「スリーピースでこのヘヴィさ、そしてこんなテクニカルなリフワーク弾きながらグロウルしてるのマジかよ」って戦慄しました。ビートダウン~2 ステップパート~ソロまで織り込んだTr.3 ''Feast of Ashes'' や、猛烈なスピード感がハードコアパンクの影響を感じるTr.4 ''Throw Them In The Van'' などハードコアにも通ずるものがしっかりと感じられました。

 このバンドがヨーロッパのとあるメタルフェスに出演した時、某国内メタルコアバンドのメンバーがハードコアモッシュしようとして現地のメタラーに止められた動画がバズってましたが、ハードコアの要素を取り入れている以上モッシュしてもぜんぜん問題ないでしょう。


Spite - Thank You, Again

シングル (9/13)

 アメリカ・カルフォルニア州ベイエリアを拠点に活動しているデスコア/ダウンテンポバンドの最新シングル。昨年リリースされたフルアルバム ''Dedication to Flesh'' は、一切キャッチーな路線に行かないエクストリームにヘビーでブルータルな作風を踏襲しながらも、よりデスメタルを意識した細かなリフワークや展開の緩急やブレイクダウンの入れ方など大きく幅を持たせてきたこともあって昨年リリースされたデスコアバンドのアルバムではトップクラスに好きな作品でした。その後Gt. Lucas GarriguesとDr. Josh Millerは脱退し現在はスリーピースになっています。

 先日リリースされた今作 ''Thank You, Again'' は脱退した二人が製作が携わっているかは時間だけが教えてくれると思いますが、穏やかそうなタイトルに反し前作同様ヘヴィーでブルータルな一曲。前作のオールドスクールなデスコア/デスメタル要素を取り入れた作風を踏襲しながらもじわじわと押し寄せてくるような圧迫感のある展開と、Vo. Darius Tehraniの悪魔のようなブチギレボーカルがその非情さを際立たせています。さらにはデスコア界の大先輩WhitechapelのVo. Phil Bozemanもfeat.で参加しており、貫禄溢れるグロウルでしっかりと楽曲の慈悲のなさを際立たせてくれます。

 リリースに際し、バンドは意味深な声明を投稿。この声明が意味するところは…彼らからの続報に期待です。


195 ich-kyu-go - NUMBERS

EP (9/13)

 「学歴無くても音出せます。俺らまだやれます。やらせてください」をモットーとし、大阪・吹田市を拠点に活動しているミクスチャーバンドの最新EP。様々なジャンルのイベントで精力的に活動しており、マコ(中卒)のルーツである多種多様な要素を加えたフリーダムな楽曲や、破天荒なライブパフォーマンスは一度観たものに強烈なインパクトを残します。筆者も大変お世話になっているバンドで6月には ''N.L.N.S''に出演、その後もSUBLIMINALSと一緒にBIGCATでa crowd of rebellionと共演したりと、絶賛お騒がせ中です。

 EPとしては1年ぶりのリリースになる今作 ''NUMBERS'' は、先行でリリースされた ''気絶 feat H. Taka (SUBLIMINALS)'' 含めすでにライブでも演奏されているキラートラック全5曲を収録。今作もハードコア/ヒップホップ/メタルなどを混ぜ込んだキッシュなサウンドと世界観を踏襲しながらも、モッシュを煽るブレイクダウンパートが前作よりも増えた印象。''N.L.N.S''でも ''気絶'' や ''Bloom into you'' はセットリストに入ってましたが、彼らの友達がぶち上がっていて笑顔でしたね。また、Tr.2 ''HODEN'' では人気のポップパンクバンドUNMASK aLIVEからVo. KDがfeatで参加。彼のエネルギッシュなクリーンボーカルは195 ich-kyu-goのヤンチャな楽曲にもしっかりマッチしています。

 最近なかなかタイミングが合わず観れてなかったんですが、先月Sleepless with Isabelleの自主企画に急遽出演決まっててそのフットワークの軽さに笑いました(もちろん観に行きました)。



Novelists - Turn It Up

シングル (9/13)

 フランス・パリのプログレッシブメタルコアバンドの最新アルバム。結成以来その華麗なテクニックとエモーショナルで美しいメロディ、カッチリしたタイトなメタリックサウンドを融合させたサウンドには定評があり、2018には来日も果たしており人気も高いです。昨年リリースされた4thアルバム ''Deja Vu'' はこれまで以上にエレクトロニクス・シンセなどを際立たせたコンテンポラリーなニューコア要素が際立つ作品でしたが、リリース後にVo. Tobias Richieは脱退。2度のフロントマン脱退という苦難がありましたが、バンドは新メンバーを加えて活動を継続する方針を取りました。

 三代目Voには2020年の作品''C’est La Vie''でゲスト参加した経歴のあるCamille Contrerasを携えた新体制初音源 ''Turn It Up'' は、これまで以上にチューニングを下げたヘヴィなリフと前作を踏襲した無機質なエレクトロニクスの間を、Camilleのエネルギッシュなクリーンボーカルが駆け抜けるあたり今までのNovelistsとはまた違った作風。しかし、Gt. Florestan Durand & Pierre Danelの流麗なダブルギターソロはどこまで行ってもこのバンドがNovelistsであることを再認識させてくれます。そして終盤までCamilleがクリーンボーカルで歌ってて「これライブで過去の曲やるときどうするんや」って思ってたらしっかりスクリームも出来ることが証明されたのも確信犯疑惑あります。


Magnitude - Of Days Renewed…

アルバム (9/15)

 アメリカ・ノースカロライナを拠点に活動しているストレートエッジ・ハードコアバンドの最新アルバム。5月にBRAVE OUT/NUMBERNINEのDr. HidetaによるBrightside Bookingで初来日を果たしたのも記憶に新しいかと思います(筆者は予定が合わず行けませんでしたが…)。STRAINSTRIFETRIALのような90年代初期~中期ニュースクールハードコアから強い影響を受けているサウンドや、分厚いグルーヴと高エネルギーの 2 ステップパートを取り入れたダンサブルなスタイルが特徴的で、「近年のストレートエッジハードコア」の筆頭格として名前が挙がることも珍しくありません。

 ''To Whatever Fateful End'' 以来4年ぶりのフルアルバムとなる今作 ''Of Days Renewed…'' は、上記で挙げた基本的な彼らのサウンドは踏襲しながらも、そのサウンドを支えるミックスも過度に調整されておらずエッジが効いてながらも生々しさを残している印象です。そんなモッシーでメタリックなサウンドに乗せられるリリックは「攻撃的なエネルギーをポジティブなものに変えるというバンドの使命」を貫いており、その中でもTr.8のタイトルトラックは「前進し続ける」という強い意志が込められた一曲、ライブでも定番曲になっている ''To Whatever Fateful End'' を超えるパイルオンが観れるのは想像に難しくありません。間奏やインタールードを省略し、休まる暇なく緊迫感に満ちた20分間を全力で駆け抜けていくスタイルも印象的です。


Resolve - Human

アルバム (9/15)

 フランス・リヨンを拠点に活動しているバンドの最新アルバム。フランスと言えばBetraying The Martyrs (先日解散してしまいましたね…), Novelists, LANDMVRKSなど一癖も二癖もあるビッグネームを輩出していることは言うまでもありませんが、このバンドも彼らの後を追うべく着々とヨーロッパを中心に話題を集めています。Arising Empireの特色というべきかヘヴィネスとメロディアスを両立させた整然なモダンメタルコア/ポストハードコアスタイルをベースにしながらも、ひねりの利いたシンセ/エレクトロサウンド、プログレ/Djentからポップミュージックまで昇華したアプローチの多彩さは興味深いものがあります。

 デビューアルバム ''Between Me and the Machine'' から約2年弱、「人間と機械の生命の間の空間を探索し、周囲を取り巻く実存の危機に飛びこむ」ことをテーマにした2ndアルバム ''Human'' は、前作でも顕著だった無機質なエレクトロ/インダストリアルサウンドをより冷たくソリッドにしたTr.1の表題曲から映画のような壮大な物語が始まります。しかし、Tr.2 ''Death Awaits'' のサビパートやTr.6 ''In Stone''やTr.11 ''Moonchild'' のように、無機質でスペーシーなサウンドだけでなく人間的な暖かさのある雰囲気 & vo. Anthony Dilibertoの伸びやかなクリーンが際立っており、その人間と機械の間の空間を行き来するサウンドは是非一聴して確かめてほしいです。

 Tr.3 ''Older Days'' ではten56.のVo. Aaron Matts & Paleface SwissのMarc Zelliがゲストで参加。トラップとエレクトロニクスを際立たせた楽曲と三者三様のボーカルスタイルは、うまくResolveの世界とバランスを取りながら作品として統合されています。


Invent Animate - Heavener

シングル (9/15)

 アメリカ・テキサス州ポートネチズを拠点に活動しているプログレッシブメタルコアバンドの最新シングル。今年の3月にリリースされたフルアルバム ''Heavener'' は、「悲嘆・不安・鬱・人間関係の葛藤といった感情に直面しながらも、最終的には平穏・安寧へと回帰していく」コンセプトをベースに、決して付け焼刃ではない意味のあるテクニカルな演奏とアンビエント要素が作り出すサウンドスケープとより豊かになった感情表現が見られた傑作でした。

 ただ、バンドはそれでもまだ欠けている部分があると気づいたのか、「アルバム全体の雰囲気を包括するような曲」をテーマに、B面としてではなく今作 ''Heavener'' をリリースしました。このバンドのウリである浮遊感とヘヴィネスの融合と緩急や、Vo. Marcus Vikのソフトな歌声から激情的なスクリームを楽しめるのはもちろん、大事なのは「“エンドロール”のようなものとして、すべてを1曲にまとめられるようにした」とだけあって先にリリースされたアルバムが持つ神秘的な空気感と喜怒哀楽に満ちた感情表現を4分30秒の楽曲に凝縮した緻密な構成。もはや神々しささえ感じます。

We Came As Romansとのオーストラリアツアーを完遂させ、現在は北米ヘッドラインツアー中の彼らですが、そろそろ日本来てほしいなとか思ってます。


HONORABLE MENSIONS

BUTTERFLY SCISSORS - You Still Have My Heart
シングル (9/1)

 ex-DIMLIMの烈 a.k.a QuakemakerとTidebringerのKurtis “Kala” Lloydによるプロジェクトのデビューシングル。初音源になりますが、すでにライブ自体は6月に行われていたそうでSLOTHREATをサポートアクトに携えていたようです(ちなみにこの時のサポートDr.はex-DIMLIMの鴻志)。知人曰く「misc. 期のDIMLIMからV系要素を排し、Issues成分をブレンドした作風」とのことですが、その時のDIMLIMでも特徴的だった細く鋭い響きサウンドメイク&マス/ギターロックのリフワークにKalaのハイトーンクリーンボーカルが合わさった作風は唯一無二。

SWANKY DANK - Everything
シングル (9/3)

 日本のポップパンク/ロックバンドの最新シングル。2010年代半ばのポップパンクといえばこのバンドのイメージが強く、特に当時Crystal Lakeに在籍していたRyo Kinoshitaとコラボした楽曲は今でも印象に残っています。2019年から活動休止に入っていましたが、満を持して活動再開したかれらがリリースした ''Everything'' は、エッジの効いた疾走感と爽快感抜群のサウンド、キャッチーで耳馴染みの良いメロディとシンガロングなど、彼らの原点に立ち返っている印象。11月には活動再開後初のワンマンライブも控えていてこれからの動向が楽しみです。


blue edge emotion - 21.262g
ミニアルバム (9/5)

 東京を拠点に活動しているメタルコア/ポストハードコアバンドの最新EP。Vo. Yukiのハイトーンクリーンとシャウトを活かしたツインボーカルスタイルで人間が本来持っている"光と陰"の二面性を表現しているバンドはa crowd of rebellionからの影響を強く受けています。今作 ''21.262g'' は、Vo. Atsushi & Gt. Shunが最後に携わった旧体制最後の作品としてリリース。Tr.3 ''grave'' やTr.4 ''teller'' のようなディストピア感あふれるエレクトロアレンジをバックにしつつも所々エモーショナルなメロディを取り入れたメタルコアチューンはVOCALOUDを聴いていた自分としてはある種の懐かしさを覚えます。

All is Well - I Hate Rain
シングル (9/6)

 大阪を拠点に活動しているポップパンク/イージーコアバンドの最新シングル。最近筆者はポップパンクのライブに行くことが増えてきたんですが、その中でもお世話になっているバンドの一つです。これ以上ないくらいわかりやすいサビのシンガロングパートからもわかると思いますが、雨の時の憂鬱な気持ちを吹っ飛ばしてくれるような明るいトラックとブレイクダウンで元気をもらえます。彼らに関してはライブでのVo. Daikiのエネルギッシュなボーカルや、彼とDr/Cho. Asakaの掛け合いもウリだと思うんで気になる方は遊びに行きましょう。11/3には自主企画もやるとのことです


Kings and Queens - Bye For Now
シングル (9/5)

 名古屋を拠点に活動している ''nu-EASYCORE'' バンドの最新シングル。今年の6月には自分の企画 ''N.L.N.S''でもトリを務めていただきましたが、今作はFor The Win来日ツアー名古屋編も兼ねた自主企画 ''BEAST OF EASYCORE'' に先駆けてリリース。ヘヴィさとポップさを両立させたサウンドと跳ねたリズムを際立たせたイージーコアサウンドは体が揺らさない方が不作法というもの。無邪気なクリーンボーカルから厳ついスクリームまで多彩に表情を変化させるVo. Ayatoも相変わらず隙がありません。


Changeless - R.A.M.E.N
シングル (9/8)

 ex-Story of HopeのGt. AJを筆頭に、各バンドで活動してきたメンバーを集結させ「理想のヘヴィーミュージックの追求 & ハードコアマインドの発散場所」として活動しているスーパーグループの最新シングル。1分半のショートトラックながらイントロからトップギアで爆走していくかと思いきや、「ぼーっとしてんじゃねぇよ」を口火に展開されていくモッシュパートはインパクト抜群。ライブで披露されたときには思わず目が覚めてスイッチ入りますねこんなん。ちなみにタイトルは ''Running And Moving, Enrage me Now'' の略です。


DOOMS OF GHETTO - Ruler of Retribution
EP (9/9)

DIVINISTと同じく残虐王国新潟 ''NORTHLANDPUREHATE'' に所属しているスラミングビートダウンバンドの最新EP。DoGといえば目出し帽をかぶったVo. Mahonの圧倒的な存在感にたがわぬ破壊力のあるグロウルや、ひたすらに慈悲のないスラミングパートが特徴なんですが、過去作の再録を含めそのサウンドを20分に集約した今作はもはや狂気。個人的にはTr.2 ''Throne'' のベースイントロからのビートアップや、RUTHLESS INHUMANITYも参加しているTr.3 ''World Demise'' の単音リフがお気に入りです。

ReVERSE BOYZ - PoziNega2000
シングル (9/14)

 West Side Unity所属、大阪を拠点に活動している''Freestyle Hardcore''バンドの最新シングル。先月行われたPDF SUMMER BASHにも出演を果たし先週渋谷Club Asiaで行われたWSUとFCMとの共同企画 ''NO COLD WALL''でもトリを務めているあたり徐々に大きなステージでも見かける機会が増えていますが、SUMMER BASHの直前にリリースされた今作もビートダウン+ヒップホップ/ハードコアを織り交ぜた彼らのスタイルが存分に発揮されている一曲。所々ガバキックやサイレンっぽいエフェクトを入れていてバンドのパーティー感を引き立てるアクセントになっていて面白いです。


VOMIT OUT RESTRICTION - My Heart
シングル (9/15)

 北海道・札幌を拠点に活動しているメタルコア/デスコアバンドの最新シングル。先日開催したBuried Alive IIIでキャリア初の道外公演を果たし、爪痕を残して帰っていったことは記憶に新しいです。先月リリースされたシングル ''My Heart'' は、同じ北海道の盟友Calls Name AgainのVo. Renをフィーチャーした一曲。直近でリリースされたシングル ''Downfall'' ''Break the cage''は攻め攻めなトラックだったので、面食らったとともにバンドの引き出しの多さが際立つ印象となりましたが、それでもテクニカルなリフワークは健在です。



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