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Fieldism必聴新曲リスト August 2023 (Part.1)

N.L.N.S & Sin Scriptureレコ発大阪編ありがとうございました。↓



前回の新曲特集はこちらから↓


9/30(土) ''Buried Alive III'' やります。予約は下記から。


 
季節の移り変わりは早いものでもう夏も終わりのようですね…。自分はまた喉と鼻をやられてしまいました。いつもお世話になっております。

 さて、8月ごろからハードコア/ポップパンクだけでなくモダンメタルコアも来日が続いていますが、もはや「ジャパンツアー」とは名ばかりの「東京公演のみ」ばかりが続く現状でも大阪に来てくれる数少ないチャンスを享受していました。

 8/18はオーストラリアのニューメタルコアAlpha Wolfの来日ツアーセミファイナル、サポートアクトにはPROMPTS & 来月のBuried Alive IIIにも出演してもらうEvilgloomが務めていましたね。Evilgloomは急遽出演できなくなった$ana£-monの代わりに、Buried Alive IIIで初大阪を控えている仙台メタルコアOptimistのGt. Sougoがサポートを務めていました。


 翌週8/24はSable Hillsヘッドライナーツアー ''CHAOS JP'' の大阪編、エクスペリメンタルメタルコアプロジェクトKnosisと、アメリカからベテランメタルコアバンドLike Moths To Flamesが初来日でした。大学時代から追いかけていたLMTF、''The Worst in Me''や''I Solemnly Swear'' やってくれたときはアオハル感じたっすね。もちろん最近の曲もよりヘヴィネスとアグレッシブさに磨きがかかっててバチイケでした。昔のライブ動画はあまり上手い印象なかったんですが、この4~5年で大きく化けた印象です。


 ここから9~10月は海外出張や自主企画とかが控えていて、ただでさえ今遅れ気味の更新がどこまで影響するのかはわかりませんが、可能な範囲で頑張ります。


前置きはこれくらいにして、今回も行きましょう。


リストアップの条件ですが、下記2点です。
1. 8/1~8/17にフィジカル/ストリーミング/DL販売/MVのいずれかが解禁された作品(基本的により多くの人にアクセスできる手段を優先します)。
2. フルアルバム or EPのリリース時期がある程度明確にアナウンスされている作品の先行シングル、および既存楽曲のリマスターやカバー等は選出対象外。ただしアルバムのデラックス盤のみetc.に収録予定の楽曲は選出対象。

coldrain - NEW DAWN

シングル (8/2)

 SiM, Crossfaithらとともにラウドロックというジャンルを全国区に浸透させた名古屋発バンドの最新シングル。昨年の7月にはファンの間でも最高傑作と名高い7thアルバム ''Nonnegative'' をリリース。コロナ禍で抱えていたモヤモヤを逆噴射させた凄まじい衝動、「コロナ禍で陥ったマイナスの状況を0にする」というコンセプトはオーディエンスとの一体感やストレートに殴り掛かってくるようなリリックでラウドロックの純度を極限まで仕上げた作品でした。今年の2月には3年ぶりに ''BLARE FEST'' を開催した彼らですが、ここに来て「新たなる夜明け」を示唆する新曲を投入してきました。

 ''Nonnegative'' 以来1年ぶりの新曲となる今作 ''NEW DAWN'' は、アニメ『BASTARD!! –暗黒の破壊神– 地獄の鎮魂歌編 (第二期)』のオープニングテーマにも抜擢されており、Vo. Masato曰く ''coldrain史上一番メタルな曲'' とも語っているインパクトあるナンバーになっています。ソリッドでアグレッシブなリフワークや爆発的な疾走感は ''MAYDAY'' や ''Rabbit Hole'' を彷彿とさせますが、1サビ終わった後のGt. Y.K.Cのギターソロや大サビ前のヒロイックなリードパートをはじめBullet For My Valentineにも近いメタルのソリッドさをcoldrain流に昇華したラウドロックスタイルは流石。

 16周年を迎え、コロナ禍後初の対バン全国ツアーやセットリスト投票ワンマンツアー、最後には愛知・日本ガイシホールでの凱旋アリーナライブも控えていて休むことなくライブスケジュールが埋まっている様子。実はまだ一度も観たことないのでそろそろ行こうかと考えています。



VOMIT OUT RESTRICTION - Break the Cage

シングル (8/3)

 北海道・札幌を拠点に活動しているメタルコアバンドの最新シングル。冒頭のフライヤー見ればわかる通り来月末のBuried Alive IIIに出演していただくバンドです。詳細もろもろは後日リリース予定の書くバンド紹介で語るのですが、5月末まで募集していた公募枠から選出しました。昨年2月にはデビューEP ''FIVE'' をリリース、国内外のメタルコア/プログレ/デスコアを吸収したハイブリッドなサウンドと引き出しの多さで筆者の目に留まりましたが、今年に入ってCalls Name AgainのDr. Rita主催企画でC-GATEとの共演を果たしたり、キャリア史上最もヘヴィな ''Downfall'' をリリースしたりと徐々に注目を集めています。

 「シンプルで乗れる曲をライブでやりたい」というVo. Kotaroの発案から始まった今作 ''Break the Cage'' は、これまでGt.GarsuuとBa.キクチショウヤが曲の基盤を作っていた(=時折ド変態でテクニカルなフレーズもいれるそう)スタイルとは打って変わって、スタジオに入って楽器隊とボーカルで意見をすり合わせながら作ったとのこと。、ツービート・シンガロング・モッシュパートなどメタルコア/ハードコアの様式美を詰め込み無駄をそぎ落とした楽曲は火影のフロアライブでも熱量を共有できること間違いなしでしょう。Kotaroのボーカルスタイルもハードコア寄りになっているのもポイント。

 先述した通りBuried Alive IIIに出演するのですが、今回が初の道外での公演とのこと。東京・福岡・仙台・大阪・新潟と各地のライブシーンでバリバリ活躍しているバンド達相手にどこまでかませるか注目です。


PartyPeak - No Place

シングル (8/3)

 神戸を拠点に活動しているツインボーカルメタルコア/ポストハードコアバンドの最新シングル。7月まではColor of Threadとして活動しており、SUBLIMINALSと同じく今の大阪のメタルコア/ポストハードコアの代表格としてPROMPTSGraupelとも共演を果たし、4月には兼ねてからサポートを務めていたGt. MVCKYが正規加入。同時にリリースしたシングル ''Lost in Misery'' はそのバンドの名前を大阪だけでなく県外にも認知度を拡大せさせるきっかけとなりました。そして今月に入り、Gt. Daikiがバンドを離れ新体制になったことで改名をアナウンス。PartyPeakとして新たな出発を遂げました。

 改名後一発目のシングル ''No Place'' は、メタルコアを基軸にデスコア, R&B, ヒップホップ, EDMなど多種多様なジャンルを組み合わせたモダンなサウンドをより「パリピ」な方向に振り切った一曲。SUBLIMINALSの音源でもおなじみMai Miyazaki氏が手掛けた鮮やかなアートワークからもそういう雰囲気がしますが、目玉は曲中で出てくるEDMパート。これまでもSEなどで導入していた節はありましたが、ここまで大胆に取り入れたのは初めてでは?と思いますね。UNIONS, Winsethの系譜を継ぐツインヴォーカルスタイルは今回も冴えわたっており、Itsukiの苛烈なシャウトとNM Ryutoのクリーンのメリハリも楽曲の展開のドラマ性を後押ししています。

 こちらも来月末のBuried Alive IIIに出演が決定しており、筆者も彼らを呼ぶのは2020年の ''Stay Nerd / Stay Emotional'' 以来約3年ぶりなので、関西代表として県外勢とのガチンコバトルを期待しています。

Humanity's Last Breath - Ashen

シングル (8/4)

 スウェーデン・ストックホルムを拠点に活動しているプログレッシブデスコアバンドの最新アルバム。''Thall'' というワードの発祥となった、DjentバンドVildhjartaのドラマーであるBuster Odeholmが中心人物として活動しているバンドで(このバンドではギタリスト)、お国柄なのかブラッケンドハードコアにも接近したどこまでも無機質で冷酷な音像、ホラー映画のサウンドトラックを彷彿とさせる大仰なシンフォニックアレンジ、複雑な展開と重苦しいグルーブが交錯する展開と、計算しつくされたオリジナリティあふれるサウンドが魅力です。BusterはVICTIMOFDECEPTIONIn Denialなど日本のバンドの作品のサウンドエンジニアリングにも携わっておりますが、ここでもその手腕が遺憾なく発揮されています。

 前作 ''Valde'' 以来約2年のスパンを空けてリリースされた今作 ''Ashen'' は、先に上げた奥行きのある冷酷で重厚なサウンドを余すことなく堪能できる作品に仕上がっており、オープニングからも膨大な音の情報量、細かい音の配置や空間作りのこだわりが感じられるでしょう。ヘヴィさや音像に耳が注目しがちではありますが、Tr.2 ''Linger'' の高音リードやTr.4 ''Withering'' & Tr.10 ''Passage'' のコーラスのメロディがバンドの世界観を壊さない絶妙なラインで加えられており、それらがバンドの多面的な地獄のようなサウンドを引き立たせています。ただ押しつぶされるだけではなく、四方八方から迫ってくる圧迫感を耳で体験できるのはおそらくこのバンドだけでしょう。

HERWIT - NOT FOR YOU

ミニアルバム (8/6)

 ダウンテンポWEDGE//BRINGER~メロディックハードコアmakeshiftと渡り歩いてきたVo. Naoki & Ba. Ryota、トラップメタルDOWNSIDEの元メンバーGt. TK、そしてモダンメタルコアLost in againのDr. mikotoと錚々たるメンバーによって結成されたニューメタルコアバンドのデビューミニアルバム。W//Bにも通ずる全身の血の気が引くような不気味でドロドロとした病んだ雰囲気が開示アするサウンドは、デビュー当時からコアなリスナーの間でも話題になっていましたが、その''Liminal Space''を彷彿とさせる「聴きなれているようで斬新」な絶妙なバランスを行った作品をドロップしてきました。

 ミニアルバム ''NOT FOR YOU'' は、先に上げたサウンド(わかりやすく言えばSworn Inに近いものがあります)を象徴するかのように綿密に仕上げられた病み深い世界観が癖になる作品。WEDGE//BRINGERの時は低音グロウルがメインだったNaokiですが、makeshiftを経由して得た悲鳴のような狂気を感じさせるシャウトも特徴的です。また変拍子を交えた展開・メリハリをつけたドラムワーク・時折挟まれるホラー映画のような不穏なシンセアレンジもただヘヴィさだけを強みにしている多くのニューメタルコアバンドとは一線を画すポイントだと思います。

 先月末のINNOCENCEで久しぶりにNaokiに会ったんですが、Buried Aliveの出演に関しては「いつでも準備できてます」と前向きな様子。個人的にはINKLXSHAAltar of Dementiaと一緒に呼びたい欲が強いです。


C-GATE - KING OF HELL

シングル (8/8)

 長野出身で現在は東京を拠点に活動しているメタルコアバンドの最新シングル。昨年は結成10周年を記念して現体制、おそらくキャリアでも最も動きのあった1年を過ごし、関西のライブイベントにも幾度となく出演、今や世界で活躍している花冷え。との共催企画 & 旧体制ワンデイリユニオン含めた10周年企画を実施。今年に入ってもその勢いは止まらず、年始には2017年以来5年ぶりかつ現体制初のフルアルバム ''NO FUTURE'' をリリース。ますます先鋭化していくヘヴィさとともにコンスタントに活発を続ける彼らですが、ここにきて新曲をリリースしてきました。

 先月彼らが招聘したアメリカのメタルコア/ハードコアVarialsの来日公演に合わせてリリースされた今作 ''KING OF HELL'' は、昨年リリースされた''Hypocrisy'' を彷彿とさせる禍々しいジャケットが楽曲の苛烈さを象徴していて聴く前からテンションが上がりますが、楽曲もかつて「モッシュパートしか作れない」とGt. Ryo a.k.a. Banger Factory from 026が昔言っていた通りハードコアからの影響をストレートに受けたモッシュ/ツーステップ不可避な一曲に。ゆっくりと巨人が迫りくるような緊張感と絶望的なアウトロのブレイクダウンは地獄そのもの。対照的なTr.2 ''VOICES'' はC-GATEの一つの側面でもある叙情的でヒロイックなリードギターも顔を出しますが、ブレイクダウンは処刑用BGMみたいで絶望しか感じません。

 サウンドエンジニア/サポートベーシストも務めている田浦楽 (Crystal Lake, SOUL JAPAN)のバックアップもあって積極的にメタルコアに触れる機会を作り続けているC-GATE、前述のVarials来日公演時は破格の前売り3,000円だとか…純粋にリスペクトです。

To Kill Achilles - Recovery

アルバム (8/11)

 スコットランド・ダンディーを拠点に活動しているポストハードコア/メロディックハードコアバンドの最新アルバム。2020年にドイツの大手インディーズレーベルArising Empireと契約し、7年ぶりのアルバム ''Something To Remember Me By'' をリリース。そのエモーショナルながらもピアノやストリングスなどを豊富に用いたアレンジや引き出しの多さを巧みに駆使し、作中の主人公が生きていく中でさまざまな困難に直面し、最終的に自らの命を絶つまでの12ヶ月間とその後の反響を描いたドラマ性にあふれた作品は各所で高評価を得ましたが、ここに来てそのハードルを越えていく大作をドロップしてきました。

 約3年ぶりのフルアルバムになる今作 ''Recovery'' は、人間の感情の井戸を深く掘り下げる、生々しく感情的なソングライティングを活かし、前作の苦悩・混乱・喪失を描いた物語とは対照的な、再起を描いたストーリーテリングが中心になっています。音楽的な側面でも前作以上に多彩なアプローチが随所に加えられており、Tr.2 ''Chemical Counterpart'' ではDr. Kieran Smithのクリーンボーカルを導入させ、Tr.6 ''Fifteen Years'' ではインディーズ/オルタナティブロックの影響を感じさせたり、アルバムの最後を飾るTr.11 ''Recovery'' ではサックスまでも取り入れていてリスナーを飽きさせないアレンジが豊富に盛り込まれています。

 暗いオープニングから徐々に希望に満ちたエンディングまで、その巧みなソングライティングと多彩なアプローチにあふれた楽曲で物語を彩る本作、個人的にはかなり刺さりました。


SBE - TRICKSTER

EP (8/12)

 岩手・盛岡を拠点に活動しているエモーショナルロックバンドの最新EP。2018年にSurrounded By Enemiesとして活動を開始し、始動初年度で盛岡市の中心市街地で開催される「いしがきMUSIC FESTIVAL」への出演、そしてCOMING KOBEの出場枠のオーディションにもなっている「Battle de Egg 2020」に決勝まで勝ち進んだりと、早くから注目を集めてきました。昨年に入り東京でのライブの頻度も増え東北外のリスナーからも人気が高まってきている最中、4月にかねてから略称で用いられてきた現名義に改名。先日ついに現名義初の音源がリリースされました。

 2ndフルアルバム ''NewtroGrade'' から1年半のスパンを開けてリリースされた今作 ''TRICKSTER'' は、ジャズ・ヒップホップ・エレクトロなど幅広いジャンルを網羅したエモーショナルロックスタイルをベースに、シンガロングパートやツービートなど勢いに満ちたよりライブでの盛り上がりを意識したアプローチが多くなっています。コロナ禍にたまったフラストレーションを爆発させたTr.1 ''Non-Fiction'' に始まり、メンバー達がこれまでの活動や人生を振り返り、未来に向かって突き進んでいこうという決意を表したTr.3 ''SIXTH'' ~ Tr.4 ''Hey…'' と、キャッチーとアグレッシブを両立させた楽曲が揃っています。

 タイトル通り誰しもが持っている「二面性」を表現した今作、今月の仙台編を皮切りに11月までリリースツアーが実施されるようなのでまだ観ていない方はチェックしておきましょう。10/13には大阪にも来るそうです。


CYANSEA - 4D E

EP (8/12)

 大阪出身、現在は東京で活動しているメタルコアバンドの最新シングル。2020年末始動 & 2022年にライブ活動開始ながらも各メンバーの豊富なキャリアはもちろん、メタルにとどまらずトラップビートやテクノなどのエレクトロサウンドを大々的に取り入れた予測不可能な展開に満ちたスリリングな楽曲で徐々に注目を集め、昨年にはBuried Alive IIにも出演いただきました。今年に入って東京に活動拠点を移しましたが、最近ではバックモニターに映像を映し視覚的にもそのアーティスティックな世界観への没入感も兼ね備えており、より前衛的なバンドとして頭角を現しています。また、音源やライブ演出にとどまらず、ビデオディレクションやマーチデザインも自分たちで完結させているのも強みの一つ。

 1st EPとなる今作 ''4D E'' は、昨年に先行でリリースされたシングル3曲を含め(SE含め)全18分8曲で構成され、今作の始まりTr.1 ''m e''とトラップミュージックとスラッシュメタルを融合させ最後にはSUGGESTIONSのNiikのfeat.が顔を出すTr.2 ''Divergence.186'' が始まれば、そこから先はメタルやEDMはもちろんジャズやクラシックをも吸収した独自の音楽、Gt/Prog/Vo. MasayukiのクリーンボーカルとVo. Hayataのスクリームが織りなす「自分」をテーマにしたリリックと、時代が追い付かないほど前衛的でユニークな没入感をリスナーに与えてくれます。個人的には今作が初収録になるTr.6 ''Drydream'' がお気に入りです。チョップ/グリッチに見せかけて転調しているのが面白いです。

 

ERRA - Pale Iris

シングル (8/17)

 アメリカ・アラバマ州バーミンガムを拠点に活動しているプログレッシブメタルコアの最新シングル。2021年にはキャリア最高傑作と名高いセルフタイトルアルバムをリリースし、Djentやメタルコアを基軸としジャズやフュージョンを経由した綿密なテクニカルフレーズ、そして味付けされた無機質なインダストリアルやニューウェイブ的アレンジは、ERRAが持つ多層的で奥行きのある世界観を提示し、プログレッシブメタルコアの基準をまた1段上に上げてしまいました。昨年デラックス版をリリースしたことで一つのアルバムリリースサイクルを終えたERRAが次にどう進化するのか、その方向性を示唆する新曲が先日リリースされました。

 リリースは昨年夏のシングル ''Pull From The Ghost'' 以来約1年ぶりとなる今作 ''Pale Iris'' は、爆発的かつ勢いのあるイントロながら無機質な音像のインダストリアルサウンド、そしてGt/Vo. Jesse Cashの伸びやかなクリーンボーカルという近年のERRAのスタイルを踏襲させながらも、より解放感と緊張感にメリハリをつけた一曲。目まぐるしく駆け巡るような前半とは対照的に中盤以降はダークで閉塞感のある前振りとブレイクダウンが顔を出し、リスナーに緊張感を持たせています。おそらくキャリアでも最も低いチューニング (Drop LowD#)で本来であれば8弦ギターが必要なはずですが、MV観る限りは7弦で演奏されています。

 色彩豊かな世界観が特徴的だった昔とは対照的に、近年はモノクロで無機質な雰囲気が似合うようになってきましたが、次回作もこの路線で行くのか気になります。


HONORABLE MENSIONS

Exes on TV - One Night Stand
シングル (8/2)

 大阪を拠点に活動しているエモ/ポップパンクバンドの最新シングル。Panic! At The Discoの楽曲の名前を借りたこのバンド、筆者は''N.L.N.S''前後あたりから大阪のポップパンク/メロディックパンクにも顔を出しているのですが、Vo. Takumiのパッションあふれるボーカルスタイルが魅力で音源でもライブでもその熱量がダイレクトに伝わります。この曲もポジティブなエネルギーを爆発させた元気いっぱいのバンドサウンドともマッチしているのでまだ観たことない人は要チェック。


No Life - Delinquent
EP (8/3)

 ニュージーランド・アオテアロアを拠点に活動しているメタルコアバンドのデビューEP。キャリア初期からSilent Planetをはじめ多くのアーティストをサポートしてきた実績があります。アートワークの「不良」という2文字が目を引く今作は、ヘヴィなニューメタルコアをベースにThe ProdigySlipknot影響下のインダストリアルなビートや不穏なギターエフェクトを織り交ぜたスリリングなリフワークが特徴的な緊迫感のある作品に仕上がっています。個人的にはTr.5のモッシーな ''Snake Eyes''がお気に入りですが、Tr.1 ''The Lies We Tell Ourselves''の謎の日本語のセリフが聞こえますが、おそらく ''NARUTO'' から拝借しています。


UNDEAD CORPORATION - God of Leaf
シングル (8/8)

 東京発の男女ツインヴォーカルスーパーミクスチャーエクストリームメタルバンドの最新シングル。メタルだけに留まらず、HIPHOP,R&B,パンク、グランジなど多種多様なジャンルを飲み込んでいく自由なサウンドが特徴的ですが、今作はヘヴィバンドサウンドを下地にレゲエ/レゲトンからの影響下を感じるトライバルなサウンドとVo. Akemiの幅広いフロウで楽曲を彩る唯一無二のスタイルに昇華。Akemiがスイスに移住することによってライブ活動は無期限休止に入ったそうですが、制作活動は引き続き行われるとのことでひとまず安心しました。


As We Like - Playing Hands
シングル (8/4)

 東京を拠点に活動しているポップパンクバンドの最新シングル。8月には3曲のシングルをリリースされたのですが、そのうちの第一弾がこの曲になります。Neck DeepKnuckle Puckあたりに影響を受けたキャッチーなメロディと熱いパッションを秘めた爽快感あふれるトラック、筆者はまだ観たことないのですが気になっているバンドの一つです(この間大阪来てくれていましたが、タイムテーブルの都合上叶いませんでした)。サウンドエンジニアリング/プロデュースはもはや駆け込み寺となっているGood GriefのYasu、先日公開されたMVにも親交のあるバンドがゲスト参加しているそうなので、探してみて下さい。


Babyfaith - RIDICULOUS
EP (8/14)

 東京を拠点に活動しているラウドロック/オルタナティブバンドの最新EP。6弦ベーシストやショルダーキーボードなど個性豊かな構成が目を引く、色鮮やかで煌びやかな音楽性にダークでシニカルな世界観を纏ったバンドでここ最近メタルコア主体のライブでも名前を観ることが増えてきました。ただ、このバンドの一番の強みは中性的なハイトーンボーカルを繰り出すVo. Makoだと思います。アートワークはTMSBのLuka (Buried Alive IIIのフライヤーも手掛けています)が手掛けているそうで、彼らの世界観を見事にとらえています。そしてTr.3のタイトルトラックは確かに宇多田ヒカルですが、これ元々メタルコア作ろうとしてたってマジですか?


YENFOR - From black to BLACK
EP (8/12)

 東京を拠点に活動している新鋭メタリックハードコアバンドのデビューEP。4月に先行でリリースされた ''Bedlum'' でも2010年代のダウンチューニングモッシュコアをベースにカオティックハードコアやニューメタルチックなリフワークを取り入れていてそのハイブリッドぶりが興味深かったですが、EPでもその一筋縄ではいかないサウンドを展開。ある人は「SlipknotにKnocked Looseをブレンドした感じ」という人もいれば、違う意見を言う人もいるかと思いますが、個人的にはどれも的外れではないかと思います。このバンドは火影で観たいですね…。

Cliffside - Deeper Water
アルバム (8/3)

 カナダ・バンクーバー/ケロウナ発プログレッシブメタルコアの最新アルバム。今作がデビューアルバムとのことで、中期ERRA (''Drift''あたり)を彷彿とさせるテクニカルなギターリフ、アトモスフェリックな浮遊感と重厚なグルーヴが絡み合うモダンプログメタルの様式美を詰め込んだサウンドは確かなクオリティを放ちます。Gt/Vo. Joel IsslerのクリーンボーカルとVo. Taylor Thomasのツインボーカルスタイルもドラマティックなバンドの作風を決定づける重要な要素であり、随所にそのコントラストを強調させています。アルバムが無限ループするTr.12 ''Haunted'' のアウトロも特徴的。


Tidebringer - No King
シングル (8/13)

 カナダ・アルバータ州を拠点に活動しているメタルコアバンドの最新シングル。Secret & Whisper/Spiritboxの元メンバーでもあるDr. Ryan Loerkeやソロ名義でも活躍しているVo. kalaが在籍しているバンドで、昨年はSailing Before The Windともスプリットをリリースしています。メリハリのあるボーカル・ワークが印象的でシャープなシャウトとハイトーンのクリーン・ヴォイスが見事にクロスしているのですが、個人的にはOur Hollow, Our Homeあたりが好きなリスナーには刺さるものがあるんじゃないかなと。



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