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Fieldism必聴新曲リスト July 2023 (Part.1)

N.L.N.S & Sin Scriptureレコ発大阪編、ありがとうございました。↓


前回の新曲特集はこちらから↓

9/30(土) ''Buried Alive III'' やります。予約は下記から。


 世間はもうすぐ夏休みですが、皆さま体調はいかがでしょうか?ご無沙汰しております。

 大体2~3週間くらい更新できていなかったんですが、7月は職場の決算月ということもあって忙殺されて精神的に病みそうになってたり、末には久しぶりに東京に遊びに行ったりでなかなか執筆に時間を割くことができませんでした。修羅場は乗り越えたのでここからまた調子を取り戻していきたいですね。

こないだの東京の話をすると、横浜のイベンターでありポストハードコアUNBLEEDのVo. TakumiのINNOCENCE 7周年パーティーに遊びに行く傍ら、自分のマイフェイバリットノベルゲーム「白昼夢の青写真」の朗読劇に行ってました。このクソ暑い中アンチノックと日本武道館付近の反復横跳びはしんどかったですね。朗読劇は何言ってもネタバレになりそうだし伝わらないので「感動しました」としか言えないんですが、INNOCENCEの方は新体制InFix, N.L.N.Sぶりに再会したSlyDoggy, そして来月のBAIIIにも出演するALIOTHを観たり、いろんな人と話したりでずっと楽しかった記憶しかないです。楽しすぎてアンチノックから地上に戻った瞬間立ち眩みを起こしました。


そして帰ってきて自室に飾り付けた戦利品。たまらずドヤ顔です。



前置きはこれくらいにして、今回も行きましょう。

リストアップの条件ですが、下記2点です。
1. 7/1~7/14にフィジカル/ストリーミング/DL販売/MVのいずれかが解禁された作品(基本的により多くの人にアクセスできる手段を優先します)。
2. フルアルバム or EPのリリース時期がある程度明確にアナウンスされている作品の先行シングル、および既存楽曲のリマスターやカバー等は選出対象外。ただしアルバムのデラックス盤のみetc.に収録予定の楽曲は選出対象。


LIKE A KID - M.Y.S

シングル (7/1)

 東京を拠点に活動している “ALTERNATIVE NU EMO” バンドの最新シングル。この間の自分の企画 ''N.L.N.S'' で満を持して大阪に上陸、そのエモ/スクリーモ、ポップパンク、オルタナをはじめ様々なジャンルを消化した最先端でユニークな音楽とVo. Kentoをはじめとした熱量溢れるパフォーマンスで筆者を含め観る者に強烈なインパクトを残してくれたのは言うまでもありません。この春から ''SORRY'' をはじめ月1ペースで音源をリリースしているLIKE A KIDですが、その中でも新しいライブアンセムになるであろう1曲がドロップされました。

 今作 ''M.Y.S.'' ですが、実はN.L.N.Sの1週間前に行われたFREEDOM NAGOYAでこの曲が収録されたシングルを配布していたそうです。N.L.N.S.ではセットリストの最後にこの曲を披露してくれたんですが、あの時は「次」に繋げてくれようと全力を尽くしてくれた姿とか疾走感と切なさを織り交ぜた曲調のこの曲とか色々な感情がぐちゃぐちゃになって泣きそうになりましたね。ポップパンクやメタルコアやデスコアなど各々が色々なバックグラウンド・キャリアを積み重ねてきた中で培ってきた「エモ」を根幹としながらも、自分流にモダンにアップデートしたサウンドには注目です。

 今月はAzamiのEPリリースツアー仙台編(8/13)やGood Griefの自主企画 ''Sad Station''(8/20) の出演が決まってますが、11/4には何かしら大きいことをやるとかやらないとか…今後の動向にも要チェックです。


MIGHTY HOPE - Root

アルバム (7/1)

 2020年結成、東京・町田を拠点に活動しているポップパンク/ロックバンドの最新アルバム。Neck DeepState ChampsStand Atlanticなど現代寄りの海外のポップパンクバンドに影響を受けながらも、力強さと優しさを感じるVo/Gt Ricoのユニークなボーカルスタイル、「ポップパンク」という記号だけにとらわれない繊細で柔和な世界観を提示する楽曲が特徴的です。最近Dr. Takumi / NO BRIGHT GIRL(無期限活休中)のGt. Ryomaの二人が加入し新体制で活動を開始し、それと同時にキャリア初のフルアルバム ''Root'' がリリースされました。

 上述した通り「繊細で柔和な世界観を提示する」とありますが、イントロとなるTr.1 ''Bud'' の鳥のさえずりやそよ風の環境音、そして先行でMVがリリースされたリードトラック ''Bleaching'' からも、(自分の貧相な語彙力では抽象的ですが)自然と調和したような独特の「ゆるさ」を感じます。そんな肩の力を抜いたソフトなタッチのRicoのボーカルが合わさり聴く者の心にゆとりを持たせてくれます。事実職場が決算で忙殺されてた時は殺伐とした心を安らげるために家でリピートしてました。ただ、ライブで映えるのはポジティブなエネルギーを感じさせる疾走感とシンガロングパートが特徴的なTr.6 ''Browser''だと思います。

 サウンドエンジニアリングはSee You SmileのBa. Enomoto (Mix. Master)とGood GriefのVo. Yasu (Arrange, Rec)のゴールデンコンビも参加し、音源面も気合が入っているのは言うまでもありません。先月大阪にも来てくれていたんですが、筆者は仕事で行けませんでした(かなしい)。


The Cards I Play - everything we love

EP (7/7)

 東京を拠点に活動しているロックバンドの最新EP。かつてメタルコアバンドとして始動したこのバンドが制作活動の過程でアンセミックなメロディを重点に置いたモダンロック路線に転向したのは何度か言及している通り。1stフルアルバム ''Retrograde'' ではVo. Jojiのクリーンボーカルを前面に押し出した壮大なサウンドスケープを提示し、新メンバーBa. Daiyaを加えて4月にリリースされた新曲 ''FATE'' ではDanielのラップパートからもわかる通りよりジャンルにこだわらないアプローチで注目を集めました。

 1st EP ''everything we love'' はそんな4分の楽曲に様々なジャンルの魅力を詰め込んだ ''FATE'' をはじめ、タイトル通り彼らの好きなものを詰め込み、それぞれのメンバーの技術や個性を最大限に活かしたユニークな作品。Daiyaのスラップベース x ラップを取り入れたミクスチャーからの影響を感じるTr.2 ''AFTERGLOW''、メロシャウトを炸裂させるJojiのボーカルとダークなシンセが魅力的なTr.3 ''IN CIRCLES''、トラップ調のビートとアグレッシブなバンドサウンドが織合わさった筆者おススメのTr.4 ''BEST OF LUCK''、そしてEPの最後を飾る多幸感あふれるメロディに満ちたTr.5 ''TIME''と、バラエティに富んだ作品に仕上がってます。

 この間Blacksoundの始動ツアーで満を持して彼らのライブを観れたんですが、今作の楽曲もがっつり披露してくれてマジでカッコよかったです。While She Sleepsと共演できるといいですね。念願のWhile She Sleepsとの共演も決まったそうなのでこのまま拡がって欲しいですね。


Better Lovers - God Made Me An Animal

EP (7/7)

 Every Time I DieThe Dillinger Escape Planなどのメンバーが集結した新バンドのデビューEP。昨年解散したEvery Time I DieからJordan Buckley(Gt), Clayton “Goose” Holyoak(Dr), Stephen Micciche(Ba)に、5月にENDとして来日したWill Putney (Gt)と伝説的なカオティックハードコアTDEPのフロントマンGreg Puciatoを加えた豪華なラインナップで突如新バンドBetter Loversを始動。4月にリリースされたデビューシングル ''30 Under 13'' はJordanが「私たちの次の進化」と語る通りハードコアパンク・サザンロック・カオティック要素など彼らのバックグラウンドを総括した楽曲には全世界が沸き上がりました。

 そんな衝撃のデビューシングルを経てまたもやサプライズでリリースされたEP ''God Made Me An Animal'' は、''30 Under 13'' をはじめ4曲を収録。Tr.1 ''Sacrificial Participant'' ではロウなサウンドやハードコアパンクGregの砂利のようなユニークなシャウトで荒々しさ全開と思いきや、メロディアスなリードとクリーンボーカル、そして大サビ前のインタールードで二度サプライズを受けること必至です。Tr.3 ''Become So Small'' ではConvergeからの強い影響を感じさせる90年代初期直系のカオティックなフレーズが癖になる一曲。そしてEPのエンディングを飾る表題曲は西部劇のようなイントロから始まるかと思いきや、スラッシーで荒々しい目まぐるしさを感じさせます。

 Jordan曰くバンドについて「俺たちは動物園から飛び出したばかりの野生動物なんだ」と語っていますが、それは前バンドから持ち続けていた初期衝動の現れなんだと思います。


Nimbus - Nightfall

EP (7/9)

 東京を拠点に活動しているメタルコアバンドの最新EP。昨年Gt. Fuji, Ba. Ryota & Dr. Shunichiを加え現体制初の音源 ''NOVA'' をリリースしてからは明らかに注目が集まるようになり、昨年は筆者の企画 ''Buried Alive II'' でキャリア初の大阪公演を完遂。フロアを巻き込んだ圧巻のパフォーマンスは、本当に初大阪か疑うほど大トリにふさわしいものがありました。今年も春先から大阪~福岡~名古屋と過去類を観ないフットワークで精力的にライブ活動を行っている彼らですが、音源制作も並行して行っていたようです。

 現体制に至るまでメンバーの入れ替わりが激しかったこともあり、3曲以上の楽曲をまとめて出すのが初になる今作 ''Nightfall'' は、前体制からプレイされてきた高速メロディックトラック ''Promise''  & ライブでも人気でイントロの罵声大会が風物詩となっているヘヴィな ''KING'' を含めた全5曲を収録。EDMのアプローチを取り入れたダンサブルなメタルコアチューンTr.1 ''621'' やGt. Fujiのリードがうなる完全未公開曲Tr.5 ''CruX'' もバチイケですが、最大のトピックはMVもリリースされているTr.3の表題曲。''NieR:Automata'' 直系の世界観とリリックがオタク心を刺激するのもそうですが、ヘヴィネスや速さだけに頼らない壮大なサウンドスケープは新しい試みの一つだと思います。

 最近Tamaもnoteで記事を定期的に公開しており、ネタ要素も交えながら彼のストイックなマインドも垣間見えて面白いので、興味のある方はチェックしておきましょう。



Avoid Silence - F'A'T'E

EP (7/10)

 東京を拠点に活動しているメタルコア/ポストハードコアバンドの最新EP。ここ最近新宿アンチノックで定期的に開催されているイベント ''日本男児'' ''DAIGOFEST'' にも出演しており、その関係でちらほら名前を見かけるバンドでもあります。自分も最近まで知らなかったんですがもともと神戸で結成されたバンドで、一度活動休止を挟んだのち昨年から東京に拠点を移し活動を再開した経緯があります。2月にリリースされたシングル ''Dark Horse'' ではシンフォニックめなメタルコアを軸に突然ジャズ要素を入れ込んでてオリジナリティを感じさせましたが、今作はどんなサプライズを仕込んでいるのでしょうか?

 東京に拠点を移してから1年、デビューEPとなる今作 ''F'A'T'E''は前作と比べてよりモダンな正統派ポストハードコアサウンドを提示した印象で、サウンドエンジニアリングにNyse.S.Wを起用したことからもその気合の入りようが伺えます。ソリッドな音像のバンドサウンドを軸にしつつ、Crossfaithの影響を感じさせるエレクトロアレンジが特徴的なTr.1 ''LIKE THAT REQUIEM''、I, Prevailを彷彿とさせるダンサブルな縦ノリブレイクダウン搭載のTr.2 ''N-O-P-E'' & Tr.3の表題曲と、メンバーが「音圧MAX」と自称するのも納得のクオリティ。神戸出身のバンドゆえなのか、UNIONS, Winseth, PartyPeak (ex. Color of Thread) と同じくツインボーカルスタイルなのもポイントです。

 先月に今作を引っ提げて東阪神ツアー「Leaning From The Past」を完遂した彼ら、特に地元神戸でのツアーファイナルは同じく東京で活躍するピコリーモSIERRA / 岡山では数少ないメタルコアバンドとなったLenz & RAISE ONE'S EYESもいて気になりましたね。


Our Hollow, Our Home - Downpour

シングル (7/13)

 イギリス・サウサンプトンを拠点に活動しているメタルコアバンドの最新シングル。強靭なメタリックリフや疾走感やシャウトボーカルでアグレッシブさを押し出す一方で、エモーショナルな旋律と伸びやかに唄い上げるクリーンボーカルが描き出すメロディも巧みに魅せていくドラマ性&クオリティの高さはUKメタルコアシーンでも随一で日本での人気も高いです。今年に入りGt/Vo. Tobias Young以外のメンバーが全員脱退、4月に前作 ''Burn in the Flood'' のデラックス版をリリースしたことで一旦節目を迎えました。

 しかし、直後にVo. Gaz King (ex-From Sorrow To Serenity)をはじめとした新メンバー4人を加えて新体制での活動再開をアナウンス。先日リリースされた ''Downpour'' は言うまでもなくバンドの新しい章を表す一曲としてリリースされ、Sleep TokenRAMMSTEINの作品も手掛けた実績のあるSky Van Hoffのプロデュースも相まってバンド曰く「史上最高のサウンド」と語っています。キャッチーなTobiasのクリーンボーカルや叙情的なメロディのクオリティが高いのは今回も安定ですが、それよりも喜ばしいのは鬼気迫るパフォーマンスで国内バンドマンの多くを戦慄させたFSTSのGazが表舞台に帰ってきたこと。ドスの利いたスクリームは相変わらずで安心しました。

 すでに4枚目のアルバムも制作中らしいので、多くのリスナーが熱望しているとおり来日にも期待したいです。


Chamber - A Love To Kill For

アルバム (7/14)

 アメリカ・テネシー州ナッシュビルを拠点に活動しているメタリックハードコアバンドの最新アルバム。レーベルメイトのSanctionをはじめVein.fm, 156/Silence, Orthodoxなど、近年90~00'sハードコア+メタルコアリバイバルの要素を組み合わせたバンドは多いですが、その中でもCode Orangeのようなエクスペリメンタルなハードコアに追随するバンドの一つとして認知されており、ヘヴィなメタリックサウンドやモッシュグルーヴをベースに不協和音やカオティックな展開などを織り交ぜた目まぐるしいサウンドが特徴です。

 前作''Cost of Sacrifice'' から約3年のスパンを空けてリリースされた ''A Love To Kill For'' は、「より親しみやすい」方向へ日和ることなくその暴力性と狂気を純粋に進化させた作品。Tr.1 ''Chamber'' ~ Tr.2 ''Retribution'' からアクセル全開でリスナーを置いていくような展開が押し寄せてきます。ほかにも曲の最後でアンビエントなパートから一気にビートダウンに畳みかけていくTr.3 ''At My Hands'' 、ドロドロとした展開とVo. Jacob Lilyの怨嗟のようなガテラルで地獄に引きずり込んでいくグロウルが印象的なTr.13の表題曲なども特徴的ですが、彼らの神髄はショートトラック
。Tr.7~Tr.8と30秒に満たない曲を2曲連続でぶっこんだり、グラインドコアにも接近した最後のTr.14 ''Hopeless Portrait'' など短いながらもインパクトはバツグン。

今作はTr.5 ''To Die In The Grip Of Poison'' にBoundariesのVo. Matt McDougal、Tr.9 ''Devoured'' にKublai Khan TXのVo. Matt Honeycuttがゲスト参加、どちらもこのバンドの暴力的なサウンドにマッチしています。


Earthists. - GODBLAST

シングル (7/13)

 ”Hypermetal”を標榜し、独創性あふれるメタルサウンドでグローバルなファンに衝撃を与え続けているメタルコアバンドの最新シングル。昨年リリースされた名作 ''Have a Good Cult.'' で提示した洗練されたメロディセンスを活かした作風をベースに、より極端かつポップさとヘヴィネスを両立させた情報量の多いサウンドへ進化。5月にリリースされた前作 ''Hyperhell'' でもそのエキセントリックなピアノフレーズやVo. Yuiのハイピッチなメロシャウトはリスナーに強烈なインパクトを残しましたが、それに劣らぬキラーチューンを出してきました。

 先月のGraupel, Sable Hillsとのスリーマンでもライブで披露された新曲 ''GODBLAST'' は目まぐるしいサウンドの中にもしっかりとこれまで培われてきたEarthists. の魅力が3分間に詰め込まれた一曲。流麗なプログレッシブメタルコア時代から一貫しているジャズやフュージョンを踏襲したピアノフレーズ、デスコアの影響下を感じるDr. Yuyaのドラミングが活きるヘヴィなパートなど、情報量の多さに負けずにしっかりと主張しているのがわかるかと思います。YuiのハイピッチなメロシャウトとGt/Vo. Yutoのエネルギッシュなクリーンボーカルの掛け合いもそうですが、これマジでライブで再現してるんですね…

 Earthists.は2021年の ''BIRTH'' リリースツアー以来なかなか機会に恵まれなくて観れていませんが、次の大阪があったら遊びに行こうと思ってます。


CRYONIKS - Butterfly in The Hell

EP (7/13)

 北海道・札幌を拠点に活動しているポストハードコア/オルタナティブ・ロックバンドの最新EP。近年HIKAGECVLTEなど本土への進出が盛んな北海道のシーンからまた「ヤバい」バンドが出てきました。近年の北海道は今度Buried Alive IIIへの出演が決まっているVOMIT OUT RESTRICTIONのようなタフなメタルコアが少ない反面、CVLTE, Calls Name Againなどヒップホップ/オルタナ/R&Bなどのニューコアスタイルの隆盛が著しい印象で、そのネクストブレイクを表しているのがこのCRYONIKS. だといえるでしょう。

 2nd EPとなる今作 ''Butterfly in The Hell'' は、バンドにとって「この世とは、人生とは何か、そして、そこに生きる我々は何なのか」という命題を描いた作品。5曲すべて違うテイストで展開されており、作品は不穏かつダウナーながらも激しいトラップメタル調のTr.1 ''LOVE SUCK''に始まります。アンビエント調のインタールードTr.3 ''Reimei''を経て、海外のそれにも劣らぬ奥行きのあるポストハードコアサウンドに日本語詞を落とし込んだTr.4の表題曲は作品のヴィジュアルも相まってどこか幻惑的な雰囲気を漂わせ、そしてWHISPER OUT LOUDを彷彿とさせるポップでポジティブなエネルギーを感じるTr.5 ''Tomorrowland'' で作品が締めくくられます。

 また、Tr.2 ''CTC'' では同郷のポストハードコアLost Back'PointのVo. Ryoがfeat.。彼の中性的なボーカルがエモーショナルなトラックに非常にマッチしています。


Moodring - YOUR LIGHT FADES AWAY

EP (7/14)

 アメリカ・フロリダ州オーランドを拠点に活動しているニューメタルコア/オルタナティブメタルバンドの最新EP。始動から早い段階でUNFDとも契約しており、かつてはAttila/For The Fallen DreamsのBa. Kalan Blehmも在籍していたことでも知られています。「1990年代のオルタナティブロックで育った」と語るVo. Hunter Youngの言葉の通り、楽曲もそのような要素が色濃く出ているものの、''NUGAZE'' と形容している通りシューゲイザーからの影響も受けている様子。

 デビューフルアルバム ''Stargazer'' から1年のスパンを空けてリリースされた今作 ''YOUR LIGHT FADES AWAY'' は、ThornhillPridelandsなどを彷彿とさせるローチューニングリフワーク+Hunterのボーカルワークが合わさっており、ヘヴィネスとキャッチーなメロディが絶妙なバランスで両立されている作品。そこに輪をかけるようにエフェクトの使い方も絶妙でTr.1 ''SHI=DEATH'' ではノイズやブレイクビーツなどを駆使し不穏かつドライブ感あふれるサウンドを展開、Tr.2 ''BLACK_WAVE'' や Tr.3 ''WOULDYOUWAITFORME'' もそうなんですが、ヘヴィでソリッドなメタルコアサウンドにグランジでムーディーな雰囲気を織り交ぜることができる彼らの構成力には脱帽です。

 収録曲たった3曲ながらも、その多面的な音楽性と世界観を内包した情報量の多さに圧倒されるはず。個人的にはFALLING ASLEEPCYANSEAあたり好きな方にお勧めです。


Honorable Mentions

Hate This Town - without u (thinking abt xxx)
シングル (7/8)

 福岡を拠点に活動するポップパンクバンドの最新シングル。筆者はEvilgloomの ''Addiction'' ツアーファイナルと先月の初大阪と既に2回ライブを観ており、そのエネルギッシュなポップパンクをベースにしながらもヒップホップやチルアウトなどのアプローチも取り入れていて注目しています。この曲は彼らが3月に自主企画で福岡に呼んだLIKE A KIDがfeat。儚さがにじみ出るKentoと如何にも快活児でパッション溢れるVo. Arataの組み合わせがコントラストになっていて面白いです。


Bubble Baby - We are Bubble Baby
EP (7/5)

 日本最高峰のラッパーRude-αを中心に、各々ACE COLLECTION, The Winking Owl, NO BRIGHT GIRLで活躍してきた豪華メンバーが集結した新鋭ポップパンクバンドのデビューEP。今作に先駆けて2月に ''Violet'' をリリース & レコ発公演はソールドアウトと早速注目が集まっていますが、EPもそれに負けず劣らず各々のバックグラウンドを融合させたキャッチーな楽曲揃い。ゴスペル~R&Bの影響下を溢れるメロディや躍動するフロウはRude-αの持ち味ですが、それに楽曲がしっかりマッチさせているのはこのラインナップならでは。
 


THE MAYTH - FUEL
シングル (7/7)

 香川県・高松市を拠点に活動しているメロディックハードコアバンドの最新シングル。今年は結成10周年ということで、年始から10か月連続シングルリリース & レコ発を敢行していますが、今回はその第7弾となる楽曲です。THE MAYTHといえばメロディックパンクの疾走感やポップパンクのキャッチーなメロディなどハイブリッドなサウンドが魅力の一つですが、今回も初志貫徹としていてテンションが上がりますね。エネルギッシュなボーカルやシンガロングコーラスはライブ映えすること間違いありません。

AMИESIA - Unearche
シングル (7/7)

 大阪を拠点に活動しているメタルコアバンドの最新シングル。先月のSin Scriptureとの共同主催にも出演いただいたバンドで、新ギタリスト剛が加入以来初の音源リリースになります。今作はGt/Composerの皇はじめメンバーが「自信作」と語っていますが、最大の聴きどころは後半にあり。処刑用BGMめいたシンフォニックな前振り、Isaraのホイッスル、地獄のようなブレイクダウンと狂気的な展開が立て続けに押し寄せてきます。ライブでもその苛烈なパフォーマンスでフロアを圧倒してくれますね。

A Scent Like Wolves - Force Field
シングル (7/6)

 アメリカ・ペンシルバニア州ランカスターを拠点に活動しているメタルコアバンドの最新シングル。過去には来日ツアーやAbstracts, Sailing Before The Windなどの楽曲にもゲスト参加を果たしており、日本とも縁の深いバンドです。プログレッシブメタルコア/ポストハードコアの魅力を総括したサウンドをベースに、重厚なサウンドと繊細さ/浮遊感・ツインボーカルによるシャウトと聞き心地の良いクリーンボーカルが紡ぐコントラストはリリースを重ねるごとにブラッシュアップしています。


Zepto in I - Licorice
シングル (7/12)

 東京を拠点に活動しているポストハードコア/メロディックハードコアバンドの最新シングル。前回のシングル ''farewell'' から約3か月、今作では先日惜しくも無期限活動休止に入ったメタルコアバンドASTERのVo. Koppeが参加。KeepsakeBloomあたりのオーストラリアのメロディックハードコアの空気感を感じさせながらもメタリックなブレイクダウンが顔を出す一曲、アニメ「リコリス・リコイル」からインスピレーションを受けているあたり「Stay Nerd/Stay Emotional」とも親和性あります。


Orphan - Manifesto 1.0: Stages of Grief
EP (7/4)

 アメリカ・オクラホマ州初、''PURE SLAMMING HATE'' Strangled(解散済)の極悪ボーカル兄弟のバンドの最新EP。昨年リリースされたデビューフルアルバム ''Porcelain'' は容赦ないスラムパートと苛烈なスクリーム主体ながらもアンビエント/抒情要素も織り交ぜていてDV男を彷彿とさせていましたが、今作はひたすらブチギレ。ひたすら無慈悲に刻まれる低音スラムリフと人道に反した手数の多いドラムワーク、最初から最後まで怒りしか感じなくて失禁しそうです。


Continents - LIFELINE
シングル (7/13)

 イギリス・サウスウェールズ出身のプログレッシブメタルコアバンドの最新シングル。過去にThe Ghost Insideと来日した実績もあります。2枚のアルバムを出したのち2019年に一度解散、しかし昨年 ''BAD BLOOD'' を引っ提げて活動を再開させ、マイペースに音源をリリースしています。安直なキャッチ―さに頼らないソリッドなメタルコアサウンドと時折見せる叙情的なメロディと浮遊感、そしてハードコア直系のモッシュグルーヴが彼らの魅力ですが、曲終盤のブレイクダウンはブチギレ必至でしょう。

Snuffed on Sight - Smoke
アルバム (7/7)

 アメリカ・サンフランシスコ出身のブルータルデスメタル/スラミングビートダウンバンドの最新アルバム。この間Sin Scriptureとの共催で大阪に来てくれたOde to the Endにも共通する2010年代初頭直系のロウな音像、ブルータルなリフワークとブラストビート、そしてVo. の下水道グロウルなど苛烈なサウンドを提示するものの、(No Face No Caseのそれとはまたベクトルが違いますが)アメリカ西海岸特有のノリの軽い部分があって親しみやすさがあります。ヒップホップやギャングスタカルチャーの文脈があるからかも。


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