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Fieldism必聴新曲リスト 2024 1/29~2/4

 VICTIMOFDECEPTIONレコ発大阪編、vs.LDDツアーキックオフショーの2Daysが終わり、絶賛虚無です。いつもお世話になっております。Ryotaです。(前回の特集が400PV超えました、多謝。)

 2/9、10年前のこの日はTRIPLE VISIONが主催していたメタルコア/スクリーモの祭典SCREAM OUT FEST 2014が行われましたが、自分は人生で始めてライブ目的で東京遠征したイベントだけあって、ここでは語りつくせないくらい思い出があります。Peripheryの初来日・当時すごい好きだったThe Word AliveThe Devil Wears Pradaの来日・当時伸び盛りだったHER NAME IN BLOODCrystal Lakeなど、今見ても隙のないラインナップだったと思います。

 前日かなんかに夜行バスが大雪で運休になって、親に借金して新幹線のチケット代を買ったり、当時19歳なのもあって一人でホテル泊まるからと同意書を書いてもらったり、迷子になりそうになりながらも渋谷や秋葉原を散策したりとあの時は何もかもが本当に新鮮でした。

 実はこの間その時に出会った友人と9年ぶりに会って遊んだんですが、良い意味で変わってなくて本当に安心しました。自分もライブハウスに遊びに行って長いですが、気が付くと結婚や仕事などで足が遠のいてしまって会わなくなる人の方が多いんでね。

リストアップの条件ですが、下記2点です。
1. 1/29~2/4にフィジカル/ストリーミング/DL販売/MVのいずれかが解禁された作品(基本的により多くの人にアクセスできる手段を優先します)。
2. フルアルバム or EPのリリース時期がある程度明確にアナウンスされている作品の先行シングル、および既存楽曲のリマスターやカバー等は選出対象外。ただしアルバムのデラックス盤のみetc.に収録予定の楽曲は選出対象。

ASK ME ANOTHER - Pictures

シングル (1/30)

 沖縄を拠点に活動しているモダンメタルコアバンドの最新シングル。先日同郷のAs AllianceがT.M.Musicのオーディションショー1日目でInvert Hourglassと同率でウィナーになったことは記憶に新しいですが、米軍基地内でのフェスへの出演 & MAKE MY DAYを始め県外バンドを沖縄に呼んだ自主企画の開催を行ったことからもわかるとおり、こちらもAs Allianceに劣らない精力的なライブ活動で沖縄のシーンを支えています。まだライブは観たことありませんが、ELYSIUMと親交があったりBuried Alive IIIの公募枠に応募いただいたこともあって個人的にも交流のあるバンドの一つです。

 2枚目となるシングル ''Pictures'' は沖縄の日米文化入り混じる土地柄ゆえなのか、国内外のメタルコア/プログレを吸収したモダンメタルコアの様式美が詰め込まれた一作。爆発力のある疾走感を伴ったサウンドにタッピングリフ・アンビエント要素が伺えるクリーンギターを取り入れたスタイルはアメリカのプロモーションチャンネル BVTV MusicからMVが公開されたのも納得してしまいます。アートワークが筆者も大変お世話になっている関西のクリエイターチームTMSBのLukaなのもポイント。


Oceans Ate Alaska - Endless Hollow

シングル (1/31)

 イギリス・バーミンガムを拠点に活動しているメタルコアバンドの最新シングル。初聴では置いていかれそうな複雑な展開を交えた緻密かつ計算高いサウンドワークは作品をリリースするごとに注目を浴びてきましたが、今年に入ってVo. James Harrisonが「OAAに再加入したのは間違いだった」という声明と共に再度脱退、そして長らくGt.を務めていたAdam Zytkiewiczも脱退したことで不穏な内部事情が飛び交っていますが、バンド自体はex. Silent ScreamsのJoel Heywoodを迎えた新体制で新曲をリリースしました。

 古巣Fearless Recordsから離れインディペンデントとして新たに再出発した彼らの新曲 ''Endless Hollow'' は、前作''Disparity''でも綿密に構成されていた耳障りの良いメロディとプログレッシブさのバランスがさらに洗練されたのはもちろん、歴代のヴォーカリストと比べてもスクリーム/クリーン/ガテラルとパワフルで隙のないJoelのヴォーカルワークを前面に押し出しており、突飛なテンポチェンジが抑えられたことでより聴きやすくなった印象を受けます。今後ライブはもうしないという噂も流れていますが、正直もったいないと思うのが本心。


waterweed - Cure

シングル (1/31)

 大阪を拠点に活動している''NU-SKOOL MELODIC HARDCORE''バンドの最新シングル。飾りげのないまっすぐな感情を疾走感と泣きのメロディに乗せて爆発させる楽曲と熱量溢れるパフォーマンスには定評があり、昨年はTaken /Hopesfall,One Step Closerを始めメロディックハードコアの来日公演の大阪公演のサポートアクトも多くに出演しているので筆者も何度も観ました。「ラウド」「ポストハードコア」「スクリーモ」という言葉が日本に浸透する前から活動を続けており、今もなお自分たちのルーツであるメロディックハードコアの深化を続けています。

 今期のTVアニメ「治癒魔法の間違った使い方」のオープニングテーマにも抜擢された新曲 ''Cure'' は、多くのリスナーがwaterweedに期待している疾走感とメロディアスさを両立させた安心と信頼のゆるぎないサウンドは一貫しています。リリックにはBa/Vo. Tomohiro Ohgaのコメント通り、何度でも立ち上がり挑み続ける物語の主人公のウサトと、傷跡を残しながら音楽人生を長い間駆け抜けて来た自分自身を重ね合わせているのがポイント。今年もwaterweedのライブ観に行くと思うのでこの曲も披露してほしいです。


TORO - FEEL GOOD

シングル (1/31)

 “ロックの復権”をコンセプトに神奈川で活動しているオルタナティブ・ニューウェイブバンドの最新シングル。昨年バンド活動を始動しその遊び心溢れるサウンドと皮肉の入りまじったリリックは中毒者が続出。その後リリースされたフルアルバム ''TORO'' は、無駄をそぎ落とした本質的なかっこよさを追求し、日本語詞と英詩を自由に行き来する気だるげなVo.梅田シュウヤのボーカルワークが癖になる痛快の一作でした。昨年末にBa. 松島早紀が脱退し、現在はシュウヤとDr. 大西竜矢を中心にサポートメンバーを入れながら活動しています。

 東名阪ツアーを目前に控えた彼らがリリースした今作 ''FEEL GOOD'' は、ダークにリズムを刻んだデジタル目なサウンドを前面に押し出し、相変わらずシニカルで毒気のあるリリックをシュウヤが気怠く歌い上げるのが相変わらずハマってしまう一曲。ちなみにベースのアレンジを務めているのはシュウヤの古巣Winter WakesのメンバーでBa. Shutaでライブでもサポートを務めているそう。来週から始まる東名阪ツアーは「内輪ノリ嫌いだからほとんどのアーティストが初対面」で筆者も全組ライブは初見なので、気楽に楽しもうと思います。


VICTIMOFDECEPTION - MIGHTY RULERS

アルバム (2/1)

 東京、それどころか日本を代表するデスコアバンドの最新アルバム。2014年にまだ国内では浸透していなかったデスコアサウンドを引っ提げてシーンに登場し、その暴虐的で慈悲のないサウンド・TRIPLE VISIONからの音源リリース・数多くの海外アクトとの共演で国内のヘヴィーミュージックのリスナーを虜にしてきました。今年で結成から10年が経ちますが、先代vo. Daichiの遺志を受け継ぎながら今も日本のデスコアシーンの頂点に立ち続けています。

 昨年フルアルバムのクラウドファンディングが実施され、約130万円もの支援が集まって制作された今作 ''MIGHTY RULERS'' は、結成10年という節目の新たなスタートラインを象徴した一作。ブルータルなデスコアを軸にしながらも、先行でリリースされた ''FALSE FAME''のようにより一発一発のリフが重くすべてをなぎ倒してくイメージの曲が増えた印象。ただ、個人的には最もクラシックなデスコアを踏襲したTr.5. Signs of the SwarmのVo. David Simonichがfeat.した''Make It Burn'' が一番気に入っています。ライブでは中盤のテンポチェンジで四肢が吹き飛ぶまでモッシュしましょう(冒頭の通り先日のレコ発大阪編でもそうしました)。


Hands Like Houses - Better Before

シングル (2/1)

 オーストラリア・キャンベラを拠点に活動しているポストハードコア/オルタナティブロックバンドの最新シングル。その重量感と繊細なエモーショナルさを両立させたサウンドでRise Recordsの知名度を広げる立役者となったのち、Hopeless Recordsへ移籍アリーナロック路線へと大胆な方向転換を迎えたりとこの15年の活動の中で探求を続けてきました。その中には不祥事騒ぎでUNFDのロースターから降ろされたり(のちに事実でないことが発覚し、レーベル側が謝罪)や長らくフロントマンを務めてきたVo. Trenton Woodleyの脱退など決して順風満帆だけではありませんでしたが…

 昨年オルタナティブロックバンドThe FaimのフロントマンJoel Ravenを新Vo.に加えた新体制2作目のシングル ''Better Before'' は、Arising EmpireやUNFDなどに所属しているモダンローチューニングメタルコア/ポストハードコアにも共通するソリッドなサウンドとスペーシーなシンセアレンジでもはや探求を続けてきてもはや達観した感があります。JoelもTrentonとはまた違ったスタイルで圧倒的な歌唱力の持ち主なのは聴けばわかりますが、さらに今作はUnderoathのDr/Vo. Aaron Gillespieもfeat.。 キャッチーなメロディは初期からずっと変わりません。


Being As An Ocean - Death Can Wait

アルバム (2/2)

 アメリカ・カリフォルニア州アルパインを拠点に活動するポストハードコアバンドの最新アルバム。激情的なメロディックハードコア路線、エレクトロやシンセなどを取り入れていたオルタナティブ路線を経て、2021年にはCane Hillten56.も在籍しているOut Of Line Musicと契約し、それまでのキャリアを総括するようなシングル ''Catch the Wind'' ''Lost'' をリリース。初期の激情的な部分を受け継ぎながらモダンにアップデートしたサウンドは次回作にも期待が寄せらせました。

 フルアルバムとしては ''PROXY: An A.N.I.M.O Story'' 以来5年ぶりとなる今作 ''Death Can Wait'' は、先述のシングルで提示していた初期の叙情的なメロディックハードコアと後期のエレクトロアレンジをバランスよく取り入れていますが、聴きどころはやはりGt/Vo. Michael McGoughのクリーンメロディと悲痛な感情を生々しく叫ぶVo. Joel Quartuccioのシャウト。正規メンバー二人体制で制作されていることもあり、楽器隊やエレクトロも邪魔することなく存在感が発揮できる余地を残しています。個人的には最後の ''The Fullness of My Being'' が一番初期のスポークンワードを多用していた時期が強く反映されていて感動です。


Gravemind - >_TERMINAL

シングル (2/2)

 オーストラリア・メルボルンを拠点に活動しているダウンチューニングメタルコア/デスコアバンドの最新シングル。MHz FEST (T.M.Musicの前身) 主催による来日ツアーで解散したBoris The BladeのDr. Karl Stellerがこのバンドに所属しており、PromptsPaleduskともレーベルメイトです。2019年にはデビューアルバム ''Conduit'' をリリースし、ヘヴィなサウンドの中にも要所要所変則的なアプローチや浮遊感が感じられるパートも織り交ぜられており、形容しがたい独特の世界観を形成していました。

 2022年の新Vo. Bailey Schembri就任に加え、さらに新Gt. Miki Simankeviciusを加えた新体制でリリースされた今作 ''>_TERMINAL''では、ソーシャルメディアではありがちな誰しもがターゲットになりえる様子をテーマにした楽曲。前述した形容しがたい複雑で知的かつ壮大なサウンドスケープはさらにブラッシュアップされ、ヘヴィ一辺倒ではないキャッチーなコーラスメロディも搭載されていてバンドとしての引き出しの多さを感じさせます。個人的にはShadecarrierIn Denialあたりと共演したら面白そうです。

SlyDoggy - Frustration

EP (2/3)

 東京を活動しているラウドロックバンドの最新EP。C-GATEARES INWORDSなどそれぞれが前のバンドで活動していたメンバー達が集い、2022年に始動。昨年にリリースしたデビュー作 ''UNDERDOG'' はラウドロック/メタルコア/ハードコア/J-POPなど彼らのバックグラウンドを結集させたキャッチーさとヘヴィネスを両立させたスタイルで、その破天荒さ故筆者の自主企画 ''N.L.N.S'' にも出演いただきました。また、最近筆者はDJイベント界隈の人間とも交流があるんですが、彼らの曲を流してくれるDJもいて今後も認知度が上がりそうな気がします。

 制作スケジュールの遅延により先月のレコ発には間に合わなかったものの(3/2にリベンジ公演を開催予定)無事にリリースされた2nd EP ''Frustration'' は、今作もそのジャンルにこだわらない前述のサウンドを踏襲。Vo. KENTOのキャッチーなメロディを前面に押し出した楽曲が増えた印象で、昨年先行でリリースされたエレクトロニコア調のイントロと四つ打ちパートが特徴的なTr.1 ''SAVIOR''も収録されています。ただ、Tr.4 ''A Whole New World'' のように徹底的に落とすビートダウンやステージダイブの疾走パートもしっかり搭載されていて油断できません。

 3/9には個人的にバイブスが合うと思っているイベント戮力事変の1周年企画でまた大阪に来てくれるので遊びに行きます。何とは言いませんが、また伝説を残してくれるでしょう。


SIGHTBACKS - MISSINGLINK

EP (2/3)

 東京を拠点に活動しているメタルコアバンドの最新EP。トレンドの最先端を行くエキセントリックなアプローチ、予測困難かつ独創的な展開やハイパーポップやトラップを始め様々なジャンルのエレクトロアレンジは唯一無二で、Buried Alive IIIにも出演いただいた通りキャリアの浅さをガン無視でシーンの最先端を駆け抜けているバンドの一つです。僅差で優勝を逃したものの、海外アクトとの共演を賭けたT.M.MUSICのオーディションショーにも出演を果たしたあたり今後ますます注目度が高まると思います。

 先日レコ発も行われた2nd EP ''MISSINGLINK'' は、4曲で9分のコンパクトな作品ながらキャッチーさもありカオスもあり情報量多めで聴きごたえ抜群。お得意のエレクトロサウンドを飛び道具にしながらビートダウンでモッシュを煽るオープニング ''Hang over the Candy'' から、Sup Gt. Taikiのギターソロをフィーチャーしたイントロが特徴的なTr.2 ''RAINRUNNER''、お祭り感あるサビパートとモッシュパートの落差が異常なTr.3 ''ACID COLOR IN MY HEAD''、そしてVo. SOTA曰く作中''最も異作''で所々DnBを取り入れたTr.4 ''Ultimate Survivor'' と、一聴では頭がパンクすること必至ながらどこか中毒性のある一枚。


Normandie - Dopamine

アルバム (2/4)

 スウェーデン・ストックホルムを拠点に活動しているポストハードコアバンドの最新アルバム。このバンドのデビューアルバム ''inguz'' が2016年にリリースされた当時、その繊細かつ叙情的に展開されていくメロディとVo. Phillip Strandの伸びやかなクリーンボーカルを活かした作風はリスナーの間でも話題になったのを今でも覚えています。以降の作品はダンス/エレクトロニカ/テクノなどの要素を取り入れつつもモダンなポストハードコアを貫いてますが、根本のメロディの質が良いのは変わりません。

 前作 ''Dark & Beautiful Secrets'' 以来3年ぶりとなる4thフルアルバム ''Dopamine'' はそれまで提示していたオルタナティブロックのスタイルを踏襲し、よりポップロック/エレクトロの側面が増した作風に。前作から感じていたことですが、Phillips自身がスタジオを運営していてDaniel WellingtonやMister Greenなどファッションブランドのジングル/BGMなどの案件を受けていることもあり、音遣いが丁寧かつ綿密に練られている印象。Tr.8 ''Hourglass'' ではBury TomorrowのDani Winter-Batesがfeat.で参加しており、そのシャウトで楽曲の激しさに華を添えます。


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