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Fieldism必聴新曲リスト 2024 2/27~3/3

 いつもお世話になっております。Ryotaです。

 先日プチ炎上したあのフェイクニュースの話題、思い出すだけでも腹立たしいんですが、面白いと思ってやったんですかね?それとも東日本大震災の日だったから多くの人に募金してもらおうと善意でやったんですかね?

 昔エイプリルフールとかで知り合いのメタルコアバンド(すでに解散しています)が「〇〇(メンバー)が国に帰国することになりましたので、脱退します」って嘘吐いたことがあってそれを丸々信じたことがあるんですが、あれ見てから脱退・解散・再結成の嘘ニュースにガチの拒否反応出たんですよね。

 ツイッターでもポストしたんですが、インプレ稼ぎで再結成を騙るのは不謹慎だし、それを面白いと思ってる感性が理解できないのでマジでやめてほしいです。

リストアップの条件ですが、下記2点です。
1. 2/27~3/3にフィジカル/ストリーミング/DL販売/MVのいずれかが解禁された作品(基本的により多くの人にアクセスできる手段を優先します)。
2. フルアルバム or EPのリリース時期がある程度明確にアナウンスされている作品の先行シングル、および既存楽曲のリマスターやカバー等は選出対象外。ただしアルバムのデラックス盤のみetc.に収録予定の楽曲は選出対象。

a crowd of rebellion - HOUKOU

シングル (2/27)

 新潟を拠点に活動しているラウドロック・ポストハードコアバンドの最新シングル。変幻自在に展開を見せていく予測不可能かつアグレッシブなバンドサウンド、Gt/Vo. 小林亮輔のハイトーンクリーンとVo. 宮田大作の苛烈なシャウトから繰り出されるエモーショナルなリリックは唯一無二の世界観を確立しています。昨年はそれまでサポートで帯同していたBa. 中尾佳介(ex.午前四時、朝焼けにツキを加えた新体制初のEP ''ALVA'' をリリースし、初心に帰る気持ちで渋谷CYCLONEや新宿ANTIKNOCKなどでのキャパ2~300クラスでのライブも精力的に行われてきました。

 その矢先、小林が適応障害と診断されたことでキャリア初の主催サーキットイベント"咆光祭"2024を持って無期限活動休止を発表。直前にゲリラリリースされた ''HOUKOU'' 、Tr.1の表題曲はピーキーな疾走パートと手数の多いブラストビートから感情の高ぶりを感じますが、サビで出てくる「これだけでしかいきれなかったんだ」が全てだと思ってます。ただ、中盤の和の雰囲気が出てくるお祈りを捧げられそうなパートや2:28のハイパーポップ影響下のチョップとか捻り心も忘れてません。Tr.2 ''狐℃狗'' はトラップ調のパートがお気に入りですが、ここでは情報量が多すぎて語りきれないので別の機会で。


Alcal Call - ビオトープ

EP (2/28)

 東京を拠点に活動している3人組オルタナティブロックバンドの最新EP。マス/ポストロック、シューゲイザー、メタルコア、激情ハードコアなどのジャンルから影響を受けたサウンドを軸に、日常で感じる閉塞感/諦観と儚い希望をテーマにハイトーンボイスとシャウトを使い分けて歌い上げるGt/Vo. しゅうこのボーカルワークが特徴です。昨年リリースされたシングル ''テスカトリポカ'' ''metempsychosis'' ではデビュー作 ''トートロジー'' よりもダウナーなニュアンスを表現するために強く歪ませた弦楽器のサウンドが多用されており、よりシューゲイザーへの傾倒を見せていました。

 シングル2作を経て先日リリースされた2nd EP ''ビオトープ'' では、窮屈な世界を“ビオトープ”に喩え、その中で確かに存在する“自分自身”や他者について表現した作品。ポスト/マスロック影響下の透き通るようなクリーンギターサウンドは一貫しながらも、前作で顕著だったシューゲイザーサウンドの轟音は今回でも発揮されており、その静と動のコントラストが感情の起伏を見事に表現しています。特にTr.3 ''蹄に均される世情'' の曲中の振れ幅はストレートに今述べたことを体現しているので聴いてみてほしいのと、最後のTr.5 ''紙魚'' のスポークンパートから終盤へ畳みかける展開はハイライトです。


Thornhill - Obsession

シングル (2/29)

 オーストラリア・メルボルンを拠点に活動しているオルタナティブロックバンドの最新シングル。2022年にリリースされた2ndフルアルバム ''Heroine'' はそれまでのアトモスフェリックなメタルコアから、DeftonesThe Smashing Pumpkinsなどから音楽的な影響を受け、そこに「映画みたいな音楽をやりたかった」と公言している通り古典的なハリウッドのイメージを独自の解釈で表現したユニークな作風は瞬く間に話題に。その年のツアーは引っ張りだこでしたが、類を見ない多忙さにバンドは疲弊。充電期間を置いたとともに、Gt. Matt "MVD" van Duppenが裏方でのマネジメントに専念するためステージを下りました。

 充電期間から回復したのち昨年 ''The Viper Room'' を引っ提げて帰ってきたThornhill、2024年初のシングルとなる今作 ''Obsession'' は「欲しいものを手に入れようとする執着心」がテーマとなっており、前作で確立されたオルタナティブロックに現代のメタルコアのサウンドをミックスさせた唯一無二のスタイルは健在。初期から培われてきたVo. Jacob Charltonのアンニュイな面を押し出した色気あるボーカルワークも惜しみなく披露されています。同郷の写真家・映像作家であるJon PisaniとJacobが指揮を執った官能的なMVも公開されていますが、Jacobはライブでもギターを弾いているのでチェックしてみましょう。


Attila - Timebomb

シングル (2/29)

 アメリカ・ジョージア州アトランタを拠点に活動しているメタルコアバンドの最新シングル。「これ以上人を怒らせるために貶めたり斜に構えない」とVo. Chris Fronzakが公言している通り、それまでのパーティー・酒・女やその下品で過激なリリックなど問題児といったイメージから大きな転換を図ろうとしている彼らですが、昨年リリースされたEP ''FU4EVR'' の中で最初に先行でシングルカットされた ''Bite My Tongue'' では、それまでFronzがやってこなかったメロウなクリーンボーカルが導入されたことでも話題になりました。

 2024年初のリリースとなる今作 ''Timebomb'' では「精神的にコントロールを失い、時限爆弾のように爆発する瞬間」をテーマに制作された楽曲で、メタルコア・ニューメタル・デスコアを融合させつつも近年のAttilaの作品でよく取り入れられているタテノリのミドルテンポ調の楽曲に、Fronzがラップ・スクリーム・そしてクリーンボーカルと多彩な顔を見せながら展開していきます。ソングライティング・Fronzのボーカル共にさらなる新境地を見せているAttilaですが、再び来日した暁にはピザの上のパイナップルが好きな人と嫌いな人を分けてウォールオブデスを煽ってほしい所存です。


Stepson - Discover Lonely

シングル (3/1)

 オーストラリア・ブリスベンを拠点に活動しているメロディックハードコア/ポストハードコアの最新シングル。もともとは初期衝動とアグレッションを全開にした叙情的なメロディックハードコアを提示していましたが、SharpTone Recordsと契約し2021年にリリースされたデビューフルアルバム ''Help Me, Help You'' ではそれまでの作風は踏襲しながらもオルタナティブ・インディー・ポップパンクあたりの要素も昇華した楽曲も収録しており、多彩な表情とセンチメンタルなメロディが活きた挑戦的なアプローチに満ちた作品となっていました。

 2022年リリースシングル ''Eraser'' 以来約1年半ぶりのシングルであり、レーベルを抜けインディペンデントとして再び歩み始めた彼らの新曲 ''Discover Lonely'' では、アルバム ''Help Me, Help You'' でも提示していた激情的なメロディックハードコアにモダンポストハードコア/オルタナの洗練されかつ奥行きが感じられる空気感が入り混じる一曲となっており、同時にエネルギッシュながらも繊細なメロディも感じられます。Vo. Brock Conrynの喉を振り絞るようにして叫ぶスクリームとGt/Vo.Nickolas Farrのクリーンボーカルの対比もそうですが、全体的にどこかBeing As An Oceanの最新作にも共通するハイブリッドな雰囲気があります。


Anchors & Hearts - Deathlist

アルバム (3/1)

 ドイツ・ハンブルグを拠点に活動しているメタルコアバンドの最新アルバム。基本的にはメタルコアにメロディックパンクのドライブ感を融合させた連想してしまうような疾走感と哀愁を前面に押し出したサウンド・ライブハウスでシンガロングする光景が容易に想像できるメロディが特徴で、個人的にはComeback KidNo Bragging Rights、同郷のLight Your Anchor、日本で言えばTHE MAYTHあたりのバンドが好きな方にはハマる印象です。10年以上のキャリアの中でこれまで4枚のアルバムがリリースされています。

 2021年リリース ''Guns Against Liberty'' 以来約3年ぶりの5thアルバム ''Deathlist'' は、上で紹介したエネルギッシュなギターリフとシンガロングが盛り込まれたサウンドは今回も踏襲されておりながら、Tr.4 ''The Everlasting''やTr.11 ''Call Me A Mascot'' などで出てくるタテノリのリズム・ラップを始めとしたニューメタル要素や、Tr.3 ''Never Thought'' などポップパンクリスナーにもアプローチできるバラエティ豊かな作品に。楽曲ごとに扱うテーマも政治に対するアンチテーゼや個人的な内省と幅広く、そういう意味ではより多くのリスナーへ間口を広げることができる意欲作だと感じます。


Alienist - Love/Hate

EP (3/1)

 オーストラリア・ウロンゴンを拠点に活動している新鋭ニューメタルコアバンドの最新EP。Polaris, Alpha Wolf, Northlaneをはじめ近年のオーストラリアのメタルコアシーンは全体的にクオリティの高いバンドが多く盛り上がりを見せていますが、毎晩バンド同士がしのぎを削っている激戦区でもあります。その中でも急成長株として注目を集めているのがこのAlienist、昨年の秋にThornhill, Void Of Vision, In Hearts Wakeなども所属している同国のレーベルUNFDとの契約とともにシングル ''Prisoner Of You'' をリリース。今年に入ってThe Gloom In The Cornerの国内ツアーでPROMPTSとも共演しています。

 満を持してリリースされたデビューEP ''Love/Hate'' は、タイトル通り「愛と憎しみ」と相反する感情をテーマに宗教、自己疑念、人間関係の葛藤、メンタルヘルスなど様々なトピックに触れていく作品で、Wage WarI Prevailなどのモダンメタルコア/ポストハードコアをオーストラリア特有の少しニューメタルに寄った雰囲気にアレンジしたバンドサウンドとGt/Vo. Damon Renesのキャッチーなボーカルメロディの組み合わせは、普遍的でありながらカタルシスを引き起こす仕上がりでUNFDの新鋭として十二分のクオリティがあると思います。


4 Roses - My Juliet

シングル (3/1)

 ''EmoPopPunk'' を掲げ東京を拠点に活動しているポップパンクバンドの最新シングル。Good Griefを先頭に、MIGHTY HOPE, Winter Wakes, LIKE A KIDなどと並んで東京ポップパンクシーンを盛り上げているバンドの一つでその中でも一番若手のバンドにも関わらず(2023年1月始動)、その精力的なライブ活動・4月リリースの ''New Day'' 含め2枚のシングル & 1枚のEPとハイペースな音源リリースで着々と注目を集めていました。メンバーが昨年のONE AND ONLY FESTIVALに遊びに来ていて話はしたことがあるのですがまだライブは観れていない、個人的に気になっているバンドの一つです。

 先日もUNMASK aLIVEThe Cards I Playといった先輩をラインナップに加えた自主企画 ''Roses Bloom'' を完遂したことも記憶に新しい彼ら、サウンドエンジニアリングにGood GriefのVo. Yasuが携わり、自主企画に先駆けてリリースされた最新シングル ''My Juliet'' は、「愛」を信念に歌い上げるバンドを体現した一曲。恥ずかしいくらいにまっすぐで熱いリリックと2000年代に大流行を巻き起こしたエモにも共通するキャッチーなメロディを、同じくしてエモ/スクリーモに強い影響を受けているVo. Xavierが歌い上げているのも様になってます。ところどころギターのレイヤーが複雑に絡み合ってるのも聞きどころです。


Find Me Alone - To The Self, With Love

EP (3/1)

 東京を拠点に活動しているポップパンクバンドの最新EP。2022年9月にデビューEP ''Throw on Your Red Flannels and Old Skools Because We’re Going Back Home'' をリリースし直後に始動ライブを開催。ミッドウェスト感漂うエモ・オルタナのエッセンスを取り入れたポップパンクサウンドと、「外から見た日本」のポップパンクを体現するアメリカ出身のフロントマンVo. Ethanが日本語と英語を交えながら歌うのが特徴で、東京ポップパンクシーンのニューカマーとして着々と注目を集めています。

 バンドのメインロゴも担当した墨絵師・入墨師である「和」氏による猛々しい侍のアートワークが印象的な2nd EP ''To The Self, With Love'' は、前作同様エネルギッシュなビートや疾走感の中にも、懐かしさと哀愁を感じさせるメロディにあふれた作品で、曲中でも紅葉に覆われた歩道を湖に向かって歩く時のBGMにうってつけ(実際にTr.4 ''Daigaku Emo'' は秋の紅葉が美しい諏訪湖からインスパイアされたそう)。また、Tr.2 ''Hey, Rise!''はイージーコアチックなブレイクダウンで締めくくるのもライブ映えしそうでワクワクします。4/28には先述の4 RosesとともにGood Griefの企画 "EVERGREEN"に出演、5/4には下北沢でレコ発を開催するのでこれからの動向にもチェックです。


In The Alice - In The Alice

EP (3/2)

 東京を拠点に活動しているメタルコアバンドの最新EP。メロディックメタルコアを軸にしながらも、時折盛り込まれる耽美なシンフォニックアレンジ/ピアノといったシアトリカルな要素も伺えるのと、ライブやMVではジャケット・スラックス・ジレなどフォーマルな衣装でパフォーマンスを行うのも特徴です。今年の2月に解散を発表し、先日は盟友のSatylusHaze of the Bullet Blossomらをゲストに加えてラストショーを開催。現名義で約2年半、前身のDying Seven Rebirth, さらにその前のDRAW THE INFINITYも含めると約8~9年の活動に終止符を打ちました。

 サウンドエンジニアリングに作編曲家でありギタリストのHide (ex. WAILING ARIES)を加え、自らのバンド名を題し解散直前にリリースされたEPでは、メタルコアを軸にしながらもそれまでの耽美な印象は薄れ若干モダンに寄った印象。Tr.1 ''Ray'' では筆者も大変お世話になっており先日のラストショーにも出演した東京メタルコアALIOTHのVo. TELが客演で参加。ALIOTHでも発揮されているいかついシャウトが遺憾なく発揮されています。Tr.3 ''Lights'' は過去の楽曲と比べてテンポを落とした分グルーヴやメロディを活かした印象で、特に後者はリリックからして「本当に解散してしまうんだな」と再認識させられます。

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