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アーサー・コナン・ドイル北極日記6月17日

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6月17日木曜日

いろいろあった日だった。とにかくエクリプス号にとっては。午前10時頃、コリンはマストの見張り座から1頭のクジラが5マイル[8km]先にいるのを見つけた。その一方、エクリプス号は別のクジラをボートで追跡していた。我々は帆を張ってコリンがクジラを見つけた方角に向かったが再発見できなかった。午後1時頃、クジラが船から50ヤード[45m]以内に突然姿を現した。クジラはもう1頭いた。2頭[のクジラ]は子羊のように水中で跳ね回っていた。我々は、コリンのボート、カーナーのボート、レニーのボート、そして、ピーターのボートの4隻を降ろした。4隻はクジラが再び姿を現しそうな流氷の周りに集まった。クジラたちはレニーのボートの近くに姿を現したが、不運なことにベビーは決断力がある男ではなく、もう1頭[のクジラ]を怯えさせることを恐れて近くにいるクジラに発砲することをためらった。近くにいるクジラはレニーに目を止めた。クジラたちは二つに分かれた。1頭は姿を消した。もう1頭は、風上に向かって激しく追跡するボートの先を進んだ。甲板から私は、ボートのすぐ前で荒々しく飛び跳ねるクジラを見た。その大きな尾ビレは空を切ったが、我々の仲間たちはその打撃が届く範囲にはいなかった。エクリプス号はクジラが向かう方角を見定めると、回り込んでクジラの前に2隻のボートを降ろした。クジラが二等航海士のボートのすぐ前に姿を現した。ユニオン・ジャックがボートに翻るのを見て我々は悔しく思った。それはクジラに先に手を付けたことを示しているからだ。夕食の間に彼らはクジラを屠って、午後8時前に水揚げした。船に戻ったレニーは船長から厳しい叱責を受けた。

夕食後、我々は大きなクマが氷の先にいるのを見た。クマは非常に興奮していた。おそらくクジラの血を嗅ぎつけたかからだろう。私はマシソンとともにボートに乗って熊を殺しに行った。我々はライフル銃を持って氷に上陸した。それは数マイルもの幅がある大きな流氷だった。我々から40ヤード[36m]ほど離れた氷の丘の間にクマが頭を出しているのが見えた。 突然、クマが我々を見つけて、凄まじい速さで流氷を横切って迫ってきた。クマは走りながらいかにも残忍な感じで前脚を挙げた。マシソンと私は氷に跪いた。私は獣が我々のすぐ頭上に来るまで発砲しないつもりだった。しかしながらマシソンは獣が15ヤード[15m]先まで迫った時に発砲した。[銃弾は]クマの頭をかすめた。クマは方向転換すると我々から速足で遠ざかり始めた。クマが見せている尻に向けて私は銃弾を叩き込んだ。クマは負傷しながら氷上を走り去った。我々がそのクマを見ることは二度となかった。

今日、「ボースン」カモメを見た。夜、航海士の船室で喧嘩が起きた。

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