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ビリー・ザ・キッド、真実の生涯―第5章

放浪者—ジェシー・エヴァンズ、再び—17才のビリーの外見—ビリーとジェシー—メスカレロ族に攻撃をしかける—血塗れの仕事—斧でインディアンを虐殺

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チワワを離れた後、ビリーとセグーラはリオ・グランデ川に来た。そこで彼らは別れたが短期間だけであった。1876年12月までにビリーの経歴は常軌を逸したものになっていた。彼の冒険をすべて追うことはとてもできない。そうした冒険の多くは明らかに歴史の闇の中に失われている。あれは古馴染みのジェシー・エヴァンズと再会した。そして、それから数ヶ月間、ビリーの事績について知られているすべて[の情報]は、彼自身とジェシーの脈絡のない話から得られている。

この若き2人組はテキサス西部、メキシコ北部と東部、リオ・グランデ川沿岸でたくさんの大胆不敵な犯罪行為によって名を轟かせていた。若きジェシーは勇敢だが無節操な無法者として、死をもたらす武器を扱う技量と勇気で名声をすでに獲得していた。彼とビリーは匹敵していた。この時、彼らはほとんど同じくらいの体の大きさであった。おそらくジェシーは1才か2才年上であったが、ビリーはジェシーよりも背が少し高く体重が少し重かった。1876年11月、ビリーは17才であり、彼が亡くなった日とほぼ同じくらいの体の大きさであった。明るいブラウンの髭が彼の唇に姿を見せ始めていた。彼の髪の毛はより暗いブラウンであり、光沢があり、豊かであった 。彼の目は深い碧であり、榛色が斑のように入っていて、非常に明るく、表情豊かで、知的であった。彼の顔は卵形であり、最も際立った特徴は2本の飛び出た前歯であり、 知ったかぶりの新聞記者は彼に会ったこともなく彼の冒険を見たこともないのに「その牙は残虐で殺人者の証を彼の特徴に与えている」と記している。それは真実から程遠い。これらの歯が彼の容貌の中で顕著な特徴であることは真実である。彼が会話に興じる時や笑う時、それらが目立ったことは確かである。しかし、それらが彼のいつも楽しげな表情に残虐な感じを与えたこともなければ、殺人や裏切りを匂わせたこともない。

ビリーについて知っていたすべての者が、慇懃で礼儀正しく紳士的な態度によって彼は信頼と有益な庇護を寄せられ、彼もまた決して信頼を裏切らず、庇護を申し出なかったことはなかったと証言するだろう。彼のことを最もよく知る者は、彼が最も荒々しく危険な雰囲気の時、彼の顔にいつも笑みが浮かんでいたと告げるだろう。彼は食べては笑い、飲んでは笑い、乗っては笑い、話しては笑い、戦っては笑い、そして、殺しては笑った。大袈裟ではなく騒々しくない高笑い、だが愉快な笑み、もしくは柔らかく音楽的な「声のささめき」。彼を知る者は、怒りの色が浮かばないか彼の目を注視した。彼の目の色に浮かぶ怒りの色は読み取れる者にとって残虐で凶悪であったと伝記作家達が述べているように、それはビリーについてよく知るための完全な手掛かりであった。燃えるような不吉な眼球と笑顔が同じ精神によって統御されているとは、ほとんど誰も信じられなかっただろう。

この時、ビリーは身長約5フィート7.5インチ[約171センチメートル]、矢のように真っ直ぐであり、約135ポンド[約61キログラム]、豹のように軽妙で活動的、そして、優雅であった。彼の体型はがっしりして引き締まってすばらしい筋肉質であった。自分よりも大きく力強い男と見解の相違が起きた時、それは彼の利点であった。しかし、彼が恐れられたのは武器を扱う技量のゆえである。彼はベルトの留め金を外し、腕を落とし、そして、「やってみろよ、おまえさん。今なら隙だらけだぜ。がちんこで戦おうぜ」と言う。たいてい彼は戦いに勝ったが、最悪でも傷を負うことはなかった。

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