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江戸時代に学ぶお金 その15:儲けるは難し、減らすは易し


巻3⑤ 紙子身代の破れ時

かつて繁栄していた朝の繁昌が、夕べには消えて、こうもまた落ちぶれ果てるというのも浮世の習いであり、そういう時節が来たのだといえばそれまでだが、つまりはそれも主人の心がけが悪いからである。

息子の忠助が(金持の)家を相続してから三十年余りというもの、勘定なしで帳面にも付けないという無分別なやり方だったから、春の柳が風に乱れるように家計が乱れ、湯を飲もうにも薪さえない有様となった。

いったいに金銀を設けることはむつかしく、減るのは早いものだ。忠助も財産をすっかり失くした今になって、その道理がわかってみても、もはや遅かった。

やむなく浅間神社の門前の町はずれに、仮の世の借屋住まいをすることになったが、ほんとうにつらいことであった。人の情も家が繁昌しているうちのことで、こうなっては親類縁者も寄り付かない。

(神頼みにかけた忠助は)全身全霊をこめて、「私一代のうちに、今一度は長者にして下さい。子供の代には乞食になろうとも、ただ今の私を助けて下さい」と、その一念が地獄へも通じてくれればとばかりに鐘を撞くのであった。

(人々は)「そんな心がけだから、あのざまになったのだ」と指さして笑うのであった。

(最終的にむすめが江戸の金持にみそめられ)
忠助夫婦は一家残らず江戸に引っ越し、わが子の世話になる仕合せな身の上となり、一生を楽々と送った。

『新版日本永代蔵』(著 井原西鶴、訳 堀切実、KADOKAWA)より

300年たってもお金については何ら変わっていない。

本日の学び
・儲けるのは難しいけど、お金が減るのは早い
・お金がなくなると、周りから人がいなくなる
・子供を大切に育てることは重要


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