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江戸時代に学ぶお金 その19:仕事はまっとうであるべし


巻4④ 茶の十徳も一度に皆

越前の国敦賀の港は、毎日の入舟が多く、一日平均の入港税が、大判金一枚にものぼるということである。

ここは各種の問屋の繁昌している所である。
それにつけても、ともかく正直に頭を下げて、その場のその場の客でも、丁重に旦那扱いにして、諸国の買出し商品を招く商い上手の者は、世渡りに困ることはない。

たとえ利益があるにしても、
・はじめっから計画的に流すつもりの抵当で金銀を借りたり、
・さまざまな贋物をつかませたり、
・詐欺師とぐるになって持参金つきの女房を貰ったり、
・寺々の祠堂銀を借り集めておいて破産したとしてすましたり、
・博打打ちの仲間入りをしたり、
・山師稼業をしたり、
・偽物の朝鮮人参の押売りをしたり、
・美人局をしたり、
・犬殺しをしたり。
・知乳飲み子を貰って餓死させたり、
・溺死人の髪の毛を抜き取って売ったりするなど、
いかに生活のためだからといって、こんな人の道に外れた仕事をするというのは、たまたま人間に生まれても、生きていく甲斐はない。

何事もその身に染まってしまうと、どんな悪事でも自分ではそれと分からなくなってしまうものだ。そうなっては大変残念なことだから、世間並みの世渡りをするのが人間というものである。

考えてみると、夢のようにはかない五十年そこそこの人生なので、どんな商売をしたからといって、暮らしのできないはずはないのだ。

『新版日本永代蔵』(著 井原西鶴、訳 堀切実、KADOKAWA)より



300年たってもお金については何ら変わっていない。

本日の学び
・正直に仕事をすることは大事である。
・利益のために道を外してはいけない。
・どんな仕事でもこの世の中生きていける。


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