トップ画像引用：チャールズ国王戴冠式、秋篠宮ご夫妻ら各国要人出席し荘厳に…ロシアは招待されず

■ VS　くろたん

2023年9月30日（土）午後6時
－東京都某区　スナック忘れな草－

「おや？くろたんからメールが来ていました」

ギョニ子らスナック忘れな草の常連客が雑談をしていると、マスターがスマホを操作しながら言った。くろたんからメールが来ているという。

「予告するなんて珍しいんじゃない？」

生ビールのジョッキを片手に、ギョニ子が言った。

「くろたんはいつもさあ、あたしたちが検討しているところに、突然絡んでくる感じじゃん？」

マスターが答える。

「久しぶりにあとさき対決をしようということみたいですよ。お互い1頭ずつ指名して、どちらの馬が先着するかを競う」

「向こうからそう言ってくるってこたあ、くろたんさん、相当自信があるんだろうな」

タコ社長が言った。右手には眞露の水割りが入っているグラスが握られている。

「受けて立とうじゃないですか！僕たちの本命アグリで！」

真一郎が言った。麗子ママも頷いて続く。

「そうよ。今週はアグリネタで週の始めから盛り上がったしね」

■ 本命馬の変更

「本命馬の件なのですが・・・」

マスターが静かなトーンで切り出した。

「アグリから別の馬に変更しようと思っているのです」

マスターの発言に、店内が一気にどよめいた。

「おいおい、ここへきて本命馬の変更かい！？そりゃねえんじゃねえの？」

タコ社長が右手のこぶしでカウンターを叩きながら言った。ギョニ子も同意見のようだ。

「そうよマスター！アグリ以上に根拠がある馬なんているの？」

「シリウスＳの結果を受けて、考えていたことがあるのです」

マスターが言った。

「昨日の検討会で、今週は月をまたぐレアな開催だと言いました」

09月30日（土）上半期最後の日
10月01日（日）下半期最初の日

「ひとつの節が月をまたぐ・・・それから節を馬名に持つトウセツをシリウスＳの本命としました」

「でも残念ながら馬券にはならなかった・・・」

真一郎が言った。マスターは頷いて話を続ける。

「そうなんです。9月30日は上半期最後の日。10月1日は下半期最初の日。この両極端な二日間を含むレアな節ですから、キーワードは『表裏一体』ではないかと仮説を立てました」

「例のスルーセブンシーズの初富士Ｓ。3枠にいたヘッズオアテールズの意味がコイントスであることにもつながると言ってたわよね？」

ギョニ子が訊いた。マスターが頷く。

「トウセツは不発でしたが、『表裏一体』というキーワードが間違っていないのなら、スプリンターズＳでこそ、『表裏一体』を示唆する馬が来ると思うのです」

「スプリンターズＳで『表裏一体』を示唆する馬・・・その馬が新しい本命ってわけね？」

麗子ママの問いに、マスターが頷いた。タコ社長が続く。

「それを聞かせてもらおうか。みんなが納得すりゃあ、本命馬をアグリからその馬に変える。そしてくろたんを迎え撃つ。それでどうだい？」

タコ社長の提案にみんなが頷き、マスターによる新しい本命馬のプレゼンが始まった。15分後、スナック忘れな草の全員が、新しい本命馬に切り替えることに同意した。

■ 罰ゲーム

2023年9月30日（土）午後7時
－東京都某区　スナック忘れな草－

くろたんは静かに店内に入って来た。着ているものはコスプレではなく、表情にもおちゃらけたところは一切なかった。

くろたん　X（ツイッター）
https://twitter.com/heizhaogon63368

「みなさんお待たせしました。私の本命馬はテイエムスパーダです。みなさんの本命馬も決まっていますよね？風の噂ではアグリと聞いていますが・・・」

くろたんの言葉にマスターが答える。

「当初はそう考えていましたが、同厩舎のジュビリーヘッドに変更します」

「なんと！下から数えた方が早い人気薄じゃないですか？」

「もちろんたっぷり根拠は用意してありますよ。ところであとさき対決で負けた方の罰ゲームはどうしましょうか」

マスターの提案にくろたんは腕を組んで考えた。

「前回の安田記念の対決は、私がシュネルマイスター、そちらがソングラインで私の負け。私はハンドルネームをゲッツマングローブに一時変更しました。今回もハンドルネームの変更でいいんじゃないでしょうか？」

くろたんの提案にマスターが答える。

「よろしいでしょう。我々が負けたら、ハンドルネームではなく、このスナック忘れな草の店名を、一カ月間『くろたんと愉快な仲間たち』に変更します。ただし我々が勝った場合は・・・」

「勝った場合は？」

「くろたんには包茎手術を受けてもらいます」

「ハハハハハ！何をおっしゃるやら。私の立派なジュニアは皮なんかかぶってませんよ」

「いえ、ですから包茎になるように手術を受けてもらうのです」

「なんじゃそりゃ！おしっこするたんびに床がびしょ濡れになるわ！」

ギョニ子が突っ込む。

「どうでもいいわ！早く対決を始めましょう！」

■ プロジェクトX

「では、私たちから始めさせてもらいます」

マスターが言った。

「先週の日曜日、JRAからJRAアプリリリース記念の発表がありました。赤富士Ｓが変更となります」

第4回東京競馬第2日第10レース【10月8日（日曜）】
変更前 赤富士ステークス
変更後 JRAアプリリリース記念

「アプリで名称変更と言えば、最近世間を騒がせている話題にツイッターの名称変更がありましたね」

「Ｘですね。最近私もよく利用させてもらっている」

「赤富士Ｓの赤富士はもちろん富士山のこと。そしてＸ。ＣＭのテイエムオペラオーは、これらふたつのワードをつないでくれます。しんちゃん、お願いします」

真一郎が頷いてあとを引き継いだ。マスターの新本命馬のプレゼン後に、交代で説明することを段取りしていたのだ。

「ＣＭのテイエムオペラオーは2000年の秋天。この年、Ｘにまつわるある番組が始まりました。NHKのプロジェクトＸです」

「ほう。それで？」

くろたんの問いに真一郎が続ける。

「2000年3月28日。第1回目のプロジェクトＸのサブタイトルは、『巨大台風から日本を守れ　富士山頂・男たちは命をかけた』でした。Ｘと富士山がつながったわけです」

「ちょっと強引な気がしますが、まあいいでしょう。続けてください」

「スプリンターズＳのポスターを見てください。右上にアルファベットのＶの字を逆さまにしたようなものが見えます」

「面白いのが、プロジェクトＸの第1回から第3回までのサブタイトルです」

2000/3/28　第1回
「巨大台風から日本を守れ
富士山頂・男たちは命をかけた」

2000/4/4　第2回
窓際族が世界規格を作った
VHS・執念の逆転劇

2000/4/11　第3回
友の死を越えて
青函トンネル・24年の大工事

「ポスターの右上に見えるものは、山でありアルファベットのＶでもある。そうすると第1回の富士山、第2回のVHSのＶ、そして第3回の青函トンネルにつながります」

「ちょっと待ってください。富士山とVHSはいいとして、青函トンネルにはどうつながるのかな？」

くろたんの問いに真一郎が答える。

「青森市には三角の形をした商業施設、アスパムがあります。これで、スプリンターズＳのポスターはプロジェクトＸを示唆していると解釈できます」

「まあいいでしょう。それからジュビリーヘッドにどうつながると・・」

「凱旋門賞出走のスルーセブンシーズ。馬名の最初と最後から、この馬はキムラハヤオさん提唱の姿煮理論を借りると、スターズオンアースの姿煮といえます」

（ス）ルーセブンシ（ーズ）
（ス）ターズオンア（ース）

キムラハヤオさん運営　サイン会議室
https://bbs1.rocketbbs.com/kaigi

「スターズオンアースの馬名意味は『地球上の星』・・・つまり『地上の星』。プロジェクトＸのオープニングテーマです」

「中島みゆきですね。名曲だ」

「プロジェクトＸのエンディングテーマは、『地球上の星』のカップリング・・・つまりレコードで言うところの裏面、『ヘッドライト・テールライト』です」

（ヘッド）ライト・（テール）ライト
　ジュ（ビリ）ー（ヘッド）

「ジュビリーのビリをテールと解釈すれば、ジュビリーヘッドはヘッドライト・テールライトとなります。ヘッドとテールについては・・・」

真一郎はそのあと、初富士Ｓの3枠（赤富士枠）にヘッズオアテールズがいたことを説明した。

「なるほど。プロジェクトＸが隠れキーワードで、ジュビリーヘッドはエンディングテーマだから怪しいと？」

くろたんの言葉にみんなが頷いた。

■ 調教後馬体重

「くろたんのターン」

マスターの言葉にくろたんが頷いた。

「では始めさせてもらいます。最初はかるくジャブから。長けりゃいいってもんでもないのですよ。調教後の馬体重サインです」

●調教後馬体重

前走と調教後の馬体重が同じ馬が1頭
エイシンスポッタ－ 508K・508K

テイエムスパーダ
調教後の馬体重 （508K）

「前走馬体重と調教後馬体重が同じ馬は508キロのエイシンスポッターただ1頭でした。同じく、調教後の馬体重が508キロだったのは他にテイエムスパーダだけです」

「え？もう終わり？全然満足できないわ」

「もういっちゃったの？みたいに言うな！だからこれはジャブだって！このあとどんどん凄いのが出るからね！」

■ 戴冠式

「次はわたしたちの番ですね。今日子ちゃんお願いします」

マスターに促されて、ギョニ子が説明を始めた。

「ヘッドラインに注目したわ」

スプリンターズS　ヘッドライン
「体感したことのない速さが輝く永遠の一瞬。」

「冒頭の『体感』を同音異義語の『戴冠』と解釈するわ。今年、戴冠式を執行したのがチャールズ英国王。ジュビリーヘッドはヴィクトリア女王に関する馬名だから、これだけでも狙えるんだけど、まだ続きがあるの」

「ほう。それで？」

「チャールズ国王の息子は、ウィリアム皇太子とヘンリー王子。ジュビリーヘッドの騎手は北村友一。もし馬券になれば、GⅠでは昨年のマイルチャンピオンシップ以来となるわ」

2022　マイルＣＳ
ダノン（ザキッド）（北村友一）2着

2023　スプリンターズＳ
ジュ（ビリー）ヘッド（北村友一）？着

「直近2頭の3着内馬で『ビリー・ザ・キッド』の完成よ」

「ビリー・ザ・キッド・・・それがどうしたと？」

「ビリー・ザ・キッドの本名は、ウィリアム・ヘンリー・マッカーティ・ジュニア。名前にチャールズ国王の息子2人の名前が入ってるってわけ」

2022　マイルＣＳ
ダノン（ザキッド）2着

2023　スプリンターズＳ
ジュ（ビリー）ヘッド

→ビリー・ザ・キッド
（本名：ウィリアム・ヘンリー・マッカーティ・ジュニア）

チャールズ国王（戴冠式）
ウィリアム皇太子・ヘンリー王子

「ほほう。こねくり回してきましたね・・・まあいいでしょう」

■ ホッコーアカツキ

「くろたーーーん」

マスターの言葉に頷いたくろたんが、次のターンを始めた。

「まだ記憶に新しいところでしょうが、テイエムスパーダの前走、セントウルＳの日は、富田暁デーでしたね」

＜9/10（日）富田暁　特別戦3連勝＞

阪神09Ｒ　能勢特別
6－06　アレグロモデラート（11.4倍）

阪神10Ｒ　オークランドサラブレットRT
5－06　メイショウミツヤス（20.6倍）

阪神11Ｒ　セントウルＳ
6－11　テイエムスパーダ（112.6倍）

「単勝オッズ一桁の馬が一頭もおらず、だんだんオッズが高くなっている」

マスターの言葉にくろたんが頷いた。

「AKATSUKIジャパンの3連勝を再現したとも言われましたね。さてこの日、富田暁騎手の大爆発を示唆する除外がありました」

9/10 阪神10R
除外 6ー07 ホッコーアカツキ 北村友

11R セントウルS
1着 6ー11 テイエムスパーダ 富田暁(アカツキ)

「なるほどなあ。ひとつ前の10Ｒで、アカツキが除外になってたわけだ！かーーーっ！この時点で気づいていれば、セントウルＳだけでも買えたよなあ」

タコ社長が天を仰いで言った。

「このホッコーアカツキ、明日の中山最終に登場。何を隠そう鞍上が・・・」

10/1 中山11R スプリンターズS
テイエムスパーダ 富田暁(アカツキ)

中山12R
ホッコーアカツキ 富田暁(アカツキ) テン乗り

「富田暁騎手！しかもテン乗りなんですね！」

真一郎の言葉に、くろたんが頷いた。

「富田暁騎手の激走を、再度予告しているのでしょう」

■ 優駿10月号マンノウォー

「スナたーーーーん」

マスターの言葉にタコ社長が頷いた。

「次はサラッと行くぜ。優駿10月号の『うまカモ！』。月友って種牡馬の話が出てくるんだけどよう、その子孫の一頭にキタサンブラックがいるわけよ」

月（友）
（キタ）サンブラック

キタ・友→（北）村（友）一

「キタサンブラックのキタ、月友の友、これでジュビリーヘッドの騎手、北村友一を示唆ってわけよ」

■ WIN5　的中1票

「くろたーーーん」

「フフフ。そちらはもうそろそろネタ切れかな？次に紹介するWIN5ネタは強烈ですよ。先週、2桁人気の馬が2頭勝ったことで、WIN5は的中がわずか1票の大荒れでした」

9/24 WIN5 的中1票

9/10 WIN5 的中1票
14番人気 1着 テイエムスパーダ

「ご覧のように、前回的中1票だったのが、テイエムスパーダがセントウルＳを勝った日。この日、WIN5対象レースで唯一2桁人気の馬が勝ったレースでした」

「なるほど。先週のWIN5が、今週のテイエムスパーダ激走を示唆しているってことですね？」

マスターの問いにくろたんが頷いた。

「まだあります。高松宮記念との関係です」

高松宮記念・ゾロ目決着
2013 　6ー6
2019 　2ー2
2023 　7ー7

スプリンターズS
2013 　07ー10 裏ゾロ
2019　 4ー4
2023　　？

「高松宮記念がゾロ目だった年は、スプリンターズＳも呼応するかのようにゾロ目か裏ゾロが出ています。今年も要注意でしょう。まあこれは、直接テイエムスパーダを指名するものではありませんがね。前回、スプリンターズＳがゾロ目だった2019年。タワーオブロンドンが優勝しました」

2019 スプリンターズS
1着 タワーオブロンドン
前走・セントウルS 1着

テイエムスパーダ
前走・セントウルS 1着

「また、即パット動画とスプリンターズＳのCMからも、テイエムスパーダが浮上します」

スプリンターズS　 CM　
37回　デュランダル

即パット動画　御一行篇
37番目 藤川宿

37回 セントウルS 1着
テイエムスパーダ

■ 親子どんぶり

「スナたーーーーん」

次のプレゼンは麗子ママだった。

「YouTube動画とFacebookに、ビリーヴが登場しているわ。昨年の覇者、ジャンダルムの母ね」

2002　スプリンターズＳ
ビリーヴ

2022　スプリンターズＳ
ジャンダルム（母ビリーヴ）

「これが『親子』を示唆しているのであれば、実の親子か親子どんぶりが怪しいわ」

5－09　アグリ（横山典弘・安田隆行）
6－11　ジュビリーヘッド（安田隆行）
8－15　キミワクイーン　（横山武史）

■ 染分け帽サイン

「くろたーーーん」

「今さらだけど『くろたんのターン』を略さないでね！そっちはそっちでスナたーーーーんってなんだよ！」

くろたんが突っ込んだ。

「さて、次も大ネタいきますよ。今最も重要視している出馬表からのサイン。染分け帽枠の分析です」

10/1（日）染め分け帽枠

阪神7R
★8ー11 コナブラック 　サンデーR
★8ー12 グルーヴビート サンデーR

「染分け帽枠サインですが、この2頭の情報、前走馬番、前走馬体重などがサインに使われます。全体的に言えることですが、特に前走馬体重が頻繁にサインになる印象です」

くろたんの説明に、みんなが耳を傾けた。

「さて、染分け帽枠が発生したこの阪神7Ｒ。8枠2頭の前走馬体重をみて、衝撃が走りましたよ」

阪神7Ｒ
8ー11 逆2 前走・508K
8ー12 逆1 前走・482K

調教後の馬体重　スプリンターズＳ
1ー(01) ナムラクレア　　 (正1・482K)
1ー(02) テイエムスパーダ (正2・508K)

「どうですか？阪神7Ｒの8枠2頭の前走馬体重と、スプリンターズＳの1枠両頭の調教後馬体重が完全一致。逆1番逆2番の阪神7Ｒに対し、スプリンターズＳの2頭は正1番正2番という配置。ダメ押しがこれ」

阪神7R
8ー11 　3/4 （サンデー）
8ー12　 3/30（サンデー）

スプリンターズS
1ー01 ナムラクレア 3/30

「ナムラクレアとの誕生日の一致。仮にテイエムスパーダがサポート役でコケたとしても、少なくともナムラクレアは馬券にはなるでしょうね」

○ナムラクレア 　　S評価
◎テイエムスパーダ S評価

「これが私の結論です。馬券はテイエムスパーダ単複が大本線。押さえはナムラクレアの単勝でいいでしょう」

■ ソングライン

「くろたん、お疲れさまでした。最後は私からソングラインについてです」

「ソングライン？どこから出てくるのかな？」

くろたんの質問に、マスターは苦笑して言った。

「まあ、ちょっと強引なんですけどね。今週のJRAFUNのツイート、いや、ポストの中に、LINE登録を促すものがあったのです」

「LINEといえばソングライン。今年、ヴィクトリアマイルを勝ち、安田記念を昨年に続き連覇しました。つまり、ヴィクトリアと安田です」

2023　ヴィクトリアマイル
ソングライン

2023　安田記念
ソングライン

「ジュビリーヘッドの馬名意味はヴィクトリア女王から来ていますから、ジュビリーヘッド一頭でヴィクトリアと安田を持っていることになります」

6－11　ジュビリーヘッド（≒ヴィクトリア）（安田隆行）

「なるほど。なかなか面白かったですよ。では明日の午後3時40分を楽しみにしましょう」

そう言ってくろたんは店を出て行った。

スナック忘れな草
スプリンターズＳ　勝負馬券
単複：11番ジュビリーヘッド
枠連：5－6
ワイド：9－11

■ 編集後記

小説の演出上、上記の馬券としましたが、3枠も押さえます。

◎6枠（ジュビリーヘッド）
〇5枠（アグリ）
▲3枠（ウインマーベル）

萩野公介のSTORIES。動画内で以前関わったことのある馬との再会があります。

再会　≒　最下位

3－05　ウインマーベル（前走最下位）
※唯一の前走最下位馬

ヘッドライト・テールライト
中島みゆき　公式チャンネル
https://youtu.be/mBYmBjLcn_4