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「リーダーは最高のサービス業! エゴイストは絶対に成功者になれない」堀江裕介が提言する、応援される側の心得

FiNANCiE magazine(フィナンシェマガジン)はドリームシェアリングサービスFiNANCiEによる、『応援』をテーマにしたwebメディアです。


東日本大震災が発生した2011年。ボランティアで訪れた被災地でほんのわずかな手伝いしかできず、自分の存在価値を改めて見つめたというdely株式会社 堀江裕介さん。

時を同じくしてソフトバンク株式会社の孫正義氏が100億円を寄付することを知り、「同じように社会的に影響を与えられる存在になりたい」と起業を決意。

現在はレシピ動画メディアの「クラシル」や大人の女性向けメディア「TRILL」の運営などを行なっています。


<Profile>
堀江裕介
1992年群馬県生まれ
dely株式会社 代表取締役CEO
慶應義塾大学在学中にフードデリバリー事業を主軸としたdely株式会社を設立。「会社を経営するのであれば、1兆円の企業を目指す。」を目標に掲げ、多くの投資家やベンチャーキャピタリストに応援される存在。


自分の戦う場所を問い続けた学生時代

小中高と野球に没頭した学生時代。これまでの人生で一番といっても過言ではないほど、努力を重ねた。それでも甲子園への出場や野球選手になるという夢が叶うことはなかった。

生まれ持つ身体能力や才能は、努力では手に入らない。

そう痛感した彼は、自分がどこで挑戦するべきかを模索するようになったのだと言います。自身もまた夢を追っている真っ最中である彼に、挑戦する人が忘れてはならない心得について聞きました。


ーー堀江さんが起業家として挑戦しようと考えた時に、なぜ料理と動画というジャンルを選んだのでしょうか?

自分にとって追い風が吹く場所はどこか? を常に考えていたと思います。最初に興した事業は失敗していますが、今の事業を立ち上げたのは、その時に動画と料理というジャンルに波がくると思えたからです。

(高速通信規格である)4Gが来るタイミングとも重なっていましたし、失敗に沈まず、そういう波にどんどん乗ることは大事だと思っていました。

ーー好きなことを仕事にという風潮がありますが、「好きだったから」というわけではないのでしょうか?

最近読んだ記事で面白かったのが、好きなものって得意なものであるケースが多くて、好きだと勘違いしている場合があるのだと。

本当に好きなものを見つけろと言われても永遠に見つからないという内容で、そうだなと思ったんです。

ーー得意だと失敗しないから、好きであると勘違いしているということですか?

格闘家になる人は小さい頃から負け知らずだっただろうし、足が速くて負けなかったから陸上選手になったという人もいる。

それってどこかで失敗を知ってしまうといけないのかなと思うんですよね。

何かをしようと思ったら苦しいことには永遠にぶつかり続けるし、どんなに好きでも突き詰めていけば心が折れることはあるじゃないですか。

その一方で「好きは育め」というのがあって、まさにそうだなと。見つけるのではなく、育むのだと。

ーーなるほど、そう考えると堀江さんの場合は「世間に影響を与える存在になる」ために育んで来たのが今の事業、ということになりそうですね。

そもそも僕は起業が好きなわけじゃないし、料理が好きなわけでもない。動画に至ってはよく知りもしなかった。でも、やっていたら楽しくなるものだし、今は好きです。

好きなことが何かを突き詰めるよりは、自分が勝てるゲームを探した方がいいのではないかとは思うタイプなんだと思います。

ーー勝てるゲームを探す…。どうしてそういう風に思うんですか?

「多くの努力は報われない」と知ったからですかね。正しい努力だけが報われるというか、「正しい努力と針の穴を通すような運が重なった時」にやっと人より抜きん出るのかなと思っているところはあります。

ーー野球部を引退した後、大学在学中に起業という道を選んだのは、その考えによるところもあるのでしょうか?

僕の場合、野球ではめちゃめちゃ努力をしても結果を残せなかったのに、大学の受験勉強にはそこまで苦労をしなかった。努力と成果は比例しないし、世の中はアンフェアだと本当に思いました。

それから頑張る場所をどこにするかはずっと考えていたし、凡人は多くの人が頑張るフィールドで戦ってはならないと痛感しました。

ーーすごくストイックな印象があるのですが、誰かライバルのような人がいたわけではないんですか?

誰と戦うというかは、どの分野においても上位0.1%になるためにはどうしたらいいか、という話ですよね。それには運の要素も大きいし、だからこそ誰に応援してもらうかも非常に大事だと思います。


一緒に踊ってくれるフォロワーはいるか

ーー堀江さんに対して負けず嫌いな印象を受けたのですが、人に協力や助けを求めることは苦手ではないのでしょうか?

負けず嫌いだとは思いますけど、事業に関してはお金を預かっていますからね。プレッシャーももちろんありますし、僕に期待してくれた方々に対して喜ばせたいという気持ちが強いです。

盛大な宝くじを買ってもらっているようなものですよ。それなら、そのくじを当選させたいと思うじゃないですか。

自分が出会った人には、出会えてよかったと思ってもらいたい。だから全力で頑張れるのだと思います。夢を諦めないコツって、何だかわかりますか?

ーーそれはお聞きしたいです!

人を巻き込み、責任を負うことです。自分のためだけだったら、どこかで諦めてしまうかもしれないと思うんですよね。僕だってもし自分一人で個人事業主としてやっていたら、ここまで頑張れない。

でも一緒に夢を見てくれる人がいるから、全力で頑張る。そうすると、みんながハッピーに人生を送れるんですよ。中でも、最初に応援してもらったフォロワーは一番大事です。

ーーフォロワー、ですか。

twitterのフォロワーのような気軽な感じではなく、人生のフォロワーです。それは誰なの? という話なんです。

デレク・シヴァーズの「社会運動はどうやって起こすか」というTEDの動画が有名になりましたけど、山で1人で踊っているところに1人交じってくれると、どんどん周りに伝播していくというあの話。

実は起業家にとっても大事なのは、1人目のフォロワーが一緒に踊ってくれることなんですよね。

ーー堀江さんの未来を信じて最初に一緒に踊ってくれた方は、どんな方だったのでしょう?

群馬県の田舎者が起業家として東京に出てきて、最初に声をかけてくれたのが(株式会社gumiの)国光さんや(株式会社CAMPFIREの)家入さんでした。

普通に考えたら「なんだこいつ」って感じだったと思いますよ。出会いはちょっとしたきっかけでしたけど、僕が窮地に立たされている時、国光さんも大変な時期だったのに「俺に任せていいから」とフォロワーになってくれたんです。

それがなかったら、間違いなく今の僕はいないです。僕がやってきたことは、自分の夢をどでかく掲げて手伝ってくれる人を巻き込む、ずっとその繰り返しですよ。

ーー先日Twitterに「この5年は事業起こしだった。これからが経営者としての第一歩だ」とつぶやいていましたが、それはどういう意味だったのでしょう?

ずっと、プレイヤーだったんですよね。異常なほど執着心を持ってプロダクトを伸ばすために試行錯誤をして…。でも会社の規模が200人になってきた今、入りきれなくなるんですよね。

そうすると、これからはいいフォワード・いいミッドフィルダー・いいディフェンス・いいゴールキーパーと集めていかないと勝てないフェーズになってきた。それが経営なんですよね。

ーー大事な局面を任せられる人を増やすということですね?

小さい経営者というのは、自分がホームランを打って「どうだ!」と見せたい。でも、いい経営者は後ろからいいアドバイスをしてホームランを打たせて、自分は目立たなくていいからたくさんホームランを打たせてあげる環境を作る。

ぼくがホームラン50本打てるより、10本打てる人が10人集められる会社の方が強いよねって。ぼく一人が営業成績あげたところでスケールしないし、だからこそスター選手が生まれる仕組みをたくさん作っていくことが目標ですね。

ーーなるほど。堀江さんにとっての「負け」の定理ってどのようなものなんですか?

心が折れるということじゃないですか。世界一になる人間は、例えば格闘技で言えば小さい頃から喧嘩で負け知らずだった人。足が速い人が負け知らずで大人になるから陸上選手になると思うんです。どこかで負けを知ってしまってはいけないと思っていて。

子供の頃、徒競走で負けたり勉強で負けたりしたら悔しかった。でも大人になった今、別に悔しくないじゃないですか。だから悔しいと思わなくなった時に「負け」なんだなと思いますね。


挑戦者として考え続けるべきこと

ーー応援してもらうために必要なことはあると思いますか?

それはすごく単純なことで、応援してもらいたい・出資してもらいたいのであれば、応援される側は「なぜ自分が応援されるのか」ということを理解しないといけない。

僕だったらとにかく三方よしを考えます。会社・株主・ユーザー、この3つが重なるかどうかを一番意識しますね。相手にメリットがないのに、支援なんて受けられるわけがない。

ーーまずは応援してくださる皆さんへのメリットを考えるということですか?

応援する側からしたら、いくら資金があろうとも「なんで赤の他人を応援しなきゃいけないの?」という話じゃないですか。もちろん利益は大事ですけど、例えば今の僕にお金を出してくださる投資家が何をしたいのかというと、僕という漫画のような人生を追体験できるわけですよ。

歌手になりたかったとか野球選手になりたかったとか、自分が歩めなかった人生を夢見る人に託して、その人生を追体験することができることが楽しいのだと思うんです。とはいえ、相手に気遣いのない人間に誰がお金を出しますかという話ですよ。

ーー応援される側こそ、相手への愛情が必要なんですね。

「この人なら、自分が有名になった時にも自分に対してきっちりとリスペクトを持ち続けてくれる」とか、「最初のフォロワーになったことをこの人は絶対忘れないだろう」とか。リスクを取ってくれた人に対するリターンを考えられないやつが支援を受けられるわけがない。

そもそも弱者を応援するメリットなんてないんだから。

ギブしてギブしてギブして、自分が大きくなって初めてちょっと余った部分をテイクする。その時に自分が器の大きな存在になれていたら受け取るものも大きくなる。最初っからちっちゃい勝ち方をしたら、大したリターンは得られないですからね。

ーー確かに、頑張ってるんだから応援してよ! というのはエゴな気がします。

ヒーロー(自己実現型SNS、FiNANCiEを通じて夢を叶えるために活動をする人)はエゴイストに見えるかもしれないけど、周りを巻き込んでいる時点で圧倒的に他者のことばかりを考えている気がします。

自分に関わった人間に少しでも得をしてもらう、だから自分のところに来て欲しいし、そういう風に集まった力をまた僕が借りるんです。

合理的に聞こえるかもしれないですけど、あなたが頑張ってあなたが成功して、誰が得するの? という話じゃないですか。

常に周りの人のことを思い浮かべる、それを考えられないただのエゴイストは、絶対にヒーローになれないと思います。

ーー周りの人を巻き込み、応援されるヒーローになるために必要なことは何だと思いますか?

人を熱狂させるのは、理解できないほどの覚悟や熱狂。いろんなものに価値を交換できる「お金」をその人に投資するということは、本来なら自分ではたどり着けない景色を一緒に見たいとか、その人の一生にかけたいといった想いがあるんですよ。

世の中には、諦める理由を簡単に作れる天才がたくさんいる。その一方で、すごい人だと呼ばれる人たちは、やる理由を作ってやり続けるんです。腹が決まっている人は目が違うんですよね。それがかっこいいじゃないですか。

ヒーローに本気の覚悟があれば、どんな支援でもやり続けられる。起業家でも簡単に降りる人はいっぱいいるけど、経営者の人間としての器と目指す山の高さ、その覚悟が合わさって、最後にその会社のデカさが決まるなと。

でかい山を最後まで絶対に登り切るという覚悟を決めろ、と伝えたいですね。

ーーありがとうございました。最後に、これから夢に向かう人へのアドバイスをお願いします。

簡単にお金を集められる時代だからこそ、中途半端に一瞬思いついたような目標でお金を集めてはダメだと思うんです。そのプレッシャーに折れるやつが出てきたらそれは正しいお金の回り方ではなくなるし、そういう奴にはぜひFiNANCiEをやらないで欲しい。

本気でやり切る覚悟がない奴は絶対にやるな。これだけは心から思いますね。

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取材・編集 : 柴田佐世子 , 柴山由香
撮影 : 池田実加

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