『今宵お宝を頂戴いたします』

ダックワーズ警部の悔しそうな地団駄と言ったら今日も傑作だった。

「よろしくね」

廃ビルの屋上で、若い怪盗はフィナンシェヤクザとアタッシュケースを交換する。

盗品が闇社会でどう捌かれるかに興味はなかった。

対価を確認して頷くと、気怠げに伸びをした。

「帰るよ。ベッドの中で叔父さんを慰めてあげなくちゃ」

かつての級友は渡世で鋭くなった顔をしかめた。

「ガレット、そのうちバレる、警部だって馬鹿じゃない」

「わかってる南雪。でも君もそうであるように僕にも都合がある。ねぇ、ダックス叔父さんの腕枕で目覚める朝は最高だよ」

怪盗ブルトンヌはホロホロと笑ってから、まだ騒がしい石畳の街に消えていった。

同じ世界観

登場人物

フィナンシェヤクザ／マドレーヌマフィア／フロランタン偵／／犬クイニーアマン／マリトッツォ党／ドンフォカッチャ

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