見出し画像

ピンクの象

幼稚園のころ

幼稚園の頃の朧気な記憶です。

先生「今日はみんなの好きな動物の絵を描きましょう。」

クレヨンを渡されてみんな思い思いに描き始めました。

私は、象の絵を描きました。

先生「描けましたか?描けたらお家に持って帰ってお母さんに見せてくださいね。」

家に帰って早速母親に見てもらいました。
厨房にいた母は手を止めて、

母「上手に描けたねぇ、、、。ピンクの象さん?」

褒められてうれしかったけど、母が少し首をかしげていたのを覚えています。

色覚テスト

それからしばらくして、小学3、4年生くらいかなぁ?健康診断で初めて色覚テストを受けました。


こんな画像を10枚くらい。

お医者さん「見える数字を言って。」

私「???わかりません。」

半分以上わかりません。

お医者さん「色盲ですね。」
(正確には赤緑色目だった)

私「???」

家に帰って母親に報告、

私「色盲って何?」

母「色の区別ができない事、おじいさんの遺伝かな?」

少し笑顔の母はとっくに気が付いていた様子。

私「色盲だったらどうなるの?」

母「どうもないよ、そんなに心配しなくていい。」

母はそう言ったけど、私はなんだかすごく悲しい気分になったのを覚えています。

色覚異常の生活

昔は色盲と呼ばれてたけど、今は色覚異常と呼ばれてます。

私の場合、緑と赤、グレーとピンクが特に区別付きにくい。
色が薄くなるとさらにわからなくなります。

信号機の赤・青・黄色は区別できるけど、パトランプの赤と黄色は区別が付にくい。

親兄弟は知っている

私の周りで色覚異常を知っているのは両親と兄弟だけです。

友達や会社の同僚、妻も知りません。

敢えて告白する必要もないかなぁと思ってます。
迷惑かけるようなこともないし、同情されて変に気を使われたくないし、
自分の恥をさらしたくないという思いもあるのかなぁ。

家族(特に兄弟)は平気で私の色覚異常をいじってきます。

姉「○○、そこの赤鉛筆取って。」
姉「ああわからんか。」

妹「兄ちゃん山の絵茶色ばっかりやん。」

私はこんな残酷な姉妹のいじりにもさほど腹を立てることもなく、
「うるさいわ。」とその度にスルーしてました。

子供のころは自分でも色覚異常をさほど深刻な障害だと思ってなかったんで、姉妹のいじりも気にならなかった。むしろそういうやり取りを笑いに変えていた節がある。

妻とは

妻は自然が好きで一緒によく山に出かけたりします。

妻「紅葉がきれいね。」

私「そうだね。」

と少し笑顔で答えるけど、本当はその美しさが分かっていない。

桜の季節には名所にも行きます。

妻「わぁ~すごくきれい!」

私「本当だ。」

と答えても、実際は白い花びらにしか見えてない。

妻は私が色覚異常であることを知りません。

妻は裁縫も得意です。先日縫物をしながら、

妻「そこの紫の糸取ってくれる?」
巻き糸が10種類ぐらい並んでます。

私「はい。」あてずっぽで適当に選んで渡します。

妻「それじゃないよ、その右側の糸。」

私「ああそうか、はい。」と手渡します。

妻「それもわからないの?」

私「、、、。」

日常でさほど不自由することはないんだけど、たまにこういう場面に出くわします。

妻には告白しといた方が良いのかなぁ?

本当の景色

色覚異常で困ることは日常生活の中であまり感じることはありません。

ただ職業の選択にはある程度制限があります。

医療関係だったり、船舶免許だったり、デザイナーなんかもだめですね。

私はブログもやってるんですけど、ウェブサイトのデザインも苦手なんで、ほとんどテーマのデフォルト状態にしています。

色覚異常で生活上支障のある事はあまり感じることもないんですが、最近になってふと思います。

本当の景色ってどんなだろう?

と。

ないものねだりですね。

紅葉の美しさ、桜並木の華やかさ、

一度は本当の世界が見てみたい。

と思うようになりました。

視力があるだけましなのかなぁ?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?