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英彦山

 大学での一年間の勤務が3月で終わろうとしています。小児科の専攻医になって一年たちますが、本当に公私共に色々ありました。仕事ではさまざまな難病にわけもわからず、私生活では結婚し頻繁に妻に怒られています。しかし、これからがいよいよ大変なことが出てくるのだと思います。ほんとうに人生は重い荷物を背負うようなものと思います。多くの仕事がそうであるように、医者の仕事もわけがわからぬものです。

 去年のいまごろに英彦山に詣でたのでした。
 英彦山は九州の霊山で日本三彦山とも呼ばれる(弥彦山、雪彦山、英彦山)山で古くからの修験の山です。弥勒信仰の山でもあり、また朝鮮半島の檀君神話との関連性も指摘されているようです。類稀の霊験あらたかなお山として信仰されてきました。
 以前田中陽希さんの「グレートトラバース」で英彦山を見てから心に懸かっておりました。
 新幹線にて小倉、そこから日田彦山線で彦山駅まで行き、駅から徒歩で参らんとしました。天気は晴れ。ところどころに山桜の薄紅色が淡く見えるのが心地いい山行です。
 しばらく自動車道を参りますと、途中から旧参道があり、石段がまっすぐき延々と続く様は清々しいものがあります。


 さらに山を行けば銅の巨きな鳥居があり、さらにまっすぐの石段をいけばミツマタの花が満開に出迎えてくれるのでした。風は涼しく日は暖かく、なんとも大きく優しい雰囲気は峻厳な修験の世界とも思えぬ別天地です。

 石段を極めますと大きな拝殿が見えます。
 英彦山の奉幣殿です。神仏分離の以前は霊仙寺の大講堂でした。朱色の大きな建物が青空によく映えます。

 奉幣殿の前には清水が流れており、山中の寺にふさわしく水場があります。近江の長命寺などもそうですが、山中の高いところに水場があるのは美しく清々しいものです。

 英彦山は大変興味深いところであり、山の霊威はひとかたなりません。
 参ったときには英彦山の山頂たる上宮は修復中であり登山道は封鎖されておりました。令和7年12月をめどに修復は完了するとのことです。いつかまたお参りにいきたいものです。
 社務所で御神酒とがらがらを購いました。がらがらはとてもいい音で朗らかです。
 まことにこの一年、大学の一年がつつがなく参りましたのは諸神諸仏のおかげ、英彦山の神様のおかげと存じます。

 英彦山は銅の鳥居のあたりからスロープカーが奉幣殿まで出ております。銅の鳥居へはコミュニティバスが添田駅などから出ています。

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