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【読書メモ】中川政七商店が18人の学生と挑んだ「志」ある商売のはじめかた

「アナザー・ジャパン」という、学生により経営が行われているお店が東京にあるのをご存知でしょうか?

三菱地所が東京駅日本橋口前に位置する常盤橋街区で開発を進めている「TOKYO TORCH」において、各地域出身の学生たちが自らの地元をPRすべく47都道府県地域産品セレクトショップを経営しています。

本書より

どこでこのお店の情報に触れたのか忘れてしまったのですが(たしかyoutubeのガイアの夜明けだったような…)、面白そう!の感性のままに今年の夏に訪問してきました。

訪問理由の一つが「新潟の営業」でもありました。
学生さんが自ら商品の仕入れなどもされているということで、新潟の産品を仕入れる際の情報源としてお役立ちできることがあればという思いで、名刺も渡してきました。笑

その後も、別な自治体職員にお店を紹介したり、現役の大学生で地方創生に関心がある人には「次の店舗運営に応募してみたら?!」など勝手に営業をしています…笑


また、アナザー・ジャパンの運営には「株式会社 中川政七商店」さんも関わっています。この本は、学生が店舗経営をするうえで欠かせない考え方や理論・実践などを講義した記録となっています。(全365ページ!!)

まるで、自分も学生の一人のように読み進めていくことができるのでリアリティがあります。ブランディングやマーケティングの部分では、自治体や個人でも活用できそうな話があったことも良かったです。

「成功事例」を取り上げる本はあっても、「プロジェクトの立ち上がり」を記録したドキュメント的な本は少ない気がします。また、その中で中川政七商店さんの考え方や理論なども披露されているので、一見の価値ありです。

【読書メモ】
・戦略は「何をやる・やらないか」決めること。戦術は戦略実現の手段。戦術はフレキシブルで良いが戦略は動かさない。
・メーカーの思想が、商品の購買にも影響を及ぼし始めている。NIKEが人種差別を否定するメッセージを発信しているなど
・コミュニケーション設計の流れ
①ビークル(伝達手段)の整理、①ゴール設定(届ける相手、定性、定量)、②現状と課題の洗いだし、③リサーチ、④届ける手口を決める、⑤制作・実行
・事業を企画する当事者にはプロジェクトのゴールが見えているが、それ以外の人はスタート地点にも立っていない=将来像をどう共有するか
・ブランドが立ちあがるときには、みんな良くできているが、立ち上がった後に差が出る。問題解決をどれだけ繰り返せるか。
・現状をロジックツリーで整理して、理想と現状のどこに問題があるか(どこを改善すべきか)を確認し、PDCI(改善)を回す
・改善の打ち手は、成功するのがまれなので成功事例を再現性高く実行する方がよい
・基本的な仕事のスタンスとして「自己肯定しつつ現状否定するのが大事」。70点と思うと動かなくなるから30点と思いながらも「ちゃんとやれている」と自信を持ちながらやる

この中でも、「事業の当事者以外の人はスタート地点にも立っていない」という言葉が印象的でした。
私自身、個人的な企画をするときに昔はやりたいようにやるだけでしたが、関係者の人とイメージを共有するために、簡単な企画書をつくるようにしました。
そのところ、企画書を通じて目的などを共有することができ、同じ価値観で企画に関わってもらうことができています。

当事者は、自分の想いを他者も理解してくれていると思いがちなのではないかと思います。具体的なコミュニケーション設計についても示されているので、実践していきたい内容です。

また、「自己肯定しつつ現状否定」というのが、今の自分の感覚にジャストで当てはまっていたので、言語化できて良かったです。
現状に満足していない自分がおかしいのか?と思っていたのですが、このスタンスで間違いないんだなと認識することができました。

読書は、自分では言語化できなかったが感覚として感じていることを、人の言語化に当てはまめることができるのが、重要な機能だと思っています。その意味で、この本に出会えてよかったです!


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