2023年11月25〜26日 プレイヤーズコンベンション名古屋 ジャッジレポート

※このレポートはジャッジ経験の備忘録、ならびにジャッジ間の裁定や反省の共有を目的としたものです。
プレイヤー目線ではない点はご理解の上でご査読頂けますと幸いです。


またこれを見たジャッジの諸先輩方には、是非知見の共有や「この記述の部分はこうするとよかったよ」などの意見がございましたらコメントなどよろしくお願いします。


はじめに

今年こそはL2になるんだ!……と意気込んでいたんですが、リアルお仕事が忙しくて心身を崩してしまったり、果てはJudgeAcademyのサポートが打ち切られてL2に物理的になれなくなってしまったりと意気消沈気味のそーすいです。
半年決断と勉強を始めるのが遅かったと今更後悔しても遅いですね。

鱗滝さんの言葉が身に沁みる。

メンターのL2若松さんにも今年にはL2になりたい旨、大型大会含めて競技レベルでとにかく経験を積んでいく方針は伝え、それに合わせてコンベンション以外にもエリア予選でのジャッジ機会も与えていただいてきました。
制度上L2には今はなれないとしても、逆にL1でしか得られない経験値というものもあると前向きに考え、今年の集大成として名古屋に臨みました。

今回の目標

L2の道がしばらく閉ざされてしまったことは残念ですが、紙の大会が続く限りはジャッジの機能もいずれは復活することは間違い無いでしょうし勉強は続けていて損することは何一つないと思うので、今はジャッジ筋をつけつつ実践と知識を身につけていくことを主眼に置いています。
また、今回もカバーレターで苦手としているデッキチェックを希望に入れて、経験とテクニックを身につけつつ競技イベントのフロアジャッジ経験も合わせて行える形で調整して頂いたので、今回は初日が一般のサイドイベント、二日目が競技のOPENのデッキチェックでの参加となります。

以下はそのレポートです。


1日目:サイドイベント(一般)

今回はスタンダードフレンドリーマッチ(プレマ争奪じゃんけん有)にて2回HJを行うことに。
初めてメインで遊んでいるフォーマットのモダンに触れないサイドイベント担当になりましたが、サイドイベント担当が4回目なことと、2日目がスタンダードOPENなのでしっかり環境やカードを予習して挑めたことから緊張はせずに済んでよかったです。

できたこと

  • 前回の反省であった「イレギュラーへの優先順位づけと対応」をある程度頭の中で整理して行うことができた(子供の横について見ていた母親に椅子の貸し出し、忘れ物対応など) 

  • 初大型イベントのジャッジ参加の方を大きな問題なく補助することができた。

  • アナウンスに関して細かいところまで気を回すことができた。特に端っこまで聞こえてない問題へのケアや、参加してる人からの「景品っていつどこで受け取れますか?」について「3回戦(じゃんけん大会の前)に説明します」をあらかじめ言っておくことで安心感は与えられたと思う。

できなかったこと・反省点

  • じゃんけん大会の進行について開催前の疑問点が洗い出しができていなかった。
    →「わからなかった」ではなく「起こることが想定できていなかった」なので当日以前に事前に考えておくべきであった(下記事案1.2参照)

  • 立ちっぱなしの時間が続いたり2度目の休憩をすっぽかしたりと、翌日も活動することも考えた体力温存やペース配分といった部分がうまくできず、終盤足が痛かった。前回とは真逆の意味で休憩に対する意識が疎かだった。

  • ミステリーブースターシールドが行われていたが、プロキシカードについての情報を見ておらず裁定に時間をかけてしまった。

起こった事案

  1. プレマ争奪じゃんけんの際、勝った人を前に出す→コンパニオン確認→写真撮影の流れを確認しておらず、じゃんけんに勝った人の扱いを考えていなかった。また写真撮影についても把握しておらず、誘導をキックスタートに任せる形になってしまった。
    →キックスタートとの打ち合わせや、過去のイベントの経験した人から聞いておく等。今回の流れの共有をTLに共有しておけば次回に生きるかもしれない。

  2. R1をnoshowでドロップ処理を行われ、R2のマッチングが発表された後に現れたプレイヤーがいた。SKにこの段階での参加は可能か確認したところR2を発表した後だと再度大会に復帰させることは不可能との返答だった。
    その後、そのプレイヤーより「じゃんけん大会だけでも参加することは可能か」という問い合わせを受けるが、「最終ラウンドまで遊んでくれた人が参加条件であるため認められない」との判断でお断りする形になった。
    「スタンダード」「フレンドリー」「マッチ」「じゃんけん大会」全部否定したなこの案件。
    (ちなみに件のプレイヤーは、その後時間の違う同じイベントでもR1で10分を超えて遅刻してきたためマッチロス→R2も7分程度遅刻してきた上で相手がnoshowになったため、「この人もしかしてスタンのデッキ持ってないのでは?」疑惑まであったが、R3は普通に対戦していた。よくわからない…)

じゃんけん大会について私感

  1.  コール役と札役に別れる先人の知恵はすごく偉大だった。途中で手を変える人をある程度監視できる(実際に一件グーからチョキに変えた人を座らせた)

  2.  1回目のじゃんけん大会の際コール役からボードが見えずに「⚪︎⚪︎の人は残って他は座ってください」のコールを出すのがワンテンポ遅かった
    →2回目の時にボート役の人に「出した後にコール役の人にボードをみえるように角度を少しだけ変えてほしい」と一言お願いした結果この問題は解決された。

  3.  SKに「プレマが何枚以上ならジャッジとの皆殺しじゃんけんにして、何枚以下で5人以下とかになったら参加者だけでじゃんけんさせますか?」をしっかり聞いておいたので状況で迷わずに決断できた。(今回は「残りが2枚以下の時だけ参加者のみでじゃんけん」で決めた)

②と③については事前に取り決めておくことで進行がスムーズになると感じたので共有しておきます。


2日目:OPENスタン(競技) DC

今回も苦手なDCと向き合うためにデッキチェックチームでの参加。
以前に比べて速度はある程度改善しているもののまだ7分を切る程度だったり、ハントのやり方や今のやり方より自分にあったデッキチェックのやり方の模索も含めてまだまだやるべきことが多いと感じる。
また、競技で裁定を出すこと自体が経験が少ないので、両立できる大型大会のDC担当はすごく望むべき役割なので今後も志願していくことになりそう。

できたこと

  • 時間以内のデッキチェックについて、ダメな時は横にいたL2の方にお願いする形で時間に間に合わせることを意識できた。

  • ハントと返却時に説明すべきことをしっかり事前に復習しておいて、本番で相手にしっかり伝わるよう説明できた(追加時間が出ること、デッキケースに戻してメインサイドはしっかり区別できるようにすること、ミドルの場合はサイドが入ってても問題ないこと、返却時はサイドが意図通りになっているか確認してもらうなど)

  • スリーブの状態にも気を配って怪しければ相談することへの意識。前回はここが全くできていなかったので「気付けるようになった」という意味では成長したと思う。

  • 「裁定は自信を持って出す、少しでも不安があれば相談」の徹底。

  • 他の裁定を出している現場へいき、裁定の出し方や聞き取りの行い方の知見集めを積極的に行えた。

できなかったこと・反省点

  • DCチームの都合ではあるが、諸先輩方のデッキチェックのやり方を見たり、今のやり方とは違うやり方を教えてもらうことができなかった。
    →コメントに是非「こういうやり方してるよ」ってのがあれば教えてください。一度試してみて模索したいです。

  • まだ「このスリーブならアウト」の明確な基準がわからず…画像でわかるライン引き的な参考が欲しい…

  • 途中L2野中さんより「身振り手振りが大きかったり、別のジャッジに相談する時にプレイヤーに近すぎて、手が当たりそうになってたりプレイヤーに聞かれてはいけない話とかも聞こえる距離でやってるから気を付けてね(意訳)」との指摘を受けた。
    →今回は上述の通り特に発言に気を配りながらジャッジしていたが、体の動きやカードの指差しのやり方なども踏まえた適切な対応を心がける。(この指摘の後別の裁定の出し方をいろいろ見て回って、L2伊藤さんが模範として見習いたいと感じた)

  • プレイヤー間の意見が違うときの聞き取りの能力が不足していた(下記事案2)

指摘があったことや、個人的に気づけたところはこのあたりかなと思います。
他に私の当日のDCのやり方、立ち振る舞い、ジャッジ方法などなにかお気づきの点がありましたら今後のために是非コメント欄等でご指摘お願いいたします。

起こった事案

  • ラウンド開始時に「ディールシャッフル中に前ラウンドの対戦相手のカードが混ざっていることに気づいた」とのコール。一度ゲームを止めてSKのところへ前のラウンドの対戦相手の確認に行ったが、対戦相手はドロップ済みだった。
    →SKよりカードは落とし物としてインフォに届けるように指示を受け、追加時間を出してゲーム自体は再開したが、コールしたプレイヤーにはとりわけ罰則はなにもないので今思うとゲームを止めるべきではなかった。

  • 「APが≪敵対するもの、オブ・ニクシリス≫と≪ヴェールのリリアナ≫をコントロールしている状態で、APがメインにニクシリス+1を起動したがこれをヴェールのリリアナの+1の起動と勘違いして手札を捨て、その後ヴェールのリリアナを起動されたところで勘違いだと気づいた。ニクシリスだったら捨てずにライフで受けていた」とのNAPよりコール。APは英語圏のプレイヤーであり、NAPは日本人であった。
    →聞き取りの結果、APは忠誠度カウンターを操作しながら起動を宣言しており、NAPもリリアナの忠誠度が前のターンの2のままであることを視認していたため、NAPの勘違いでありゲームの進行上誤りはないためこのままゲームを続行。

    当初言語の壁によるミスコミュニケーションととらえてしまいAJのウォンさんに巻き戻しの必要があるかどうかを確認したが、①聞き取りを行った結果NAPのただの勘違い②違反がなかった以上巻き戻しは起こらない、ということを論理的に説明頂いた。
    日本語以外が絡んでいたことで焦って、AJ確認前に聞き取り不足になっていた点は大いに反省すべき点であった。


まとめ

まずはジャッジの皆様、プレイヤーの方、他スタッフ等関わったすべての民様お疲れさまでした。
今年に入って3度目かつ締めの大型大会でしたが、毎度大小さまざまな失敗しながら学べているという点では今後も紙の大会が続く限りはジャッジとして参加しようと改めて感じた2日間でした。たまにはプレイヤーとしても・・・とは思いますが、まずはジャッジとして自信と技術を身に着ける時間を大事にしていこうと思います。

L2の道が今は途絶えてしまってますが、また来年には何か新しい風が入ると信じて、今はジャッジとしての血と骨をつくる時間を作っていこうと思います。
拙い文章でしたが、ここまで読んでいただきましてありがとうございます。


おまけ(今回の裁定まとめ)

ティシャーナの潮縛り絡みはあまりに多いので、今後もよく出そうなものだけ抜粋しておきます。多分今後スタン以外でも死ぬほど見そう(というか見た)

  • ≪帆凧の窃盗犯≫で+1/+1カウンターが2つ乗ったクリーチャーを宝物に変えられた。帆凧の窃盗犯を除去した場合、このクリーチャーはどういう状態になる?
    →カウンターはクリーチャーではなくなっても保持するため、元のクリーチャーに+1/+1カウンターが2つ乗ってる状態に戻る

  • APが≪ファイレクシアの接種者≫の刻印で、NAPの墓地にクリーチャーが3体いる状態の≪夜の咆哮獣≫を追放した。このときのX,Yの値は?
    →0/0。刻印は追放状態のカードの状態を参照する。

  • APはバンドを持つクリーチャーAと、持っていないBと、持っていなくて召喚酔いしているCがいる。攻撃時どのように組にできる?
    →攻撃している中からバンドを持つクリーチャーと持ってないクリーチャー最大1体を巻き込めるのでA,Bのみ。
    (なお私はわからず別のジャッジを呼んで解決。令和になってバンド聞かれると思わなかった…)

  • 試作コストで唱えたクリーチャーは盤面上でコストはどうなる?
    →試作でのコストになる

  • APの≪大洞窟のコウモリ≫のCIP能力誘発でコウモリを除去された場合、どのような挙動になる?
    →NAPの手札を見て、何も抜かずに終わり。過去カードでは≪帆凧の掠め取り≫と同じ挙動になる。

  • ≪魂の洞窟≫で指定した部族の色マナは、その部族のクリーチャーの持つキッカーコストに充てることはできる?
    →できる。追加コストもそのカードのコストの一部

  • APはNAPの≪ティシャールの潮縛り≫で能力を失っている≪敬虔な心霊、デニック≫(裏面)で攻撃し、潮縛りでブロックされた後に≪放浪皇≫を唱えて+1能力でカウンターと先制攻撃を付与した。ダメージ解決したらどうなる?
    →デニックは潮縛りで能力を失ったあとに先制を得ており、どちらも第6種=タイムスタンプ順で能力を失ってから先制を持っている状態なので潮縛りを一方で打ち取れる。その後、潮縛りが墓地に落ちたところでデニックの領域変更誘発のトリガーになるが、この段階で潮縛りは戦場を離れているのでデニックの能力は戻っており調査能力は誘発する。

  • APが≪眠らずの小屋≫をクリーチャー化し、攻撃して一番下の能力が誘発に対応してNAPが≪ティシャールの潮縛り≫を唱えて、CIPでこの誘発を対象として打ち消した。ターンを終了して眠らずの小屋が生物ではなくなるが能力は戻る?
    →戻らない。ティシャールの潮縛りが戦場にいる限りすべての能力を失ったままになりマナ能力も起動できなくなる。

  • (ミステリーブースターシールド)
    ≪Smelt // Herd // Saw≫を唱えるときはマナさえあれば複数個の呪文を唱えれる?あとこれ≪血編み髪のエルフ≫の続唱に引っ掛けた場合どれが唱えれる?
    →(当日出した裁定)融合って書いてないからおそらく複数唱えるのは無理。血編み髪の続唱に引っ掛けた場合は3マナ以下のSmeltとSawは唱えれるはず。テストカードは概ね当日裁定になるから念のためヘッドジャッジ(近くにいた)に確認しておいてね。
    →結果的に誤裁定でした。分割カードと同じ扱いなので総コストはすべてを足した8マナなので続唱にはひっかからない(L2中村さん指摘ありがとうございます)

ヘッドジャッジに丸投げスタイル


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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