2024年2月11日〜12日 プレイヤーズコンベンション横浜ジャッジレポート

※このレポートはジャッジ経験の備忘録、ならびにジャッジ間の裁定や反省の共有を目的としたものです。
プレイヤー目線ではない点はご理解の上でご査読頂けますと幸いです。


またこれを見たジャッジの諸先輩方には、是非知見の共有や「この記述の部分はこうするとよかったよ」などの意見がございましたらコメントなどよろしくお願いします。


はじめに

昨年からジャッジ機会のたびにレポートを書き始めてようやく1年になりました、そーすいです。
L2になるためにも…と意気込んで書き始めたもののまだなれてないあたりエンジンがかかるのが遅いことにも反省しつつ、1年続いたことにまずは自分を誉めたいと思います。

昨年末にMagic Academyが事実上の解散状態になったという状態で、年末に長年カンファレンス等でジャッジの育成や日本語翻訳にも携わっておられた「ぱおさん」こと米村薫氏の突然の訃報がありました。
個人的には漠然と今後ジャッジはどうなってしまうんだろうという不安がありつつも、紙の大会における信頼性や安心のためにも残されたジャッジには前を向いて進むしかないと思い、今回もプレヤーズコンベンションにジャッジとして参加して来ました。

なお、今回はあまりにリアルが忙しすぎるためかなり簡潔に書いていきます。

今回の目標

今回は初めてカバーレターに何も書かず、配置をお任せする形にて応募しました。Googleフォームが書きにくかったからではないです。
昨年の3回でサイドイベント、競技のDCとフロアと一通りは経験して、競技一般を分けずにどこまで体に裁定の感覚が掴めているのか、今の自分を改めて見直す意味で「どの程度任されて大丈夫か」を自分自身試したく思っていた部分が大きいです。

結果として、1日目はサイドイベント、2日目はTrio Modern(チーム戦)の担当に割り振られる方になりました。

1日目:サイドイベント(一般)

コンベンションに来るごとに1回はサイドイベントに割り振られていたので、担当のジャッジの方から覚えていただけていたのはすごく嬉しかったです。積み重ね大事。
毎度新しい反省点が見つかるので、とにかく前回のミスを改めて起こさないように注意していたことは記憶してます…が、結構それでもバタバタしてて記憶が飛んでるところがそれなりにあります。(個人的にはサイドイベントの方がOPENよりバタバタしてる印象が強め)

できたこと

  • 自分が受けたコールだけでなく、いろんな人の受けてるコールのところまで見に行ってコールの受け方答え方をいつもより多く見ることができた。

  • 他の人の休憩や他イベントの立ち上げをフォローに自然に回れるよう意識できた。とくにじゃんけん大会の手伝いは前回担当させていただいてたので流れをわかっていたためやるべきことがわかっていたのは大きい。

  • わからない話に対して根拠となるCRを検索してから回答を出すを時間をそれほど食わずに出すことができるようになっていた。

できなかったこと・反省点

  • 下手にうまくやろうと意識しすぎて、プレイエラーに対して適切とは言えない裁定を出してしまった。(APが諜報を行う際に2枚目を誤って見てしまった際、その2枚目をトップにあったものとして処理させたが、2枚目を無作為化させるべきであった)

2日目:Trio Modern(一般)

今回の二日目はTrio Modernという、チームモダンの派生系のイベントのジャッジでした。
今回はチーム共同構築(3人が同じカードを使ってはいけない制限)がないルールのため、開始前から「バベル3人衆がいるらしい」「赤黒不快3人でひたすら対面を不快にしよう」などの人狼ゲームが行われていたので、共同構築のない大会というのもいろんなお店であっても面白そうだなとは思いました。ちなみに本当にバベル3人衆はいました。あとトロンとかLOの3人衆もいました

できたこと

  • 1日目と重複しますが、リストバンドのカラー合わせや結果の入力などを周りにしっかり聞こえるように徹底したので広報の面はしっかりできていた。

できなかったこと

  • HJに朝のミーティングが始まるまでにある程度想定がつくであろう疑問点を先にぶつけておくべきだった。リストバンドの色による座席決めや景品の受け取りタイミングなど、頭の中でのデモンストレーションが足りておらず、L2の方の指摘がでるまで浮かばなかったことも多く、もっと始まるまでに頭を巡らせるべきだった。

  • 一件上告された裁定を出した(後述)。AJに代わり収めてもらったが、ルール適応度:一般における巻き戻しが絡む裁定のやり方を再度頭に叩き込む必要があると痛感させられた。


上告の内容

【状況】
プレイヤーA:≪ギルドパクトの力線≫≪ドラコの末裔≫とタップ状態の土地2枚
プレイヤーB:タップ状態の土地1枚のみ

AのエンドフェイズにBは緑のカードを追放して≪活性の力≫を力線とドラコの末裔の2枚を対象に唱え、これが解決される。
その後Bのターンとなってドロー、メインにフェッチランドをセットして起動、森をサーチしたところで、Aはドラコの末裔は呪禁を持っていたということに気づきジャッジコールした。

【私の裁定と上告、AJの裁定】
今回はルール適応度が一般のため、
・(活性の力の解決をAも了承しているが)盤面をそのままにするのではなく問題が発生した活性の力をコストと合わせて手札に戻させて力線とドラコを戦場に戻すことに。
・その後のドローおよびフェッチの解決については特に不正な処理は起こっていないので現状のままで裁定を出したい。
上記2点を巻き戻しを行う点も含めてAJに相談、了承をもらいプレイヤーに伝える。

→Bが「活性の力を戻すのなら、フェッチは切らないし土地も変わってくる」と異議申し立て。上告の意思を確認をして再度AJに状況を伝える。

→AJにより、「フェッチで持ってきた土地をデッキに戻して無作為化、フェッチを手札に戻したのち手札を1枚ランダムにデッキトップへ戻す、活性の力+コストを手札に戻して力線とドラコと戦場に戻す」と事実上のフルバックアップで裁定。

【どうすればよかった?】
土地は双方フルタップで起こっている現象であったため、フェッチランドの解決及びセットについては巻き戻してメインフェイズからスタートにしても特に問題はなかったと後で気づいた。
→異議が出たときにこっちを提案がベターだったかもしれない。

なおHJからは事後の報告の際に「不正な処理がない部分はバックアップする必要はないから、君の裁定で問題はなかった」と言われたが、元々裁定を出すのが苦手な身としては「一般の場合どこまでプレイヤーの心情を汲み取るべきか」について 改めて悩むきっかけになったので、諸先輩方のこの件について初見を是非聞かせていただきたいです。

まとめ

最近はコンベンションおよびチャンピオンシップ予選の競技イベントでのジャッジが主体だったためそれなりに思い切った裁定を出すことに慣れてきていた分、上告の件については一般での裁定が逆に難しく感じるようになってきたなと思わせられる一件でした。
最近は私事に忙殺されてフリーな時間でストレス発散するだけが精一杯な日々を送っていますが、あらためてL2に向けての勉強のためにも今後もコンベンション等は積極的に参加しようと思うので、またお会いしたときは御指導御鞭撻の程よろしくお願いいたします。


おまけ(今回の裁定まとめ)

≪塵へのしがみつき≫が墓地にあり脱出で唱える際、対象に取ったカードを脱出コストで追放することはできる?
→できる。呪文を唱える手順としては対象を取る>コストの決定>コストの支払いなので実際に支払うまでには墓地にあるため適正な対象である。

攻撃している≪刻まれた勇者≫が金属術を達成しているとき、≪皇国の地、永岩城≫の魂力能力で4点を与えることはできる?
→できる。土地なので無色。

≪ドラコの末裔≫により先制・トランプルを得ている≪縄張り持ちのカヴー≫(5/5)を、≪ファイレクシアの十字軍≫(先制・感染・プロテクション白赤)がブロックした。プレイヤーに何点通る?
→3点。プロテクションで軽減はされるが致死ダメージは割り振る必要がある。

≪約束された終末、エムラクール≫で対戦相手のコントロールを得ている。対戦相手の場に≪大いなる創造者、カーン≫がいるとき、-2能力を起動したらサイドボードは見れる?
→見れない(CR719.4)

≪敏捷なこそ泥、ラガバン≫が疾駆コストで出ている状態で≪激しい叱責≫が戦場に出た。ターン終了ステップでラガバンはハンドに帰る?
→帰る。疾駆コストで唱えたため遅延誘発が発生するがこれはラガバンの能力の有無とは関係がない。

≪呪文滑り≫がいる状態で、≪活性の力≫を2つ適正な対象に取って唱えた。2回起動して両方とも呪文滑りを対象にさせることはできる?
→できない。同一効果内で複数の対象を取る場合に同一の対象を複数回取れないため(CR115.3)


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