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時間打ち切りについて

※この記事は酔っ払い新人プロの妄言であることを先だってお詫びしておきます。21世紀生まれの若造が何言ってんだと思われるかもしれませんがご容赦ください。事実誤認、配慮に欠けた記述等ありましたらご指摘頂ければ訂正いたします。

※文字数節約のため常体で記させていただきます。ご理解ください。


今回は「時間打ち切り」というルール、及びそれに関連して思ったことをつらつらと書いていこうと思う。


前提

時間打ち切りについて

競技対局においてしばしば採用されるレギュレーションのひとつに「時間打ち切り」というものがある。時間無制限に南4局終了まで行うもの(例えばリーグ戦)とは違い、一定の時間が経過した時点でその半荘を終了とするものである。大抵の場合「60分+1局」で行われるのだが、これは60分経過時点で打っていた局の次局を最終局とする(50分だったりもする)。

時間打ち切りを採用する理由は単純である。純粋にその日のうちに打ち終わらないからだ。例えば最高位戦のリーグ戦は一日4半荘打つのだが、11:45に対局を開始し19:00までかかることはザラにある。しかし一日に6、7半荘こなさなければならないタイトル戦の予選においてこれをやってしまうと夜更けまでかかってしまうし、遠方からいらしている人は帰れなくなってしまう。立会人・会場係の方の負担も相当なものになるだろう。こういったことを防ぐために導入されている制度だと少なくとも私は理解している。

時間打ち切りの問題点

しかし、この制度下では南4局まで打ち切ることが難しい。展開が助けて8局で半荘が終了すれば良いが、アガリ連荘を採用している最高位戦Classic以外では大抵の場合流局+親聴牌連荘のコンボが複数回決まり、北家の南場の親が回らずに「この局が最終局です」と立会人からアナウンスが入ることはままある。

これは不公平である。理由は
・親番をやる回数の不均衡
・本局か次局が最終局であることが確定した時に、採るべき戦術が変化してしまう
ことだろうか。2点目に関しては全員が同じ条件だから不公平とは言えないかもしれないが、1点目は明確なデメリットだろう。正直トップ条件で臨んだ対局で北家席を引くとほんの少し損な気分になる。

私自身時間打ち切りの対局は新人王戦、最高位戦Classic、新輝戦とまだ3回しか経験していないが、所作をなるだけ省略し、少考のないように気をつけていても、最高位戦ルールで南4局終了まで打ち切ることは稀だった。なお、最高位戦Classicでは全ての対局で南4局まで打つことが出来たが、聞くところによると100%そうとも言い切れないそうだ。

時間打ち切りにおける所作

一般的に、時間無制限で打てるリーグ戦とは違い、一部の所作を省略する義務もしくは権利があることが多い。例えば、
・洗牌(終局後に牌をかき混ぜる行為)の省略
・投サイのタイミングを牌山を上げる際同時に行うこと
・副露所作を「発声→副露→取牌→打牌」の順ではなく、「発声→副露→打牌→取牌」とすること
などがあげられる。どれを義務とするかはレギュレーションによるだろう。

また、可能な限り長考を避けるようアナウンスされていることが多い。もちろん一打の制限時間が設けられているわけではないから考える時間は自由であるが……これに関しては明確な基準が存在しないため、個々人の良識ある判断にゆだねられているとしか言えない。東一局に満貫を和了った人間の最善策は「60分長考する」になってしまうのだから。

ある日の思考

居酒屋にて①

先日他団体のプロKと飲んでいたときに、この話題になった。ちなみに彼は普段仲間内で麻雀を打つ時は一打に5年くらい掛けるので時間打ち切りなんて打てるのかと思っていたのだが、Classicで同卓した時は普通に早く打っていたので安心した。

話題は所作面から、麻雀の内容そのものにうつっていった。

田村「だからね、時間打ち切りでは最終局でなくとも麻雀が変わってしまうんじゃないかって思うんだよ」
K「ふむふむ。その心は?」
田村「例えばこういう状況を想定してほしい」

・60分+1局の最高位戦ルール
・この半荘が最終半荘である
・自身は40分経過している東4局親番(北家席)
・東家 44700
 南家 23500
 西家 23300
 北家 28500
・東家は4着以外なら予選通過
 南・西家はトップ条件
 北家(自分)は連帯か素点25000以上の3着なら予選通過

田村「牌姿はすぐ思いつかないんだけど、この状況で①即リーチ②聴牌外しの選択肢がある手牌になったとしてさ」
K「うんうん」
田村「①は聴牌流局の可能性が非常に高く、②は①より微差で局収支が優れているとしたら、予選通過率を高める選択肢として①をチョイスすることがあり得るんじゃないだろうか?」
K「局収支を無視するのは何故?」
田村「合法的な手段で60分打ち切りが近くなるならアリだと思ったんだよな。トップ条件の南家・西家に親を回さないために、この局をなるべく長引かせたうえでもう一局親をやるという選択肢。もちろんそれが正着かどうかは議論しなければならないけど、ひとつの引き出しとして」
K「うーん、わかるようなわかんないような……ピンと来ないな。あんまり得な気もしないし」

田村「じゃあ、もっと極端な例を考えてみようよ。適当に考えたから例として適切かわかんないけど」

ドラは6s

田村「もしも8巡目場況フラットでこんな手になったとして、出た6sってポンする?普段のリーグ戦だとしたら」
K「しないね」
田村「でも、この6sを親の自分がポンした時の流局率って、しない場合に比べてはちゃめちゃに上がるじゃん」
K「まあ、そうだろうね」
田村「その場合南家・西家に親が回る確率が減って、それは自分にとって得である、っていう話。実際には自分の聴牌率が減るから微妙な可能性があるけど」
K「あー、なるほど」

Kは腑に落ちたようだった。しかし、しばらく顔をしかめて考えた後に、彼は言葉を選びながらこう言った。

K「つまり田村は、時間打ち切りという制度を積極的に利用するべきだという立場に立っているわけだね」
田村「そうだね、そういうことになるね。Kは違うの?」
K「僕は例え時間打ち切りであっても南4局までなるべく行うという想定で打牌選択を行うべきだと考える」
田村「うーん、でも実際にはそうではないわけじゃん。最終局だって言われてもそうやって打つの?」
K「いや、最終局は諦めてそれを受け入れて打つけど、道中でそれを利用することは不誠実だと思う」
田村「うーん、同意しかねるなあ……」

時間打ち切りにおける「誠実」とは?

さて、ここまでの会話で、田村選手とK選手の立場が明確に異なることがはっきりした。Kも私も酔っていたため議論が全然収束しなかったが、あくまで私の立場は
①時間打ち切りにおいて麻雀の最善手は変化しうる。
②全員に課せられているルールを利用して最善を目指すことは不誠実ではない。
というものである。もちろん異論もあるだろうし、それはまた「別の麻雀」ってものだと思う。

そして議論は横道へと逸れていき、私とKの同卓したことのある最高位戦Classicの話題になった。

居酒屋にて②

K「ちょっとそれに似てると思うんだけど、最高位戦Classicルールでノーテンリーチを打つべきかっていう話がある」
田村「ほう」

※最高位戦Classicルールではアガリ連荘が採用されていて、かつ聴牌料の概念がない。そのため、リーチ者を含め全員に、流局したときの手牌開示の義務がなく、「ノーテンリーチは罰則の対象外である」と明記されている。

K「例えば、こんな状況を想定してみてよ」

・最高位戦Classicルール
・南3局親番(北家席)
・東家 26100
 南家 24200
 西家 22300
 北家 47400
・自分(北家)の最終切り番

K「これは自分だけ抜けてて、下三人はそれぞれ1900点ずつ離れてるっていう状況」
K「この局面で、北家である自分は必ずノーテンリーチを打つべきなのではないかと考える。打てるから」
田村「ツモ番のないノーテンリーチも打てるからってことね。でもなぜ?」
K「次局オーラスで南家と西家が1000点の仕掛けができるようになるから。自分のリーチで1000点落ちるから足りるじゃん」
田村「あー……そっか、もし自分のトップ率が1000点出すことで殆ど揺るがないなら投げるべきか」
K「いや、むしろ安い和了を誘発するから自分のトップ率は上がってると言えるんじゃないかな。2着目は倍満ツモらないとトップに立たないし、リーチ棒投げても跳満ツモではまくられない」
田村「ああ、ここまで状況が整ってしまうとノーテンリーチ打ったほうがいいなって思えてくるな」

田村「でもさ、これとさっきの時間打ち切りの対局の話の差異がないように感じるのだけど」
K「ルールを利用しているという点で同じだってこと?」
田村「そうそう」
K「いや、これは自分の中で明確に基準があって、それは明文化されているかどうかなんだよね。Classicでノーテンリーチを打ってもいいとは言われているけど、時間打ち切りは利用するべきだ、とはどこにも書かれてはいない」
田村「まあ、そうだろうよ」
K「もし団体の理事の方から、『時間打ち切りは利用して良いルールである』と声明が出たら僕もさっきの話に同意するようになるよ」
田村「ええ〜、全然その理屈がわからないな、だってさ……………」


ジャカジャン♪

田村「?!」



ジャカジャン♪  \アオーゥ/

K「?!」













20th Century Boy - T.Rex

デーデデデデ デーデデーデー♪(爆音で20世紀少年のテーマが流れる)



突然の出来事に私とKが目を丸くしていると、どこからともなく見覚えのある覆面の男が現れた。

どれくらいそうしていたかわからない。あまりのことに全く動けなかったのだ。何故居酒屋に「ともだち」がいるのか?私達は夢を見ているのか?何かのドッキリか?すっかり酔いも冷めてしまい、少ない脳をフル回転させていると、

「あのなぁ!」

彼がいきなり、叱責口調で怒鳴り始めた。


「新輝戦負けた腹いせで物申し系note書こうとしてんじゃねえよ!!!!!!」

ぐさっ。

「オーラス親回ってこなかったのは確かに不運だったけど負けたのはお前が弱いからだろ!!!!人のせいにしてんじゃねーよタコ!!!!!」

ぐさぐさ。

「あげくの果てに『時間打ち切りは廃止した方が良い』みたいなラディカルな結論にしようとして日和ってネタに走るのダサすぎるだろ!!!!」

ぐわーっ。彼のちくちく言葉が私にクリティカルヒットを与えた。それでも最後の力を振り絞って抵抗を試みる。

田村「で、でもやっぱりその……新人が団体に楯突いてると捉えかねない文章を書いたらどう思われるか……いやその、楯突こうという意思は本当に1ミリもなくて、問題提起というか、あいや勿論今まで散々擦られてきた議論であることは承知してるんですけど……変なこと書いたら偉い人に怒られちゃうかもしれないから……(オタク特有の早口)」











実は私は一部しか観ていない。

「いきなり『ともだち』が出てくる方が怒られるに決まってんだろ!!!!!!!!!!」

田村「う、うわあああああああ!!!!!」

バリバリバリという轟音が轟き、やはり見覚えのある巨大ロボットが居酒屋に乱入する。「ともだち」の合図と同時に、それは何か霧状のものを噴霧し始めた。


プシュウゥゥゥゥゥゥ…………

薄れゆく意識と血の海の中で、私、田村宗一郎は来月の發王戦でのリベンジを心に誓うのであった……………。


第一部 完


結論

始末書
            2023年12月16日
 私、田村宗一郎はこの度新人の立場を弁えず、意味不明なnoteを作成してしまいました。今後は麻雀プロとしての責務をはっきりと自覚し、真面目な文章をお届けすることをここに誓います。大変ご迷惑をおかけし申し訳ございません。

本当にすみませんでした。


今回のnoteで最も可哀想なのはどう考えても未曾有のバイオテロに巻き込まれたKであろう。敬愛する夏目漱石先生に倣ってKの墓を建てておこうと思う。

もうめちゃくちゃや。


ご清聴ありがとうございました。

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