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立葵ファンファーレの日。


2023.6.16

立葵の花が
いちばん上まで咲いたら
梅雨が明けて、盛夏が来る

と、そんなことを聞いたのは

何時のころ、だっだろう。


俳句に夢中だった
24.5才の頃、かもしれない。

そういったことを
俳人の随筆かなにかで
読んだのかもしれない。

幼いころ、
夏の道を歩いていて

ふいに、道の辻や
電車の踏切近くに咲く、

立葵の花が、好きだった。

子どものわたしより、
うんと背が高く、

麦藁帽子のつば、が、
おでこの上にずれるほど

その赤や白い花を
見上げた、夏の、
余白のような時間を憶えている。

そして、また、
何時のころから、だろう。

立葵は、盛夏を生きるモノたちへ
エールとして、鮮やかな
ファンファーレを吹いている

なんて空想をするようになったのは。


立葵ファンファーレ、なんていう
ちいさなオハナシも、春に書いて、

5月にひらいた朗読会で
みなさまの前で、読んだ。



父が倒れて、留守になった庭の
ナンニモナカッタところに、

立葵の種を蒔いて、

(庭に来て、ほしかった)

今年のjuneに、ようやく
会うことができた。

昨年9月に蒔いた。
冬を越えて、ゆっくり育った。


いちばんに咲いた、立葵さんは、赤。
持っている絵本の
立葵の絵、とほんとうにおんなじ。
これは、《あかいはな さいた》という
韓国の絵本。
あかいはな さいた タク へジョン文・絵 
かみや にじ訳 岩波書店 

🕯️立葵のページには

--おおきな ゆめ みる たちあおい 
ふりそそぐ なつの あめに りんと たたずむ--

と、文字がある。



さて、日傘をさしながら
庭をひとまわり。


芽が出ないなあ、と
心配していた、ホーリーバジルさん。

暑さに、顔を出してくれた。

このホーリーバジルさんは
お友達から、種をいただいたので、
芽を出してくれて、安心したー!
クラリセージさん、
花を咲かせていた。
ちいさな、淡い紫の花。
背丈がうんと雨ですか高くなる立葵さんと
隣り合わせて、植えている。
思ったより、大きくなる方々。
狭いかなー、と不安になりつつ。


もう何年も花を咲かせなかった
梔子の花が、今年は咲いてくれている。

うれしさに、胸が弾む。

この梔子は、妹が
神社から、株分けしてもらったと
もう20年も前に、小さなちいさな苗で
庭にやってきたのだ。



庭の花が咲いた、

なんて、

誰かに話すほど、でもない
些細なことだ。

でも、わたしは、そんな、
些細なことばかり
誰かに、話したくなってしまう。

ガウランディアは、強くて
可愛い花。


でも、それは、
ナンデモナイコト、として

《ある場所》では、
スルーされてしまう。

稼いだあと、お酒を飲んだりする。

そんなときは、ほんとうに
見向きもされない。

どこからか、種が来た
宿根のスカビオサ。
咲くまでは、雑草だと思っていた。


庭から、もっとも遠い場所に
パワーのある、男たちが棲んでいる。

利権追求が見え隠れする政局などを
観ている、と、ふと、そう思う。

彼らは、支配できるモノが好きだ。

カネオンナノニクタイブカムスコグンタイ。


ガウランディアとスカビオサ。
わたしはこのふたつを
とても良い組み合わせだと
誰かに話したくなる。


もしかしたら、
庭のハナシなぞする男は、

もはや、群れから脱落した、
弱い個体だ、と、
みなされるのかもしれない、

とも、思う。

花茎を切り戻して
すこし、さっぱりしたダリアさん。
たぶん、またたくさん咲いてくださる。



そういえば、

去年あたり、パート先で
営業職を降りた
嘱託社員の老男性が

しきりに、

『俺たちは運命共同体だよ
利益があがらなければ
俺たちから、切られるんだ』

と、昼休みに、
パートのわたしに諭してきた。


『営業のヤツラが
稼いでくれるから、
俺たちの給料が出るんだよ』


と、嘆かわしげに、言い

『俺がクビになるなら
きみも当然、なるんだよ。
もしかしたら、
きみのほうが早いかもしれない』

なんてことも、ちらちらと
仄めかした。

わたしは、同意しなかった。

はあ、と、曖昧に
声を漏らしただけである。

『そうなったら、
別の場所で、働きます』

と、朗らかに返した。

内心、

こちとら、
そんなようなことを
社会から、ずっと
言われ続けているのさ
いまさら、こわくないのよ

でも、あなたは、いま、
こわくなったのね、と

思いながら、

こんな時間にこそ、

老男性と

庭の花が、半年を経て
ようやく咲いた、なんて

ハナシができたら良いのに、

とも、思った。

わたしはいつも、パートの昼休憩に
自作のお弁当を食べている。
スープは、保温容器に入れて。




さてさて、夏至前の庭は
いつまでも明るく

この日、
わたしは、よく働いた。

植物さんは黙って咲く、のが、cool!



明日も晴れるらしい。

独り、立葵ファンファーレを聞こう。


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