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真っ赤な恋をした


真っ赤なドレス、真っ赤な口紅、金髪ショートに真っ白な肌、右手には煙草。
スタンドマイクに一人立ち、木綿のハンカチーフを歌う彼女の名は、アカネ。


先日行われたマツクランジャタイという公演に行ってきた。
凄く凄くあまりに凄く素晴らしい公演で、一回限りである事が勿体無いと寂しくなるほどだった。

今まで音楽だったりお笑いだったり演劇だったり様々な公演に行ってきた中で、ここまで心に深く刻まれた公演は他になかったと思う。
それほどに感銘を受けたのは、国崎さん演じるアカネに出会ったから。

私は完全に、彼女に全心を奪われてしまった。
アカネさんは、東京の地下にあるおっぱいパブで歌う事を愛す女性。
綺麗な女性がとても好きで、恋愛対象は両性。
スタンドマイクに片手をかけ、もう片手には煙草をもちながら木綿のハンカチーフを歌う彼女の姿が暗闇の中から現れたあの瞬間に心掴まれ目を離せなくなった。

言葉で簡単に片付けるなんて到底できない女性らしさ、色気、哀愁、強さ、寂しさ、儚さ、美しさ、様々な要素を持ち合わせた彼女には、気付いたら自分の視線と意識が吸い込まれている、そんな不思議な魅力があった。

落ち込むマツモトにかける乱暴かつ愛のある言葉や仕草一つ一つにいちいち惚れてしまい、観客でありながら、マツモトのアカネさんへの気持ちをそのまま感じられた気がした。

特に心奪われた部分に、マツモトが故郷の大切な人から「新しい私を大切にしてくれる人に出会った」という手紙を受け取り、上京しても上手くいかない自分とこんな手紙をもらってしまった情けない自分に心底落胆してしまう場面があった。
横でそれを見ていたアカネは、「ちゃんと気持ち伝えてこい」と言い放ち、マツモトが大切な人への気持ちを自分の口から伝えにいくことで、けじめをつけて前を向いていけるように仕向ける。
そしてこの時アカネは、さりげなくマツモトの服に真っ赤なキスマークをつけた。
振られて戻ってきたマツモトに
「大体こんなとこにキスマークついてる男なんて、フラれて当然,,,」

痺れた。
目の前が一瞬真っ赤に染まったような気がした。
涙が出てきた。
こんなことをできてしまうアカネさんに、心底恋してしまった。


後日、アカネを演じた国崎さんがランジャタイのトークライブにて、木綿のハンカチーフの台本は、国崎さん自身のとある実体験から完成したものだと話してくれた。
詳しい内容はオフレコではあるが、この話を聞いて改めて木綿のハンカチーフ物語に感情移入してしまった。

本当に本当に良いものを観させて頂いた。
絶対に忘れられないと思う。
そして、木綿のハンカチーフという曲が特別な曲になった。
聴く度にアカネさんが頭の中で蘇る。





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