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あれから

いつか自分の気持ちと向き合って、このことを書ける日が来たらと思っていたので書きます。
自分のために書き記すもので、楽しい話じゃないですが、ご理解いただける方は読んでいってください。




2017年12月18日、韓国のとあるアイドルグループのメンバーが亡くなった。彼は自ら命を断って、突然いなくなってしまった。
ほんの数週間前までソロ曲の活動で歌番組にも出ていたのに。

長い間、本当に長い間、私は彼らに夢中だった。
仕事はいつでもしんどかったが、ライブのために稼いでいるんだと思えば楽になったし、日本で行われるツアーはもちろん、韓国で行われるライブも弾丸日程でよく観に行った。ライブのMCを理解したくて韓国語も勉強した。
生活の軸が彼らにあって、依存に近かったのだと思う。
心を支える柱が4本あるとしたら、確実に2本は彼らに支えられていて、そんな心の支えを急に失ったらどうなるか。想像に難くないだろう。

あの時期のことは、あまりよく思い出せないのだが、とにかく何をしていても涙が溢れて、通勤中も気を抜くと涙が流れた。しんどかった仕事中のほうがいっそ楽に思えた。目の前の書類に集中して考えなくていいから。

毎日当たり前に聴いていた彼らの音楽も聴けなくなった。
もっと良いニュースが今までたくさんあったのに、それを報じなかったメディアが、彼の死を連日報道することに怒りも覚えた。他グループのファンの同調するようなツイートを見るのも辛く、Twitterを開くのが怖かった。

それと同時に、勝手にこの先にあると思っていた明るい未来が、こんなにも脆く、今までの夢のような時間も、彼らが何か大切なものを犠牲にした上で成り立っていたのだと思えて、ただ享受して搾取していただけの自分がひどく汚いものに感じた。

5人で完成されていたダンスが4人バージョンになって、4人で歌う新曲も増えた。
ファンの私達にも想像出来ないほどの悲しみや苦しみを経て、それでも続けることを選んだ4人には、これまでと変わらない熱量で最高だよ!大好きだよ!と伝えたい。本当にそう思う。
だけど、あの日を境に確実に何かが変わってしまった。

こうして振り返ってみると、色んな記憶が薄れていて、あんなに大切だったものが小さく遠くなってしまった気がしてとても怖い。
あの日心に空いた穴は一生埋まらない。あれから新しく好きになった人やモノや作品が沢山あって、私はそれぞれに特別に愛情をもっている。だけど代わりにはなれない。

心の中にも住所みたいなものがあって、それぞれの場所が決まっているように思う。好きなものが増えて、心のスペースが拡がっても、あの場所は彼らにしか埋められない。
そう思っていたけれど、穴は少しずつ塞がっているのかもしれない。長い時間をかけて、触れるとチクッと痛みが残るくらいに癒やされてしまうのかもしれない。それが忘れるということなら、一生塞がらなくて構わない。

毎年12月18日になると、心の穴の変化を確かめている自分がいる。
ああ、まだこんなに痛い。大丈夫だ、忘れてなんかいない。

初めて彼らのライブを観た2010年の12月から、もう13年が経った。
あんなにつらい思いをするなら、好きにならなければよかった。そう思う人もいるかもしれないが、私はやっぱり出会えてよかったと思う。
彼らは友達でも家族でもないけれど、時に友達より家族よりも私を支えて何度も暗い谷底から救いあげてくれた。
いつも期待以上のパフォーマンスで夢みたいな時間をたくさんもらって、
そんな彼らを自分なりの全力で応援できたことが今の私を創っていると思うから。

以前のように、毎日彼らの音楽を聴くことはなくなった。それでも、夏の暑い日は、彼が作詞した透明感あふれる曲が聴きたくなるし、満月を見ると、月をテーマに創った曲が恋しくなる。
その時々の自分に合った距離感で、この先も一緒に進んでいきたいと思う。
そして、誰よりも優しくて愛情深い彼が、苦しみのない場所でいつまでも安らかであるように願う。

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