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LIE_D_PeterThiel

自由を至上とする自由原理主義者であり,国家の介入を良しとしない市場原理による経済活動を是とするリバタリアン.ヒューマニズムや平等を良しとするリベラリズムとは明確に区別される.不定期の講演やエッセイでは,リバタリアン的信念が一貫して表明される.2004年のシンポジウムでの,シュトラウス主義者の時代という発表では,啓蒙主義的な価値観を脱することで,破滅的な衰退から逃れなければならないとリベラルの価値観を否定.2009年にリバタリアン系オンラインフォーラムCatoUnboundにリバタリアンの教育と題されたエッセイを寄稿し,国家=政治と市場の泥沼関係を批判し,考えうる全ての政治からの脱出を目指すことを主張.私はもはや自由と民主主義が両立するとは信じていないと言わしめるに至る.
大学では哲学を専攻.ルネ・ジラールのミメーシス(模倣)理論に大きな影響を受ける.ジラールの考えをビジネスや私生活に応用し,競争すること自体に気を取られてしまう結果,我々は世界で重要な,超越的な,あるいは本当に意味のあるものを見失ってしまうと述べる.2011年に未来に関するエッセイTheEndOfFutureを公開し,技術革新の停滞を分析するなど,テクノ・フィロソファーとしての顔をもつ.
リバタリアニズムはγイデオロギーであり,講演やエッセイ,哲学という認知論的カテゴリーへの情熱は直観性.LIEは競争を積極的に奨励するタイプだが,ティールは競争は負け犬のすることだという持論をもつ.しかし,競合他社とわずかな差別化要素でしのぎを削っていては,独占できないというダイナミックなビジネス戦略であり,勝つために戦うなという意味.執拗なまでの勝利への渇望は幼少期からあったことからも,LIEの競争的な側面は如実に現れている.競争のネガティブな面を哲学的側面から考察する姿勢もあり,競争が核心のテーゼだと伺える.テクノロジーと精神がもたらす超越的な力や真実を考察する哲学者であり,大いなる意思への従属による犠牲者意識の兆候があるように思う.これは中心性の直観型に発現するTime状態.

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