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消防士の昇任試験~昇任させられない事情と試験の副作用~

こんにちは消防歴25年のファジーと申します。
今回は昇任試験についてです。
消防職員の昇任試験とはどんな試験か。
昇任試験が与える職員への副作用について記事にしました。

昇任試験制度とは

昇任試験は、昇任の客観的な公平性を担保し、受験者が昇任にふさわしい教養を持つ人材であるか確かめるために行います。

試験範囲は、日本国憲法、地方自治法、地方公務員法、消防法などの法令のほか、警防業務、救急業務、時事問題から広く出題されます。

難易度は、合格基準が自治体により異なるので一概には言えませんが、わたしが所属する本部では、半年間ほど勉強すれば合格できるレベルになっています。

試験は自治体独自のルールで行われるため、消防本部によっては教養試験がなく、面接と人事評価だけで合否を判定するところもあります。

合格しても昇任できないこともある

消防本部によりますが、昇任試験に合格しても、すぐには昇任させない本部もあります。

これは昇任する役職に空きがないためです。
役職に空きがないのに、合格者全員を昇任させてしまうと給与が上がり、人件費が膨らんでしまいます。

だからといって空きが出るまで試験を不合格にしていると、職員の負担が増すばかりです。

そのため、合格はさせるけど人件費を抑制するため、少し昇任を待ってもらう。という本部もあります。

合格基準に達した職員は、合格者として一旦名簿に登録し、ポストが空いたら昇任させる。言わば名簿登載方式です。
この方式を採用している本部は多くあります。

一方で、名簿登載方式ではなく、毎年少ないポストを受験者で奪い合う実力主義方式の消防本部もあります。実力主義方式では、努力しない受験者は落ち続けることになります。受験する職員にとって負担の大きい方式です。

レアな事情で昇任させられないこともある

通常、昇任試験は毎年同じレベルの難易度で、同じくらいの人数を昇任させます。しかし、レアな事情でそれができない消防本部もあります。

それは複数の消防本部が合併した直後の組織。つまり広域化したばかりの組織です。

広域化すると、これまで別組織であったものが一つの新たな組織になります。

広域化のメリットの一つに組織のスリム化がありますが、スリム化によって役職数は、職員数の相対的に減ることになります。
さらに広域化をきっかけに年齢構成や役職構成にかたよりが出ることもあります。これが昇任試験にも波及します。

広域化した直後の組織では、役職数の減少と年齢・役職構成のかたよりによって計画どおりに昇任させることができない状態になるのです。

試験の副作用

試験は客観的な公平性を担保するため、実力主義です。過去に上司だった人を追い抜く部下や、先輩を追い抜く後輩が毎年います。

消防は上意下達の世界で、一つ階級が上であれば、下位の者は命令に従うのが当たり前です。試験をきっかけに人間関係が破綻してしまうことはよくあります。

昇任試験を教養を身に着ける良い機会にしている職員がいる一方で、後輩や歳下に追い抜かれ、そのストレスによりパフォーマンスを低下させる職員もいます。

不合格した職員は「努力が足りなかった」として更なる努力を重ねるしかないのですが、「納得できない」と不満を漏らし、不合格通知を受けた翌日に仕事を休む職員もいます。

最後に


不合格になった職員は、試験の公平性を理解しても、本心では納得できていません。
わたしはこうした職員を見捨てるのではなく、理解を納得に導くためのサポート体制づくりを考えるべきだと思っています。


下手な文章にもかかわらず最後までお読みいただきありがとうございました。

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