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娘と献血に行った話

こんにちは、フジケンです。

今日は、献血に行ったお話をしたいと思います

なお、今回の投稿内容は、
献血未経験者に向けた
トリセツのような構成になっています。

では始めます。


「献血行ってみない?」

娘のこんな一言で、
私は人生初の献血(本当は2回目)をすることになった。

記憶をたどると、
20数年前に一度だけ献血をしたような気がする。

なぜ?どこで?まったく思い出せない。

献血は駅前にある献血ルーム、通称CoCoSAという施設で行った。

ビルの2階にある献血ルームは、
白を基調にした、とても明るく広々とした施設だ。


献血経験済みの娘は、慣れた様子で受付へ黙々と進む。

キョロキョロと娘のあとをついて行く私は、
明らかに初心者のオーラ丸出しだった。

受付に行くと、
白のポロシャツを着た爽やかな女性が
「献血カードお持ちですか?」と笑顔で聞いて来た。

ここでなぜか私は、ウソをついてしまう。

「献血は初めてです」

おい、ちがうだろ!過去に1度経験してるだろ!
でも、遠い昔の事だからいいか。

「それではカードをお作りするので、こちらに記入お願いします」

用紙には、住所・氏名・連絡先などの個人情報や、
病歴、薬の服用などの問診項目があった。

個人情報の確認ということで、
免許証の提示を求められ無事、受付第一段階は通過したようだ。

「ウソはバレるものだ」

受付の子がすぐに、
「フジケンさん、過去に献血経験されてますね」
20年以上前のデータがしっかり保管されていたとは‥。

「はい、かなり昔なので新規みたいなもんかなと」

「じゃあ、以前のデータを更新してカード作りますね」
新規でいいんじゃねえの‥。

すぐにデータ更新とともに、カードが作成され、
次の段階へ進むことになった。

気づくとすでに娘は別室へ進み、私は遅れをとっていた。

受付の子が、
「水分とりました?」
「トイレ大丈夫ですか?」

と突然聞いてくる。

水分?おしっこ?
親に連れてこられたお子様じゃないんだから、
大丈夫に決まってるだろ。

続けて体温と血圧を測定すると、
今度はタブレット画面に現れる質問に答えるよう求められる。

質問は、
海外渡航歴やエイズ検査目的か、同性での行為がどうのこうのなど、
かなり踏み込んだ内容だ。

まあ、赤の他人からもらう血液だから、
クリーンじゃなきゃダメってことなんだろ。

さあ、いよいよ扉の向こうで採血が始まるわけだな

渡されたファイルを持って、
中に入ろうとすると受付の子が、
「水分飲みました?」
「トイレは大丈夫ですか?」

何なんだよ!
紙コップ1杯の水は飲んだし、
おしっこは出ない!と心の中で叫び、採血室へ突入した。

中に入ると、リクライニングチェアでくつろぐ
献血マスターたちが、どや顔で私の方を見る。

待ってろ、オレもすぐにそっちの世界の仲間入りだ。

と奥へ進もうとしたとき、
扉からすぐの小部屋で待機する初老の男性医師がニッコリ微笑む。

「はい、診察するのでこちらへどうぞ」

俺の何が知りたいんだ先生。

小部屋に入りイスに座ると、
私の問診回答や血圧などのデータを見ながら、
「ふんふん、いいですね~」と独り言。

何を聞かれるのか待っていると、
「今日はいつもと変わらず元気ですか?」

はあ?
医師の問診が、素人みたいなこと聞いて終わりなの?

しょうがないので言ってあげましたよ
「いつもより元気です!」と。


ここでイヤな予感がした。

採血室の扉を開けたとき、
奥のイスに座って待ち構えている看護師さんが、
ジッと私の顔を見つめていたことを。

予想通り、医師の小部屋を出ると、
「はい、こちらへどうぞ」の声。

そこでは、
血管の状態を確認(右腕か左腕)し、
指先から数滴の血を取って、ヘモグロビン値を測定するのだという。

看護師さんが私の指先に針を刺し、
血液を機械にセットすると、
「ヘモグロビン値は問題ないですね」
とニッコリ笑顔で言った。

気になって、
「ヘモグロビンが低いとどうなるんですか?」
「献血はお断りしています」

えー、やっとの思いでここまでたどり着いて、
お帰り下さいは酷だぜ。

ここまでの道のりは長かった。

リクライニングチェアに横たわり、
目を閉じている娘をしり目に、
案内されたリクライニングチェアに座る。

担当の看護師さんが、
いろいろ説明を繰り広げているが、そんなものは耳に入らず、
背もたれを倒した高級感あふれるチェア、
掛けてくれる毛布の心地よさに、
今までの苦労は忘れ去ってしまった。

「あぁ、心地いいなぁ」

気が付くと、
右腕の血管には、ぶっとい注射針が刺され、
どす黒い血液が搾り取られていた。

このまま深い眠りにつけたら、最高だろうな‥。

「はい、そろそろ終わりでーす」
「えっ、400mlってそんなに速いの」

体感で5分程度の採決はあっという間に終わり、
採血室をあとにした。


受付に戻りファイルを返すと、
「お疲れさまでした。飲み物を飲んで、
 ゆっくり休んでいってください」

と笑顔のお返しだ。

すでに献血を終えていた娘は、
ホットココアとお菓子をつまみながら雑誌を開いていた。

私も娘をマネして、自販機の飲み物を片手に、
ゆったりとイスに腰かけた。

「ん~、なんだかんだあったが、献血は悪くない」

心がほっこりした。

15分ほど休憩し、献血ルームを出ようとすると、
受付の子から袋いっぱいのお土産を渡された。
「なんだこの、至れり尽くせりは‥」


二人で献血ルームを出て、
駐車場まで歩いていると娘が、
「なんで献血誘ったか分かる?」
こんなことを突然聞いて来た。

「血が足りないからだろ」

ぶっきらぼうに答えると、

「寄付みたいにお金使わなくても、
 タダで誰かの役にたてるからだよ」

「ふーん、そんなもんか」

♯献血 ♯400ml ♯ヘモグロビン値


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