イキリ大学院生

おはよう諸君。
今日は、いわゆるイキリ大学院生について書いてみたいと思う。
ワイの研究科では、イキリ大学院生の多くは修士課程に在籍する院生にみられる。彼らの典型的症状の一つが、「ワイならこれくらいの論文すぐに書ける」というやつである。
この一文だけ読む限りでは、そんなに悪い院生には見えないと思う。いや、正直に言えば、良い論文を書くために大学院に上がってきた志のとても高い新入生である。既存の学説を吹っ飛ばし、新たな理論を提示するために現れた大学院のニューヒーローになりうる存在かもしれない。

だが、しかし、論文を一本も書いたことがないにもかかわらずこの新入生が、彼の先輩院生の進捗報告や中間報告の場にて、すでに他方面から批判的な突っ込みを入れられて瀕死状態になってる先輩院生に対して、さらに重箱の隅をつついて瑣末なことで責めあげ始めたらどうだろうか。先輩院生の報告に対する批判をすることにより「気持ちよくなってるだけやろ」と言わざ
るを得ない院生が現れてしまうのである。

あまり、ナイスガイとはいえない。
とはいえ、ここまでであれば、まだ批判的思考に満ち溢れたやる気のあるやつである。

しかし、話はここで終わらない。
他人の研究報告にて攻撃的だったやつらの大半が、(ワイの観測範囲の限りではあるが)1年後の彼ら自身の修論報告の場で、大爆死をかましてしまう報告しかできなかったのである。
その原因は、たぶん謙虚じゃなかったからだろう。自分の能力を高く見積もりすぎていた。そして、例えば、先輩院生が研究報告に失敗した際に、自分の研究上の考察の視点などに基づく外在的批判に終始してしまった彼らは、なぜ先輩院生が失敗してしまったのか、という原因を丹念に理解しようとしなかった点に在るように思われる。先輩院生が行った研究がなぜそのような内容になったのかをトレースするだけの理解力と共感力を持ち合わせていれば、(先輩院生の報告が仮に問題点および改善点を抱えていたとしても)それを反面教師にして、自分の研究に活かせたのではないかと思われる。彼らは、トレース思考(ここでは、批判的・肯定的な共感思考)をもつのではなく、先輩院生らの研究に対して、たんに攻撃的でしかなかったあまり、自分自身の研究を内省する機会を最後まで失ってしまったような気がするのである。

まとまりのない文章を書いてしまったが、まあとにかく、いわゆるイキリ大学院生というのがたまに現れ、そして、大体、似たような行動と失敗を犯して、修論で大爆死を遂げるという結末を迎えている気がする。その原因は、シンプルに謙虚さが欠けていたからだと思われる。なので、「みんな謙虚に学びましょう」、というメッセージを伝えたく、この記事を書いてみました。特に、まだ論文を一本を書いたことがない人に対して伝えておきたいのは、論文や報告のクオリティが低いと感じる場合でも、そんな論文・報告になってしまったことにはそれなりに理由があるはずなので(しかもそれなりに理解・共感することのできる理由があるはずなので)、「コイツはダメだ、この研究はダメだ」で切り捨てずに、同じ失敗をしないように謙虚な分析と議論を通じて、自分の研究に活かしましょう。イキって偉そうなことを攻撃的に言うだけじゃダメだと思います。

ちなみにこのnoteの元になったのは、自分のこのツイートです。


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