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「りさ子のガチ恋♡俳優沼」を見た

小説版は読んでいて、舞台化はすでにされていたが、このたび再演されると知り、恐る恐るチケットを取った。ちゃんと先行で。
蓋を開けてみれば完売公演だったようで。

ストーリーはわかっていた。キャストの予習は一切しなかった。
キャストどころか稽古の進捗なんかも追ってなかったし、初日でもないのでネタバレもあっただろうが、まるで見ていなかった(というか関連のフォローをしていないので情報が入ってこない)つまりガチンコ勝負である。

---以下ネタバレになります---

シアターモリエールは記憶が曖昧なほどいつぞやに芸人を見に来たくらい久しぶりで、こんなに狭かったっけ?と思いながら着席。
セットを見ても流れが想像できない。なんとなく予想していたセットとは全く違ったので、読後のホラー感がちょっと蘇ってきた。
開演直前に入ってきた3人の客がちょうど直線状に目の前の位置で、パニエを入れたフリフリの服で立ったり座ったりを繰り返していてとても目障りだった。声も大きいし笑い声も特徴的。開演後もうるさいし、ちょっとした嫌悪感を抱いていたら、それがまさかのキャスト3人。いやぁ演出に騙された…そしてリアルだった…(ハイタッチで捌けるまで気づかなかった)
ツイッターは各自読み上げる形で、モブツイートはカラスマスクを被った女子たち。表アカウントはカラスマスクから半顔を出し、裏アカウントではカラスマスクを完全に下ろしてフルフェイス状態で。顔を隠すという行為がわかりやすくてすごい。

とにかく心理描写を形にするのがすごい。るるが犯人探しに躍起になっているとき、りさ子は同じ空間にいて、ずっと「抱きしめてくれる太陽です」と小さく繰り返し呟いている。何より、新垣里沙の狂気がヤバい。
ラストの長台詞、あれはもう行きついたオタクの声としてしか聴こえなかった。新垣里沙ではなく、確実にりさ子だった。私は俳優沼にくるぶしくらいまでは浸かっているがガチ恋ではない。けれどあの、畳みかけるように悲痛な思いを叫び、吐き出しているのを見たら、思わず泣きそうになってしまった。この長台詞が衝撃的で、本を持っているのに戯曲を買って確認してしまった。
劇中で芝居をしているので、どこまでが劇中芝居なのかわからなくなるような(あえてわからせないような?)カーテンコールもゾクッとした。終わっても終わっていない。どこが終わりなのかもわからないし、これが新たな始まり…?という恐怖で終わる。

見ていて思ったのは、小説版ではもしかして…?みたいな部分が舞台ではアンサーとして描かれていて(個人的な解釈なのでどの部分という名言は避けるが)これは小説版を読んで舞台を見て…のセットが正解だな、と。
結局持った感想はいずれにしても「ホラーじゃん…」なのだけど。

カーテンコールで柏木君が「役者も見ている側も疲れる」というような話をしていたが、言う通り精神的なダメージはある。でも見たくなってしまう。怖いもの見たさなのか。
今後この作品がどう展開されるのかはわからないが、さらなる再演だけに留まらず、可能なら映像化してほしいし、映画とは言わずも大衆が目にするような方法でこの衝撃を広めてほしい。
これはオタクにしかわからない気持ちかもしれないが、タガが外れるということはどんなことにも起こりうる。だからこそ、オタクではない人にもぜひ見てほしいと思う作品だと思う。

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