現役ドラフトについての雑感
第二回現役ドラフトが12月8日に行われ、第一回と同様12人の選手が移籍しました。
12名も選手が動くのはこの制度ならではで、魅力の一つ。新天地へ進む選手達の幸運を祈ります。
さて、今回は移籍が決定した選手達を見ていく事とします。
紹介の順番は個人的な順位です。現役ドラフトの指名順ではなく、独断でランキングしました。
1.佐々木千隼//in(横浜)out(千葉)
2021年に54試合に登板した2016年競合ドラ一右腕。実績知名度で今回のメンバーの中で上位に位置する。ロッテの躍進を支えた2021年を境に、リリーバーとして大成すると思われたが、勤続疲労の影響か翌年に大きく成績を落とした。
今季は僅か2試合の登板に留まる。西村、横山、東妻と若手のリリーバーが活躍するチームにポジションが無かった形。
獲得した横浜は今オフ2023年の500イニングを失うというとんでもない状況になっているので一軍で投げられる投手を欲していた形。佐々木は今季ファームでの26試合中12試合で先発しており、イニングは食える状態にある。
複数投手の配置転換を余儀なくされるチームにおいて流動的に起用できる佐々木は悪くないだろうか。
2.梅野雄吾//in(中日)out(ヤクルト)
通算216試合に登板している24歳。今季登板は5試合。
木澤清水田口の三本柱を支える役割をしたかったが叶わず。石山、星、大西にその座を奪われていた。
150前後の直球を軸に登板回数を重ねられると聞けばいい補強になるが、奪三振率が大きく低下しているのが不安要素。10.24(2019)10.30(2021)と記録した全盛期と比べて今期はファームでも6.26と低迷。
広いバンテリンドームを本拠地にすることで幾らか変わる事が今回のポジティブ要素か。経験値は高いのでうまくいけば。
3.北村拓己//in(ヤクルト)out(巨人)
通算176試合に出場し、56安打放っている右の内野手。
個人的には元プロスぺクトの評価。もう少し出場機会を確保できていればチームでの立場も変わっていたのではないだろうか。
今季ファームの成績は、3本塁打OPS.872と申し分のない成績。ヤクルトからすれば夏に放出した西浦と被るようでも、西浦より若い事は好材料。
山田や村上のバックアップであったり、武岡長岡の競争相手としてチームにもたらすものは少なくない。北村にとっても内野のポジションが全て埋まった巨人からの移籍はいい転機となりそうだ。
4.水谷瞬//in(日本ハム)out(ソフトバンク)
身体能力系の外野手。22歳。
一軍出場はまだ無いが、今期二軍戦に83試合出場。打率.259,OPS.725とした。プロ二年目に二軍戦デビューしてから安定してバッティングではアピールしている印象。[OPS:2020(.827)2021(.761)2022(.643)]
私も上記の記事でプロスぺクト評価をしているが、生海や笹川といったトッププロスペクトには及ばないため、移籍は本人にとってよさそう。日本ハムは同じく身体能力系の万波が一人立ちしたことで、この手の選手の育成に自信を持っていてもおかしくない。成長曲線に乗ることが出来れば、江越や五十畑で賄うポジションをグレードアップ出来る可能性がある。
5.馬場皐輔//in(巨人)out(阪神)
2017年ドラ1右腕。今期も19試合に登板。防御率も2.45と次第点の活躍。通算でも106試合に投げており実績も十分。
投手王国の阪神でロースターから漏れがちだった馬場だが、巨人に行けば活躍のチャンスはありそう。阪神ファンとしてはコントロールがアバウトで大事な場面で使いにくい印象だったが、この辺が改善されるかどうか。
困ってど真ん中に「えいや!」を巨人ファンは寛大な心で許して欲しい。
6.長谷川威展//in(ソフトバンク)out(日本ハム)
特徴的なフォームから強いストレートを投げ込む24歳左腕。
今季は9試合に中継ぎ登板。突然来年コンテンドに前向きなチームの中で優先順位が下がりそうなところ、移籍のチャンスが訪れたと言えそう。
ソフトバンク側も左の中継ぎとして期待しているようだが、思惑が合致していたか。コマンドに難がありそうだが、改善して嘉弥真の後釜を狙う形となる。
7.櫻井周斗//in(楽天)out(横浜)
高卒六年目左腕。2021年に30試合に登板するも、それから一軍登板は無し。今期もファームで36試合に登板したがk/bb1.60といまいちな成績。まだ24歳であることから伸びしろはありそう。同じ左腕の石川達也の登板数が伸びるごとに櫻井のチャンスは減っていく一方だった。現役ドラフトがいいチャンスとなれば。
獲得した楽天は色々な意味で中継ぎ陣をどうにかしたかった。松井裕樹のメジャー挑戦で空く、中継ぎ左腕のポジションを掴みたい。
8.愛斗//in(千葉ロッテ)out(西武)
今季73試合に出場していた外野手。通算でも351試合に出場し、218安打放つなど、1997年世代の希望だった選手。
ただ、トッププロスペクトの蛭間や長谷川の登場により、立場が弱くなっていたのは確か。通算四球率2.7%というとんでもない数字を叩くなど、期待値からすれば物足りない数字が並ぶ。近年は強肩での貢献もクローズアップされるが、西武に居ては頭打ちの印象があった。
環境を変えることで何か変化があればいいし、現役ドラフトの趣旨にそった形となった。
9.中村祐太//in(西武)out(広島)
2017年に5勝を上げた28歳右腕。先発時は平均にして5イニング程度にとどまるが、ゲームメイクは出来ていた印象。ただその頃から時が経ち、今は中継ぎ調整に入っている。ファームで28試合に登板し防御率1.08,WHIP0.87と優秀。k/bb4.38も楽しみなところだ。一軍では5試合のみの登板に終わったが、西武の方がチャンスが多そうで、バウンスバックに期待したい。
10.内間拓馬//in(広島)out(楽天)
強いボールを投げ込む中継ぎ右腕。今期は一軍登板無し。
正直知らない投手。ただまだ25歳である事と、スイングマンとしてファームで回っていた事はストロングポイント。コントロールに難がありそうだが、こういったタイプを育成してきた広島がどうしていくかに注目。
11.漆原大晟//in(阪神)out(オリックス)
プロ五年目の27歳。今期は16試合に登板。投手王国のオリックスで出番を確保するのは易しい事ではない。
22試合(2020)34試合(2021)16試合(2023)と登板している中継ぎなので実績はある。ストレートとフォークの2球種が中心となるスタイルだが、舞洲同様球速を上げる事に定評のある鳴尾浜でどれだけレベルアップ出来るか。いまいち安定感に欠ける登板も多いため、良い状態をいかに継続できるかだろう。
12.鈴木博志//in(オリックス)out(中日)
プロ六年目右腕。元鈴キンブレル。
現在はただの鈴木博志となった。
初年度53試合に登板するなど試合数はプロ入りから重ねている。ただ近年は球速にも陰りが見え試合数も伸びていない。スタッツ自体は非常に苦しい数字が並んでいるが、オリックスで何かきっかけを掴めるだろうか。
まとめ
以上が第二回現役ドラフトで移籍が決まった選手達。第一回で移籍した選手は今年厳しいオフを迎えた。第二回で選ばれた選手達にはより多くのチャンスが巡る事に期待したいし、それに応えられる事を祈る。
大竹や細川といった成功例の話はあるが、正直本当に稀なことだろう。オコエや戸根のような活躍をした選手も決して悪くはない。
現時点で私が抱く期待値は今回ランク付けをした通り。
来年の12名が楽しみである。
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