シーズン7 #14(#106)『恨み節だよ 人生は』

  • 原題:mr. MONK and the Bully

  • 放送日:

  • 2009年2月6日

  • 2009年7月6日

  • スタッフ:

  • 脚本 ジョー・ヴェンチュラ

  • 監督 デヴィッド・ブレックマン

ノア・エメリッヒ(ロデリック・ブロディ役)
ジュリー・ボーウェン(マリリン・ブロディ役)
ロナルド・ハンター (バーフライ役)
アーロン・ウェイン・ヒル(少年時代のモンク役)
ジェイソン・シンガー(バーテンダー役)

<ストーリー>
 中学時代に自分ををいじめ抜いた同級生ロデリック・ブロディから突然電話を受けたモンク。トイレの便器に顔を突っ込まれる「お流し」が今もトラウマになっているモンクは、彼の依頼が妻・マリリンの浮気調査だと知って悪い顔に。決定的な証拠を発見して宿敵を打ちのめそうと嬉々として調査を重ねた結果、彼女らしき女性が若い男とデートしている場面に遭遇、ロデリックに報告するが、彼は「どうやら自分の勘違いだったらしい」と調査を打ち切ってしまった。
 ところが翌朝、その若い男フェンデルの刺殺死体がホテルで発見され、事件は急展開を迎えることに――。

<解説>
 モンクのブラックな面が顕在化する“黒モンクもの”エピソードの一篇で、これまでの例――「悪夢のゴミ戦争」「恐怖のヌーディスト」等がパニック状態での暴走だったのに対し、今回は、冷静なまま“黒モンク”状態となるさらに真っ黒な展開となっている。
 そのプロットの性格上、大笑いできるギャグは少なく、名優トニー・シャルーブの――そして吹き替えた角野氏の――絶妙な個人芸を楽しむ場面が大半となっているが、クライマックスでの警部の「ディッシャー、溺れていない方を逮捕しよう」は、ミステリとしての軽やかな趣向ともマッチした、値千金の名台詞であった。さらに、甘美な復讐に酔いしれていたモンクがぎりぎりのところで踏み止まり、歓喜の側転(!)を行うべきか葛藤する件りは、正義のヒーロー復活の(ユニークすぎる)楽しい名場面といえるだろう。
 そして、その対象が“トゥルーディと同じぐらい自分の人生に影響を与えた”とまで語られる、いうなら少年時代のモンクに「とどめを刺した」人物であることから、それを乗り越える本作は、実は、シリーズ終盤らしい重要な1作でもあるようにも思われる。


<MEMO>
*ロデリック役のノア・エメリッヒは、『セルラー』(04)での刑事役、
『SUPER8/スーパーエイト』(11)での敵役等が印象的。また、『ビューティフル・ガールズ』(96)『トゥルーマン・ショー』(98)『オーロラの彼方へ』(00)等、“主人公の親友”役で好演が多く、今回のキャスティングはそれを踏まえてのものだろうか。 

*妻マリリン役のジュリー・ボーウェンは、TVシリーズ『ボストン・リーガル』(04~08)の第2~第3シーズンのレギュラー、デニス役で知られる。本作後、『モダン・ファミリー』(09~20)でエミー賞を二度獲得している。

*冒頭、ロデリックからの電話で依頼を受けたナタリーは、打ち合わせの場所について、「分かります。銀行の2階ですね」(たぶん彼のオフィスだろう)と言っているが、実際には大邸宅である自宅を訪ねている。

*クライマックスでディッシャーが言う「爪を見せて」は、原語では「叔母さんと言ってみて」(Say "aunt.")。これは上手い変更だろう。

*(以下、準備中)



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