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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論832」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第39号(2008.11.25発行)「IHRSA、欧州市場レポート2008年度版刊行」2~※名称等は当時、一部文章省略

欧州のチェーン企業各社のポジショニングを、縦軸に会員数の伸び率、横軸にクラブ数の成長率’(どちらも期間は2005~2007年の3年間)をプロットすると、低価格クラブ、マックフィットの突出した成長ぶりは明らかである。
同社は年率に換算して会員数を35%、クラブ数を28%伸ばしている。

とは言え、会員数で見ると、欧州市場の中心はミディアム価格帯である。
このセグメントの主要プレーヤーとしては、ヴァージンアクティブ、ヘルスシティ、SATS、キーザートレーニングといった企業が挙げられる。
ヴァージンアクティブとヘルスシティは、過去3年間に会員数を大幅に伸張させた。
ヘルスシティは年率にして73%もの成長を達成し、会員数において欧州10位(2006年)から5位(2007年)と大躍進した。
これは同社の積極的な買収戦略によるものである。
同社のクラブ数の伸び率は欧州トップの89%であるが、これは同社の、買収を通じた成長戦略の表れである。
一方、ヴァージンアクティブのクラブ数は年率53%で成長している。
これは2006年の英国ホルムズプレイス買収に因るところが大きい。

女性専用のカーブスは、2007年末時点で欧州各地で694の低価格クラブを運営している。
会員数は18万6千名(2007年度末時点)であった。
カーブスの特徴は、1店舗当たりの平均会員数が268名と少ないことである。
因みに、1店舗当たりの平均会員数は、マックフィットが6180名、ヴァージンアクティブが3963名、ホルムズプレイス(イベリア地区)が3593名であった。

その他、欧州市場でトップ10入りしたのは、ノルウェーのフィットネスチェーンSATSである。
同社は、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマークで105店舗を運営し、会員数は23万7千名に上る。
キーザートレーニングは手堅く4位の座を守った。
同社は主にドイツとスイスで148のクラブを運営し、30万名弱の会員を擁している。
病気の予防やメディカルトレーニングに力を入れており、2007年に会員数を42%増加させた。

2008年に注視すべきことは、今後も継続して成長が予測される低価格セグメントの動向である。
ドイツのフィットネス市場では、ミディアム価格帯クラブのシェアが低価格帯クラブに奪われるという現象が起こっている。
低価格クラブのマックフィットは、欧州各国への進出を目論むとともに、2009年度末までに会員数100万名達成を目指している。
低価格クラブは、現在9%から52%の幅で推移している退会率を抑制することができれば、欧州市場におけるシェアを拡大していくことが可能であろう。

~ここまで~

欧州市場は、EUという共同経済圏かつ地続きということで、自国のみならず周辺各国へ進出するケースが多いと言えます。

従って、自国のフィットネスマーケットが飽和状態となっても、海外進出が容易にできるという点において、競争環境が厳しい反面、チャンスも大きいです。

翻って日本の市場を見ると、海外進出をしている企業はアジア市場への数社数店舗に留まっている為、現実的に国内での競争、一択になっています。

そのような中、低価格クラブであるチョコザップが昨年から一気に出店しており、記事の通り、浸食されつつあるミディアム価格帯のクラブがどう対応していくか、パンデミックのダメージも合わせて、分水嶺を迎える時期に差し掛かっていると思います。

お読みいただきありがとうございました。

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