トリック・オア……

このシナリオは、所謂ネタシナリオである。報酬はちょっと多めであるが、キャラ崩壊じみたRPを強いる事もある。息抜きや見学者のニューロンを焼きたい時などに遊んでみて欲しい。

尚、難易度はスクラッチビルドで作成したニンジャでギリギリ勝てるくらいの調整である。特に精神力は2以上あったほうが好ましい。



◆◆本文◆◆


あなたはソウカイヤのスカウト部門の長ソニックブームに呼び出しを受け、トコロザワ・ピラーの秘密ブリーフィングルームへとやってきた。 通常よりセキュリティレベルが高い部屋に呼ばれた事で、この任務が機密性の高いものだという事を予感させられる。あなたは意を決してブリーフィングルームのフスマを開けた。

「ドーモ、ソニックブームです」

悪趣味な柄シャツに白ズボン、威圧的なリーゼントが特徴的なニンジャ――ソニックブームがアイサツする。陽気なサンバを踊りながら。

「いいか、先の一つだけ言っておく」

ソニックブームは踊りながら、目を威圧的に細めた。

「これは、シリアスなミッションだ」

そしてエルヴィス・プレスリーめいて人差し指を天井へ突き出し、尻を横に突き出した。

「俺はいつものように野良ニンジャをスカウトしに行った。相手は大したカラテの持ち主ではなかったが、どうやらグレーター級……ひょっとするとアーチ級のソウルを宿していたらしい。ヤツが指を鳴らすと、俺はいつの間にか……グワーッ!?」

ソニックブームはムーンウォークしながら苦痛に顔を歪めた。

「詳しくは話せねぇ。そういう呪いを受けたからだ。とにかく俺はそこである勝負に負け、踊り続けねば死ぬ身体にされちまった」

見事なターンからの前後開脚、そしてストリッパーめいて艶めかしく後方に仰け反る。

「お前の任務はあのクソニンジャ……クソッ、名前を言う事すら呪いで制限されてやがる!とにかくヤツをぶっ殺し、この呪いを解く事だ。ヤツの潜伏場所はココだ。とっとと行け!」

ソニックブームは立ち上がり、美しい開脚ジャンプを決めながら一枚の紙を投げてよこした。そこにはある住所が書かれている。どうやら閉鎖したダンス・クラブのようだ。

「いいか、これは俺のソンケイがかかった任務だ……!くれぐれも口外するんじゃねぇぞ。その代わり報酬は弾む。必ず成し遂げろ……!」

ソニックブームはそう言い放つと、ネコネコカワイイ・ジャンプを決めた。

ちなみにここまでの間でソニックブームを笑う等のシツレイを働いたニンジャには、
スリケンが飛んでくる。(回避難易度Normal)

あなたは紙に書かれた住所へとやってきた。電気の途絶えたネオン看板には「クラブ アースガルズ」とある。店の外だというのに既に強烈なニンジャ存在感を感じる。あなたは意を決して店へと踏み込んだ。

薄暗い室内。静止したミラーボール。空き瓶の散乱するバーカウンター。埃の積もったダンスホール。そして年代物のDJブースに……1人のニンジャが腰掛けていた。

「ドーモ、ローズルです」


軽薄そうなそのニンジャは、へらへらと笑いながらアイサツした。

「さっきの……なんていったか?なんたらブーム=サンの部下か何かだろ。
実際踊り足りなくてな。また誰か来るように仕向けたのさ」


ローズルはパチンと指を鳴らす。するとどうしたことか、電気が途絶えていたと思われたスポットライトが光り、ローズルとあなたを照らす。静止していたミラーボールが……否!天上で回転するのは黄金立方体

「俺はちょっと遊びたいだけなのさ」


ローズルはそう言い放つと、DJ機材をいじる!スピーカーから激しい16ビートが流れ出す!するとどうしたことか、あなたの身体が勝手に動き出し……踊り始めた!

「まずはダンスバトルだ。負けた方のニューロンがちょっと焼ける。そういうジツだ」
◆特殊戦闘ルール◆
ターン毎、【カラテ】【ニューロン】【ワザマエ】いずれかで難易度HARDの判定を行いその成功数を数える。
尚、出目6は成功数2として数える。
ローズルと自分のニンジャで成功数を競い合い、成功数の少なかった方は【精神力:1】のダメージを受ける(回避不能)。
【精神力:2】ぶんのダメージをローズルに与えれば勝利。
尚、判定毎に【カラテ】ならブレイクダンス、【ニューロン】なら日本舞踊、【ワザマエ】ならロボットダンス……等々、適宜適切と思われるロールをする事。

◆キャラクターシート◆

◆ローズル (種別:ニンジャ)	
カラテ     3		体力	3	
ニューロン    6		精神力	6		
ワザマエ    6		脚力	3		
ジツ        7		万札	0		
◇装備や特記事項									
装備なし、ジツ:『???』、『???』									
								

この勝負に勝利した場合、

「グワーッ!……ヒヒヒ、いいねぇ!あのソニックなんたら=サンは恥ずかしがって勝負にならなかったからねぇ!じゃあここからは……ニンジャらしくカラテしようぜ!ただし条件付きでな!」


ローズルはパチンと指を鳴らす…………が、何も起きない。

ここで1d6を振る。この出目が地の文の精神力である。わかったか。


「俺は生前、このジツで幾人ものニンジャを葬って来たんだぜ!……グワーッ♡」

どうしたことか?ローズルが突然悲鳴とも嬌声ともとれない声を上げる。

ローズルの精神力を-1する。
「俺としたことがうっかりしたぜ♡ このジツは語尾に♡をつけないとニューロンが焼ける、そういうジツだ♡ 威厳を保とうとすればニューロンが焼け、羞恥を捨ててもどこか気の抜けたカラテになる♡」

ナムサン、なんたる絶妙に恥ずかしいジツか!

以後、うっかりPCの語尾に♡をつけ忘れた場合。或いは意図的に♡をつけなかった場合はPCの精神力が-1される。尚、これは地の文にも適応される。地の文の精神力が0を下回った場合、以後全ての描写の語尾に♡をつけねばならない。

「さぁ……行くぜ♡」

◆ローズルと戦闘◆

◆ローズル (種別:ニンジャ)	
カラテ     3		体力	3	
ニューロン    6		精神力	3		
ワザマエ    6		脚力	3		
ジツ        7		万札	0		
◇装備や特記事項									
装備なし、ジツ:『トリックスター』『ドク・スリケン』『不滅』	
 ◇トリックスター:ローカルコトダマ空間内において、自分の定めたルールを相手に強要するアーチ級のジツ。
 ◇ドク・スリケン:スリケンのダメージを受けた相手は次のターンの「ターンの終了フェイズ」にさらに毒による1ダメージを受ける(回避不可)。
 ◇不滅:このキャラクターは爆発四散しない。

ローズルはあなたの嬌声、あるいは威厳を保とうとする姿をゲラゲラ笑いながら戦う。ローズルの体力を0にする、もしくは精神力をマイナスにした場合、ローズルは

「ヒヒヒ、アハハハハハ!やるじゃんアンタ!結構楽しかったぜ!また遊ぼうな!」


と言って霧となって消える。気づけばあなたは1人、薄暗いダンスホールに佇んでいた。するとスピーカーから

「ああ、あのヤクザ=サンの呪いは解いておいたから安心しろよ。じゃあな!」


という声が聞こえる。それ以降、スピーカーは沈黙してしまう。

秘密ブリーフィングルームに戻ると、腕組みしたソニックブームがあなたを出迎える。


「……お前には4日の余暇と……コイツをくれてやる。だから今日の事は忘れろ。いいな」


そう言って【万札:20】を投げてよこす。

ここでソニックブームをからかうような発言をした場合、ソニックブームと戦闘になる。


あのローズルと名乗ったニンジャは結局何者だったのか。「またな」と言っていたが再び相まみえる日が来るのだろうか?そんな事を考えながら、あなたは帰路についた。その足取りはどこかダンスめいて軽やかであった。

報酬  【万札:20】【余暇:4】

◆END◆

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