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指揮とバヨネット・ドー(NJTRPGファンメイドプラグイン)

このプラグインでは、戦列歩兵めいたイクサを再現するためのルールを追加します。基本的にはNPC向けの能力であり、大量のモータルを従えるボスを出したい時に有効でしょう。また、中世末期~近世の銃器に関する小話を付録として収録しました(むしろこっちが本編かもしれない)。少し時代がかった敵を出す時に参考になれば幸いです。

参考: リブート・レイヴン N-FILS

追加のスキル集


◉『統率と指揮』:取得前提【ニューロン】7以上: カリスマやニンジャ威圧感によって周囲の兵士を自らの手足めいて指揮する能力。手番開始時に【精神力】1を消費し発動する。自身を中心とした5×5マスに『指揮範囲』を展開する。『指揮範囲』内にある味方キャラクターは『指揮下』状態を付与される。尚、移動や吹き飛ばしなどでこの『指揮範囲』から外れたキャラクターは直ちに『指揮下』ルールを失う。

『指揮下』状態
・クローンヤクザ等、通常「まとめて全弾回避」が可能なキャラクターの射撃を「まとめて全弾回避」不可能にする

・このキャラクターのイニシアチブを◉『統率と指揮』使用者の直前、もしくは直後にしてよい。

・◉『統率と指揮』を使用したキャラクターは『回避判定』を行う時、『指揮下』状態にあるキャラクターを死亡させる事で直ちに『回避ダイス』を2個得る。この効果で得られる回避ダイスの数に制限はない。
MEMO: 基本的にボス用。部下が射撃→使用者が突撃、といった絵面が再現出来る。またモータルを肉盾として使用する絵面も再現出来、PC達の敵愾心を煽るヴィランが作れるだろう。


◉『タツジン(バヨネット・ドー)』:取得前提【ワザマエ7以上】: このスキルを持つキャラは、『近接武器』かつ『小銃』装備時のみ、『射撃基本難易度』が-1される(つまり『射撃基本難易度:HARD』と相殺されNORMALとなる)。また隣接状態にある敵にも射撃が可能となる。

また『近接武器』かつ『小銃』装備時のみ、以下の効果を得る。戦闘スタイルを使用するかどうかにかかわらず、『カトン・ウェポン』などのエンハンスはバヨネット・ドー時も有効である。『◉トライアングル・リープキック』および『◉キリングマシーン』なども通常どおり組み合わせ可能である。

『戦闘スタイル:密接射撃』: 着剣したライフルで相手の胴体を串刺しにし、命中直後にトリガーを引いて、密着状態で敵に銃弾を命中させる無慈悲なる殺人カラテ。

この戦闘スタイルを宣言した場合、この攻撃フェイズ中に敵に『近接攻撃』を命中させ、かつ回避されなかった時に、望むならば、その敵に対して装備している『小銃』で射撃を行える(回避は通常通り可能)。この効果は『連続攻撃』時や、『サツバツ!』発生時でも使用できる。『サツバツ!』が発生した場合は、『サツバツ!』の効果を与えた直後に、追加で上記の効果を与える。
『迎撃』: 本来は乗馬突撃を迎え撃つためのアーツ。敵が直前に2マス以上移動してから『近接攻撃』を繰り出してきた場合のみ、その攻撃に対して成功したこのキャラクターの『カウンターカラテ』は、ダメージ2(回避難易度:HARD)となる。なお、それが同じ敵からの『連続攻撃』だった場合、『迎撃』のルールは命中した最初の攻撃に対してのみ有効である。

このスキルは近接系と遠隔系の両方の特性を持つ『◉タツジン』スキルとみなされ、これを取得した場合、他のいかなる『◉タツジン』系スキルも持てなくなる。『ヒサツ・ワザ』については、『近接武器』系のスキルを取得可能。

※また、ここで言う『小銃』にはサイバネによる『内蔵型』銃器は含まれず、LAN直結型の『小銃』も使用不可能である。

MEMO:ピストルカラテのセイケンヅキ射撃との相違点は、ふっ飛ばしによる間合いの変化がない事。そして装備する小銃によって戦術を変えられる事である。
例えばアンタイ・ニンジャライフルならば回避HARDの射撃が出来る、バズーカならば1d3ダメージを与えつつ隣接する敵にも被害を与える、等の柔軟さが出せる。
尚、『迎撃』ルールはツジギリを使用する事を前提として組み込んだ。タクティカルな動きでPCを翻弄しよう!


シャード集

注意:意図的にニンジャしんじつを混ぜてあるため、真面目な議論の場の文献としては使用しないこと。

シャード1: ハンドカノンとマスケット銃、銃剣

極初期の銃器は、非常に巨大で重く、大変取り回しの悪いものであった。現代のライフルはその名の通り銃身にライフリング(螺旋状の溝)が施されており、弾が回転する事により非常に安定した弾道を得ているが、初期の銃器はそのようなものは無く、銃身はまっさらである。このような銃をマスケット銃と呼ぶ(※やや誤謬があるが後述)。

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Hakenbückse(ハーケンビュクセ)、Arquebus(アルケバス)と呼ばれる極初期の手砲=ハンドカノン。一応2人で運用するものだが、設置後は1人で運用出来るので小銃の範囲に入るらしい。たぶんスモトリなら全て1人で使える。

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もう少し小さくなったもの。これでも10kgを超える重量をもつため、まだまだ取り回しが悪い。図を見て判る通り、照準器の類は存在しない。また現在のライフルのように銃床を肩に当てる事もしない。後ろに伸びた木の棒を小脇に挟み、敵の方を向いて引き金を引く。運が良いと当たる。そういう武器だ。射程は80mほどあったと言うが、このような運用なのでまともに当たるのは10m~25mほどだったという。

さて、このような大雑把な武器を使うニンジャは居るだろうか?…ビッグ・ニンジャクランは喜んで使いそうではある。一発ぶっ放したら棍棒にすれば良いし

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もう少し改良された小銃。小型化されたがまだ重量は7kgほどあり、銃身を保持するために股杖(杖の先が2股に割れている。ここに銃身を置く)を使用する。(初期にはこの運用法をする銃のみをマスケット銃と呼んだが、前述の意味へと変遷していった)

さてロシアではこの様式の銃を使用する時、股杖の代わりにバルディッシュと呼ばれる両手斧を使用した。柄と斧刃の間に銃身を置いて射撃したのである。そして敵が接近してくれば銃を捨てバルディッシュを取り、白兵戦に挑んだのである。銃器とノダチのコラボレーションと言えるだろう。

この時代の銃兵は上述のようにバルディッシュで武装するか、せいぜい刀剣を装備するのが関の山であった。これは1つ、重大な問題をはらんでいた。 騎兵の突撃を止められないのである。騎兵を止められるのは槍衾だけだ。そのため、この時代の銃兵は槍兵による援護を必要とした。ここにナイト・ニンジャクランとヤリ・ドー、そしてテッポ・ニンジャクランの油断ならぬ緊張関係を見出す事が出来る。

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やがて銃が軽量化され、補助具なしでも射撃出来るようになった後。小銃の先端に取り付ける剣、銃剣が発明される。これにより小銃を槍のように使用出来るようになり、銃兵は槍兵の役目を兼務するようになった。この時点でテッポ・ニンジャクランはヤリ・ドーを吸収した可能性がある。そして生み出されたのが本プラグインで解説されたバヨネット・ドーである。


シャード2: ピストルの運用

小銃の発展とは別に、既に16世紀にはピストーレと呼ばれる拳銃が登場している。片手で保持できるこの銃は、現代人の感覚からするとやや意外だが、騎兵によって大いに活用された。それまでの騎兵は6m近いランスで武装していたが、それよりもやや射程の長いピストル(射程:10m程度)はランスを駆逐していく。とはいえ、完全に白兵武器を置き換えるには至らず、ピストルに頼り切った騎兵が抜刀突撃を受け崩壊する戦闘もあった。

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何故白兵武器を置き換えるのに至らなかったのか?理由の1つとして、当時のピストルの命中率の低さが挙げられる。そのため、ある軍においてはピストルを装備した騎兵はこのような訓示を受けた:「銃口を敵の甲冑に押し当ててから引き金を引け」と。その距離からでないと外れる可能性がある(また当時の甲冑の正面装甲は遠距離からの銃弾を防ぐ事が可能であったのも一因であろう)事を端的に示すものだが、ニンジャに詳しい諸氏はある事に気づいたであろう。

そう。

これはあからさまにピストルカラテのセイケンヅキ射撃なのだ。

また、17世紀のスウェーデン王にして軍改革者であるグスタフ・アドルフ傘下の騎兵達はこのように訓練された:2丁のピストルを持ち、敵前で1丁めのピストルを撃ち、直ちに刀剣を抜き放ち敵陣に斬り込む。もう1丁のピストルは乱戦用に取っておく

このように、本来的にはピストルは白兵戦の距離で使用する武器であった。テッポ・ニンジャクランはここにカラテとのシナジーを見出し、ピストルカラテを生み出したと思われる。

現代に残る射撃反動カラテやセイケンヅキ射撃といったアーツがいつ発明されたのかは定かではない。しかしそのルーツを近世の騎兵戦闘に見出せる事を示し、本文を締める。

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