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UXからデータを集める中国のサービス体験レポート2019

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こんにちは、Rettyの二見(@futamyan)です。2019年9月中旬に同期と中国の最新サービスを体験すべく上海に行ってきました。

中国では阿里巴巴のアリペイと騰訊のWechat Payによってモバイル決済普及率が60%近くに昇ります。またモバイル決済から集められた膨大なデータをサービスに還元するデータドリブンを体現する国でした。

今回は上海で体験したサービスの最新事情と、データアナリストが感じたデータ収集とユーザー体験の考察の一部をレポートとして残せればと思います。

アリババが展開する盒马鮮生(フーマーフレッシュ)

上海で最初に体験したのはアリババが展開する中国ニューリテールを象徴する盒马鮮生です。

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盒马鮮生には専用のアプリがあり、実際に店舗に赴かなくても注文宅配をしてもらうことができます。

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また店内には注文に対して対応する店員さんが日本のスーパーと同じくらいの規模に30~40人くらい配置されています。店員さんはそれぞれ商品の陳列を行ったり、注文が入った商品をスマホを見ながら専門のバッグに入れていきます

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専門のバッグに入れられた商品はスーパー天井にあるレールを伝って裏に運ばれていきます。盒马鮮生の大きな特徴はこのスーパーと倉庫の役割が一体になっているところです。

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また盒马では商品の値札のところにQRが掲載されていました。

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盒马の専用アプリで読み取ると商品の証明書と詳細を手元で確認することができました。偽物の流通防止や品質の担保においてもアプリが活用されていました。

盒马鮮生での決済は基本セルフレジです。商品バーコードを読み取って、アリペイで支払います。またアリペイのQR決済に加えて、顔認証でアカウントを紐づけて決済する方法もありました。

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このように盒马では老若男女の購買データを集めることができます。アリペイは基本名前や電話番号と紐づいています。結果、膨大なデータから仕入れや流通までを繋げることができるので今後の展開が楽しみなプラットフォームと言えそうです

Luckin Coffeeとスターバックスの現状(瑞幸咖啡)

2019年中国スタートアップで話題になったのはIPOも果たしたLuckin Coffeeです。上海にもかなりの店舗数を構えており、手元のアプリからいつでも注文することが出来ます。

Luckin Coffeeと対峙して比較されるのがスターバックスです。

日本のメディアだとLuckin Coffeeの勢いが報じられますが、実際どのような雰囲気なのか実際に試したく両店舗を訪問しました。

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Lucking Coffeeは上海市内であれば500m間隔くらいで店舗を構えてるイメージでした。アプリで注文する人が多いからか店内は閑散としており、他店舗でもスタバほど賑わっているようには感じられませんでした

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店内にはアプリでの注文方法も説明されてました。基本は大きなカウンターとテーブル席がいくつかのシンプルな作りでした。初期コストを抑えられそうだったので一気に展開がしやすかったのかなと考察できます。

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注文は基本全てアプリ内で完結します。価格帯は日本スタバとさほど変わらないくらいです(1元=15円ほどのレート)。また一番左のボタンにあるように2杯注文すると1杯無料で飲むことが出来ます。

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決済はWechat Payやアリペイで行えます。今回はラテと炭酸の入った物を注文したのですが、あまり日本人好みの味ではないのかなと思います。

アプリのUXについてですが、会員登録の際にSMS認証用の番号が音声で発信されるのですが、中国語での数字が理解できないと会員登録さえ厳しそうでした...

IPOを行って勢いづくLuckin Coffeeですが、確実にユーザー数が積み上がっているかどうかは疑問でした。それ以上に現地ではスターバックスがAIスピーカーとコラボしたり、日本と同じように作業する人がいたりなどして賑わっている印象でした。

売り上げなどは日本でも見られる記事通りだと思いますが、勢いなどはメディアで受ける印象とは少し乖離してるかなと思います。

バブル崩壊と言われた無人コンビニとシェアサイクル(ofo・mobike)

上海滞在中に上記の記事が話題になっていました。上海にもいくつか無人コンビニがあり、現状を知りたく訪れました。

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宿泊したホテルの近くに無人コンビニがあったので、朝10時くらいに訪れました。最寄りの駅は上海体育館駅で、日本でいう国立競技場駅みたいなところの近くにあります。

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広さはあまりなく、「コンビニ」というより駅にある小さな「売店」のような雰囲気でした。簡易な飲料類とお菓子を買うことが出来ます。

無人コンビニはビルの1階に位置していたのですが、閑散とした雰囲気で上のマンションに住んでる人がたまに買いに来る程度です。

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支払いはWechat Payのミニプログラムと連携しており、出口にあるQRで決済できるシステムでした。

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简24は上海の他にも展開している無人コンビニですが、いくつかは閉店済みで記事の通りあまり盛り上がっているとは言えなさそうでした。特に上海市内には大型のショッピングモールが点在しており、近くのコンビニに行くより駅前のショッピングモールの方が利便性高いのかなと考えられます。

また、コーラ1本買うのにわざわざミニプログラムを起動して決済をするのは面倒かなと思います。利用シーンやユーザーが限られてくるので、グロースし続けるのは厳しいかなという印象でした。

中国で話題のサービスといえば、シェアサイクルについても下記のような記事や噂をよく聞いてました。

実際上海市内でシェアサイクルはかなり使われている印象でした。実際に自分たちの移動の際にも利用しましたし、指定されている駐輪可能エリアがかなり多いので便利でした。また上海は坂が少ないので自転車の利便性を最大限に活かすことができる地形だと思います。

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上の写真は上海市内で撮ったものなのですが、実際にバイクを使おうとしているユーザーが写ってしまうくらい活発に使われています。

またアリババの本社がある杭州ではmobileやofoではなく、Hello Bikeというアリババが展開する青いシェアサイクルが普及しています

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決済はアリペイで行うことができ、アリババのお膝元ではほとんどこのバイクでした。街中の人にかなり浸透しており、問題とされていた放置等もあまり見かけませんでした

アリババ初の近未来ホテル Flyzoo Hotel(菲住布渴酒店)

上海から150kmほど離れた位置に杭州という街があります。杭州东駅から滴滴で40分ほどの場所にアリババの本社があり、本社の隣にはアリババの手がけるFlyzoo Hotelがあります。

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2018年12月にオープンしたばかりで、アリババの技術力や空間デザインなどが細部にまで施されているホテルでした。今回の旅ではせっかくなので1泊このFlyzoo Hotelに泊まることにしました。

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Flyzoo Hotel自体にフロントは存在しておらず、アプリから予約を行い、上記の専門の機械でチェックインすることが出来ます。残念ながら外国人は直接顔認証を登録する必要があるので、人力でチェックインする必要があります。

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Flyzoo Hotelにルームキー等は存在しておらず、顔認証で全てを行うことが出来ます。例えば、エレベーターの止まる階はカメラに映った顔で選択できるようになり、朝食時もカメラに顔を向けることで宿泊者と一致させています。

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廊下のデザインも近未来感にこだわっており、ロボットがルームサービスを提供してくれる非現実感の強いホテルでした。

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またホテルには最新のジムを完備しており、宿泊者は顔認証で照合すると自由に利用することが出来ます。

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また部屋の灯やカーテンの開閉などは全て備え付けのAIスピーカーで操作することが出来ます。このAIスピーカーも天猫精灵というアリババ製のAIスピーカーです。残念ながら中国語しか対応しておらず、使いこなすことはできませんでした...

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ホテルの隣にはアリババの運営するAlimallというショッピングモールがあり、先ほど紹介した盒马鮮生があったり、淘宝版の無印良品の淘宝心选のリアル店舗が入っています。

また先ほど紹介した通りシェアサイクルはアリババのHello Bikeが走っており、まさにアリババシティと呼べるような街でした。このように失敗を恐れずなんでも実験しながら突き進める場所があるのはかなり強みなのではないかと感じました。

OMOを体現するTaobao Maker Festival2019(淘宝)

アリババの運営する淘宝(Taobao)は中国内最大のECです。その淘宝に関するリアルイベントが杭州で開催されていましたので参加してきました。Taobao Maker Festivalはアリババの20周年も重なり、かなり盛り上がっていました。

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Taobao Maker Festivalは淘宝で出品しているブランドのブースが並んでおり、認知やユーザーとの接点を増やすことが出来るイベントです。またブースに展示されている商品は直接淘宝で購入するようになっており、イベント内で購入することは出来ないのが特徴です。

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飲食店も軒を連ねており、現金は一切利用できず、アリペイか淘宝経由での決済になります。上記のような決済端末がそれぞれのブース毎に並んでおり、スマホをかざして決済できます。イベントの参加者は子どもから大人まで幅広く、みんながQRコード決済でイベントを楽しんでいました。

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イベントの一角では中国でかなり盛んなライブコマースの生配信もイベント中に行われていました。商品は淘宝直播で購入することができるようでした。

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またTaobao Maker Festivalでは最新の技術やハードウェアを体験することもできます。上記はMR(Mixed Reality)を体験できるブースで、リアルとバーチャルが融合したショッピングをいち早く体験することが出来ます。

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安価に人工肉を楽しむことができるブースもあり、多くの人が列をなしていました(売り切れで人工肉は食べられませんでした...)。上記画像から分かるようにブースには必ず淘宝の検索クエリが書いてあり、仮にイベントで食べられなくても後から淘宝で購入できるようになっています

あくまでイベントはオフラインのつながりを作ったり、実際に認知をしてもらうための場であり、実際の購入データはオンラインで集めていくという構成になっていました。

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また、見ての通りそれぞれのブースの作り込みはかなり凝っており、皆がスマートフォンをかざしながら品定めをしているような光景が広がっています。QRコードをかざすと淘宝のページに飛んだり、Wechatのミニプログラムに飛ぶようになっています。どんなユーザーが興味を持ったかなども全てデータとして残っていると考えるとオフラインのデータ集め方は見習う点が多くあるなと思います

UXとデータをつなげるサービス設計(考察)

この他にも今回の旅では様々な中国のサービスや実態を体験することが出来ました。Wechat Payが2019年9月現在で外国人の利用が一切制限されており、基本的にアリペイを利用して過ごしました。

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もっとも良い学びだなと思ったのは全てのサービスにおいて、データの収集がかなり積極的に行われている点です。アリペイやWechat Payは基本個人に紐づいていますが、それを利用しない限り基本サービスを利用することが出来ない仕組みでした。上記画像はLuckin Coffeeの決済画面ですが、中国のカード以外の利用は一切受け付けてくれませんでした。

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また初回の登録さえ終えてしまえば、様々なサービスがシームレスに連携でき、ユーザー体験としてかなり良いものになる気づきもありました。サービス毎に個人情報を入力させたり、メールアドレスを登録させたりすることはなく、サービスを利用する際に自然とデータが集まってくる仕組みになっているなと思いました。

ユーザー体験(UX)とデータ入力と最適化のバランスが良い中国のサービスはPM的な視点やデータアナリストの視点から見てかなり進んでいる印象でした。ユーザー体験を損なわないデータ収集の設計は今後もプロダクトを作っていく上で意識したい点だなと思う旅でした。

長々とした文章でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございましたmm

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daiki_futami

IT企業のデータ分析チームに所属しています。以前はエンジニアやSEOなどをやっていました。データ分析やエンジニアリング、グロースハック関連の学びを貯めていきます
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