見出し画像

モノ×体験で感動を生み出し価値を最大化。あなたは「感動体験の設計図」を書いていますか?by #KARTE_CXC sio鳥羽氏のセッションから

どうも、フクパンマンです。
2022年7月12日に開催された「KARTE CX Conference 2022」に参加させていただき、その中で皆さんに共有したいセッションがありましたのでまとめました。

「ぼくらの感動体験のつくりかた」
というセッションで、sio株式会社/シズる株式会社 代表取締役 鳥羽氏、株式会社プレイド EDITプランナー 藤井氏によるセッションです。

鳥羽さんはレストランsioで顧客の体験価値を最大化するためのマーケティングを徹底されており、その内容をその日配膳されたお弁当の解説をしながらわかりやすくお話しされていました。マーケ界隈では有名人でさまざまなメディアにも出ておられます。

飲食店の事例ですが、EC・リード・店舗・ジャンル問わずサービスの価値を最大化するためのエッセンスが満載で、マーケティングに携わる方は参考になる部分があると思います。

それでは、どうぞ。

「感動体験の設計図」を書いていない場合が多すぎる

「レシピとか使い方の話ではなく、感動体験の設計図を作ることが大事」と鳥羽さんはいいます。そして、「感動体験の設計は、映画のように文脈を作ることが大事である」と続けます。
感動体験の設計図とは、一体なんなのでしょうか。

sioの感動体験設計図

例えば、仕事終わりのビールがうまい。
はたまた、富士山山頂で飲むコーヒーがうまい。

このように感動体験とは、文脈(ストーリー)があると普通の体験でも感動に昇華できるということです。

感動体験の設計で大事なのは、常に力を入れ続けるのではなく、「落差」を作ること。
「基準値」
をしっかり作りつつ、上と下を用意して落差を作ります。基準値よりも下がったところを作ることが大事。これがないと落差の絶対値が少なく感動も薄れてしまいます。
そして、基準値をたくさん設けることで、基準とのGAPをつねに感じやすくします。

そして、「崩し」「抜き」を作ると、さらに記憶に残る感動体験になります。「比較対象がないものは感動しにくいので、経験のある比較対象があるものの中で、それを上回る(もしくは裏切る)ように設計すると感動が生まれやすくなる」といいます。この落差、崩し、抜きが徹底されているのが映画であり、映画のような体験をデザインしようということです。

サービスを提供しているとどうしてもいいところばかり押し出したくなりますが、それだと感動は生み出されません。なぜなら期待値ばかり上がって、リアリティがなくなるからです。また、別のセッションでも認知科学的に「安心だけでは満足できず、満足だけでは不安が生じる」という言葉がありましたが、この両方が「落差」「崩し」で満たされるとも言えます。

プレシジョンマーケティングさんのセッションからお借りしました

また、作成した文脈を体験してもらううえでお客様のコントロールができないと感動体験を作るのは難しいです。入口出口があり、途中の起伏が作れないと、期待値コントロールができないからです。そのため、sioではアラカルトではなくコース・お弁当での提供にしているとのことです。
このコントロールをする、という発想も抜けがちですよね。コンテンツの順番、トークスクリプトなどで実践できそうです。

文脈だけではNG。モノ×体験。ストロングポイントをいかに最大化するか

ただ、勘違いしてはいけないのが感動体験にはプロダクト・サービスのストロングポイントが必須です。体験だけでは感動しません。そのプロダクト・サービスのストロングポイントが最大化されるタイミングと文脈を作る、
「モノ」を掛け算的に最大化するのが体験なのです。
ついついSNSにあげたくなるモノがなければSNSでつぶやかれることはありません。

また、そのタイミングも大事です。
メインディッシュに行く前にお腹いっぱいになっていて感動が薄れる。
いきなりウニとかいくらのキラキラしたのがでたら、次以降の感動が薄れる。そんな経験はみなさんあるのではないでしょうか。

再掲。4番目の料理を見てみよう

鳥羽さんの設計図をもう一回みていただくと、お腹に余裕のある4番目の料理に印象的な料理を持ってきています。ここでテンションをあげさせ、記憶にも残りやすくさせるような工夫がされているのです。

この、どのタイミングで一番押し出したい価値を訴求すれば刺さるか、という考えもとても参考になります。

体験は、体験前と体験後も続いている。体験後は「体験価値のおすそわけ」が価値最大化につながる

鳥羽さん、藤井さんは「良いコンテンツは、体験前と体験後の設計がしっかりされている」と続けます。

「体験後は答え合わせと体験価値のおすそわけをみんなしたい(SNSシェア)。優れた設計図は、体験後がしっかりしている。
sioでは必ず1on1でコメントする。単純にリツイートするのではなく、コメントを必ず入れる。なぜなは、宣伝するのではなく、お客さんとのやりとりを最大化したいから」と鳥羽さん。

この体験価値のおすそわけ、という表現、とても素敵ですよね。
そして、なんだかとてもわかる気がします。
自慢したわけでもなく、感動した体験はおすそわけしたくなるのです。また、鳥羽さんはこう続けます。

「自動化してしまっては愛がない。文脈がない人から褒められても嬉しくない。デジタルを使うのだけど、最後は人がないと意味がない。最後のチューニングはデジタルでしきれない。デジタルコンシェルジュという発想がこれから大事になってくる。「届け切る」ことが大事」

一個だけ原価がかからないのは「思考」

「仕入れや仕込みにはリソースがかかります。しかし、自分の考える時間は、唯一お金がかからない」という名言がありました。リソースがなければ、とにかく考えることで解決するのです。

『顧客の体験価値を最大化する』とはどんな本にも載っていますし、最近はどのセミナーでも言われている言葉です。しかし、今回の話を聞いて、顧客体験の最大化はいつしか「サービスのメリットや良さを最大限体験してもらうこと」ということに置き換わってしまっていると感じました。

感動価値の設定図。それを生み出す思考。思考を形にするロジック。どれも足りていないです。

「モノ自体はいいものが増えている。しかし感動体験の設計ができていないので、最大化できていないことが多い。例えば、減塩のカップラーメンは、味を変えなくても、その前に運動したりお腹を減らしたりサウナに行ったりするだけで美味しく感じる。体験をコントロールするだけでお客さんが受け取る価値は大幅に変わる」

感動、すなわち期待値をコントロールすることが必要なのです。

自分のサービス・商材に当てはめてみよう

さて、これまでの話は飲食の話なので、それ以外で従事されている方はイメージがつかないかもしれません。そこで、ちょっと皆さんが自身のサービス・商品に当てはめるためのヒントをまとめてみます。

ちなみに、誰にも感動してもらうというのは絶対無理です。この話は今回のセミナーでは端折られていましたが、絶対考えていると思います。
北の達人木下さんのファンダメンタルズ×テクニカルマーケティング(https://www.amazon.co.jp/dp/4408650048)の内容を少し借りると、ターゲットは「大・中・小分類でどの分類を求めているか」「どの検討段階にいるか」で決めることが必要です。

私が所属しているテックアカデミーで言うと、「通いではなくオンラインで、独学ではなく講師がいて、学習だけでなく転職・副業支援をしているところ」というのがポイントとなるので、ターゲットは副業を考えていて、オンラインで、独学じゃない学習を望んでおり、検討し始めている方とするのが適切でしょう。また、受講生になったあとの感動体験も設計できるかもしれません。

ターゲットをある程度決めた上で、感動体験の設計図を作ります。商品を売る場合、単に商品の良さだけを伝えるより、この感動設計・期待値コントロールをするとより売り上げがあがるでしょう。先に述べた北の達人でのLPOの鉄則もこの感動体験を1ページでいかに演出するかという要素が入ってます。

  • 文章構成フォーム

    • 結論(例:あっと驚く新商品が誕生)

    • 否定(会話文)(例:でも、それっていつもの商品と同じじゃないの?)

    • 肯定(例:今までの商品とは全く違うんです)

    • 自分の意見(例:使ってみたらしっくり手になじむんです)

    • 煽り(例:セール終了まであと72時間です)

この否定というのが大事で、まさに落差を作っていたり、ユーザーの自分ごと化を生み出すことをしていると言えます。

ダイレクトアジェンダのセッションでも、サービサーが10個話すより一つのユーザーの声の方がCVRが上がるという話もありましたが、単なるUGCではなくて「感動体験」の記載があるUGCが効果が高いのかもしれません。

ぜひ、みなさんも自身のサービスや商品で感動体験の設計図を制作してみてください。私も早速やってみます。

それでは、んちゃ。

この記事が参加している募集

イベントレポ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?