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手仕事とお茶とおしゃべりの効能

編み物を生業にしている。
何を編んだら楽しいか、日々浮かんでは消えるアイディアをつかまえ、糸を選び、編む。
編みあげた作品を撮影し、包装し、販売する。
また、教材サンプルを編み、レシピをしたため、キットを組み、教室に来てくださる生徒さんたちに向けて講師業をしたりもする。
編み方を動画を撮ってURLをQRコードにして添付し、キットボックスにして販売することもある。
 
派生する業務はあれど、基本的には孤独に編んでいる。
編むのは楽しい。
しかし家にひとりでいると、まず人間の形に戻るのに苦心する。

茶の間の床が「動くのダルいならひとまず転がってTwitterでも見たらどうかね」と誘ってくるし、布団の方も「いつでもゴロゴロするがよい」と全力で受け止めてくれるし、結果的に一瞬で午前中が終わり、午後になり、夕飯を作る時間になる。
地面に対してどうにも平行になりたがる肉体を有していると、時間がとろとろと溶けてゆく。
TwitterとFacebookとInstagramとPinterestとkindleをお供にして。

早く垂直になりたい。

さて、圧倒的に編み物が捗るシチュエーションがある。
友人たちとお茶をしながら編むというシチュエーションだ。
各々好きなものを飲み、ランチやおやつを食べながら、だらだらとしゃべり、編む。
わたしの周りには、なんらかのものづくりをする人が多く、というかほとんどで、それぞれの手元でそれぞれに自分の仕事をしながらそれぞれの世界の話をする。

それぞれがそれぞれの世界観と世界を持っているのだ。
それを垣間見る楽しさ。
刺激を受け、また捗る。
そして気持ちが潤う。

月2回、水戸市内のイタリアンレストランで行なっているかぎ針編み教室に来てくださっている生徒さんの中にも、日常から離れる時間を持つために通っているという方たちがいる。
手芸をしながらたわいもないことをしゃべり、美味しいものを食べ、コミュニケーションをする。

家庭、学校、職場。
ただひとつの世界の中だけで生きるのではなく、いくつの世界の存在を知っていて、いくつの世界の人々と日常的に挨拶を交わせるか。

小児科医の熊谷晋一郎さんの「自立とは依存しないことではなく、依存先を増やすこと」という言葉。
(https://www.mugendai-web.jp/archives/8758)

森川すいめいさんの『その島のひとたちは、ひとの話をきかない』に出てくる、日本一自殺の少ない町、徳島県海部町(今は海陽町の一部)での体験と考察。
(https://www.amazon.co.jp/dp/4791769317/ref=cm_sw_r_cp_awdb_c_jMjmDbVMR6Q3W)

そういうことを紐付けて考えつつ、そんな日常的にゆるやかに挨拶を交わせる場のひとつになりたい、そんな場を作りたいと思い始めたのでした。

さて!
アンケートの結果も出まして。
開業資金を貯めるための展示販売会、タイトルと内容を決めました。

『百点満展ー貴族うさぎ編ー』


大小様々な貴族うさぎを100匹編み、茨城県水戸市内の店舗予定地&baseのオンラインショップで3日間限定、同時進行で販売します。
10月後半になる予定。
全部!というお声もあって気になってはいるんだけど、今回は貴族うさぎでいきます。
詳細は、徐々に。

ちなみにアンケート結果はこちら。

ご投票、ありがとうございました!





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