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CXOってどんな仕事なの?

お仕事についてのお題が出てたので、自分も参加してみた。

noteを運営するピースオブケイク社のCXOって、実際のところ何やってるの?というお話。


CXOのXは、エクスペリエンス

CXOとはChief Experience Officer(体験の最高責任者)のこと。

体験、つまりサービスを使って感じたことや、記憶したことを演出設計するお仕事です。使いやすい、楽しい、良さそう、わかりやすい、ワクワク、ドキドキ、がっかり、嬉しいはおろか、記憶もバズも、全部がユーザー体験です。

一般的にUI/UXと併記されるため、「アプリを使いやすくする仕事」と思われがちですが、これは間違い。「ユーザーの体験」なので、UXの守備範囲はもっと広くなります。

なので、お仕事の範囲は、「サービスを認知し脳細胞が発火した瞬間」から、「サービスを忘れてしまうまで」。その間、サービスに関して脳内で発生するあらゆる記憶と感情、その全てをいい感じにすることです。

アカデミックな定義は違うかもしれませんが、自分はそう考えてお仕事をしています。


具体的には、どんなお仕事をしているの?

基本的にはサービスとユーザーの接触面すべてを扱います。そのためストラテ、デザイン、マーケ、PR、CS、パートナーシップ、イベントなど、色々な場所に横断的に顔をだして、お互いを繋いだりしていきます。

色々なところに出没するので、突然やってくるメンドくさいオジさんにならないように、ドキドキしながらやっています。

特にスタートアップであるピースオブケイク社は、まだまだ人が足りません。このため、超横断的なムーブになりがちです。実際、この1年で下記のようなことをやっていました。


グロースモデルの定義
noteというサービスがどういう構造でグロースをしているのか? を皆にわかる簡単な図にしました。一番最初にやった仕事。

いったん「コンテンツパワー」「発見性」「継続性」の3つを柱として、どのような仕組みでnoteをグロースしていくのかの、大きな素案を立てました


カイゼン体制の提案
サービスの成長は、回転頻度と打席数という哲学のもと、超高速でPDCAを回しつづけるチーム編成を提案しました。 ウィークリーでボコボコとカイゼンしていくやつですね。 また、「UNDOできる失敗は、失敗ではなく実験」という哲学のもと、どんどんチャレンジを推奨してます。


MVVの策定
企業(サービス)ミッション・ビジョン・バリューの策定。1月のあたまにワークショップをやったりしました。noteのミッションは「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」ですね。
本当はカルチャーブックなども作らにゃアカンのだけど…ちとリソースがたりてないので手をだせてません、反省。


ユーザーとあって遊ぶ
お茶会を開いてユーザーとあったり、ユーザー有志のやるゲーム会、写真会、グルメ会などに遊びにいきます。そこでユーザーと一緒に遊んで、肌感覚をアップデートします。みんながnoteの何を良いと思っているのか、大事にしていることや、直して欲しいところなどは、直接ユーザーと触れ合わないとなかなかわかりません。データ至上主義ダメ絶対。

ここがズレるととても怖いので、忙しくてもできるだけここを大事にしたい。


SEOの推進
「読んでもらえること」はクリエイターの体験の中で最優先です。noteのSEOがちょっと弱めだったので、ここのテコ入れの提案など。ここは本来は守備範囲外なので、10社ぐらいをコンサルしてる経験上、鉄板ぽい手法を提案します。それなりに成果は出てますが、できれば辻御大のような、その道のプロに引き継ぎたいです。


デザインチームの人員計画素案
僕がジョインした時点では、POCにデザイナーは1人しかいませんでした。スタートアップではデザイナを少なめにしがちですが、僕はスモールチームでも、エンジニア3人に対して1人ぐらいの数のデザイナを推奨しています。

現在noteでは、フルスタック可能なフロントデザイナ2人、リサーチやまとめもできるデザイナ1人、ブランディング系のアセットを作れるデザイナ1人…といった具合です。 

ぶっちゃけ、世の企業は雇用しているデザイナが少なすぎると思うので、もっともっと増やして行きたいです。


中期経営改革のお手伝い
これは僕単体ではなく、ボードメンバー全体で合宿をしました。僕はファシリテーターとしてお手伝い。サービスのあり方とビジネスのあり方のバランスとりなどを、ちょびっとお手伝いしました。


noteを書く
これはひたすら書きます。1年で200記事ぐらい書いてました。やっぱ自分で書かないとわからないですもんね。


日経新聞との投資ディールの提案
「単なるお金でなく、シナジーのある株主を」と社長におねだりして、一緒に日経新聞に行ったり(日経さんは、もともと僕のクライアントなので、スムーズにいけました)。

共同でサロンや、comemoの引越しなど、提携のスキームの大枠の絵図を描いたりしています。


クリエイターサクセスを整理
もっともクリエイターを大事にするサービスと、内外ともに宣言するために、クリエイターのキャリアパスやサクセスパスの設計をします。よい才能を出版社やテレビ局に紹介したり、企業に紹介するスキームを描いて、みんなで上昇する世界観を作ります。


サービスのUIのコンセプトスケッチ / 監修
要所要所で、コンセプトスケッチを書いてslackに上げていきます。ただ、大きくはデザインチームに任せていく方針。自分の意見を通したいというよりは、「とりあえず思いついたら、なんでもスケッチを書いてslackに放り投げる文化を作りたい」という感じです。


オフィスの雑貨選定
オフィスにマッチする調度を選定します。IKEAや無印、フランフランなどを中心に購入(スタートアップなので、カッシーナはまだ無理)。低予算でシャレオツなオフィスを作るお仕事。

また予算がはみ出した部分は、私費でNoritakeさんの絵を買ったり、私物のタロアウトさんの絵や、リサ・ラーソンの陶器なども持ち込んだり、もはや壮大なボランティアと化しています。


みんなが言いにくそうなこと、経営陣に言っとく
偉い人に、そっちちゃうねんというお仕事。

「金はガソリンだ」と言い続ける
キャッシュは目的地にいくためのガソリンであって、ゴールじゃないと言い続けます。お金はサービスを永続化させたり、発展させるための手段レイヤー。

「UNDOできる失敗を恐るな」と言い続ける
偉い人がリスク回避型すぎると、サービスの速度が止まります。UNDO可能なら失敗なんて恐る必要ないと言い続けます。そんなことより、動けなくなることだけが脅威。


…といった感じでしょうか。上の方の人が無双してる会社は、脆いところもあるので、2-3年かけてフレームワーク化し、権限を移譲して、「窓際でブログ書いてるおじさん」になりたいと思います。

あまり参考になるCXOではありませんが、そんな感じです。

いただいたサポートは、コロナでオフィスいけてないので、コロナあけにnoteチームにピザおごったり、サービス設計の参考書籍代にします。