本当に意思決定が必要なことって、実は少ないかもしれない


先日、こばかなさんと意思決定の話をした。その話のまとめメモ。

意思決定の遅さや、先延ばしに巻き込まれて、チャンスを逃すケースが非常に多い。私生活でも仕事でも。

でも、実は意思決定で悩むケースは、この世にはほとんど無いんじゃないかなと思う。多くの場合、物事の選択はざっくり「ポリシーの問題」「セオリー」「不変の法則」の3種類のレイヤーに分類できるのではないかと思う。あらゆる意思決定をこの3レイヤーに分類することで、悩むシナリオを最小化できる。


ポリシーの問題

この卵を「目玉焼きにする」か「卵焼きにする」か「ゆで卵にする」か。

些細なこと、完全に等価なこと、要素が複雑すぎて分析不能な問題。ポリシーの問題は悩むだけ無駄。シンプルに好みや生き様で、決めてしまえばよい。

どちらかというと、明快な「生き様」や「ポリシー」など、行動規範を持っているかどうかが重要。本人が行動規範を持っていれば、何も悩むことはない。毎回判断するのではなく、一度ベースとなるルールを作り、一貫性をもたせるのが大事。


セオリーのある意思決定

目玉焼きは、「熱した金属板に乗せて焼く」か「レンジでチンする」で作れる。

歴史的に検証済みで、勝ちパターンが判明している問題。費用対効果を見るだけでよいので、基本的に悩む必要はない。

例外は「最適解ではなさそうな場合」と「新しいやり方そのものを見つける必要があるとき」。それ以外のときにあえてイノベーションを考える必要はない(朝食のために、粘土板で目玉焼きを焼く方法を考える必要はない)。

分岐するポピュラーなシナリオに応じて、最適な打ち手を把握しておくことが大事。


不変の法則

卵の白身(タンパク質)は58度ぐらいで熱凝固が始まり、80度ぐらいで完全に固まる。
白身を過剰に加熱すると硫黄分が出て、黄身の鉄分と結びつき黄身が黒ずみ臭くなる。

物理法則や法律など、根本から改変不能な事象。基本的に考えるだけリソースの無駄。このようなものは、意思決定する必要はなく、セオリーのレイヤーで法則を使えるかどうかだけを考えればよい。

ただし「イノベーションを生み出すことが目的」の場合は例外。このレイヤーをひっくり返す場合は、それ自体を目的にして本腰を入れるのが良い。


まとめ

こんな風に、迫られた意思決定を「ポリシー」「セオリー」「不変の法則」の3つに分類するだけで、ほとんどの意思決定は消滅する。意思決定を自動化すれば、認知リソースの使用を、複雑な例外ケースだけに集中できる。

・意思決定が「ポリシー」「セオリー」「不変の法則」に分解できる場合、選ぶ必要はほとんどない。
・その他に分類される場合、情報が足りない場合に、考えたり、選んだりする。
・イノベーションが必要な場合には、定期的にあえてルートからはずれる必要がある。


聞く限り、こばかなさんは施策の意思決定で迷ってたみたいだけど、そんなときは最初に「それは悩むべきものなのか? それとも自動で決まることなのか?」を考えてみるといいんじゃないかな…と、こばかなさんに話してみました。

人間の意思決定力は、有限のリソースなので、無駄に使わないことが大事なのかなと思う。限られた認知リソースを、どれだけ「本当に考えなければいけない問題」に集中できるかがポイントだろう。


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