畑迷汀(ぱたぱた)

日記とか考えたこと、作品の感想をだいたい1週間に1回のペースで投稿しています。書籍・漫…

畑迷汀(ぱたぱた)

日記とか考えたこと、作品の感想をだいたい1週間に1回のペースで投稿しています。書籍・漫画・ドラマ・映画・演劇などパラパラ楽しんでます。主に会社員。たまに、駱駄というユニット名にて冊子作っています。

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最近の記事

3月読んだもの観たもの

トルストイ『アンナ・カレーニナ』中巻  小説。散髪しに行くから本一冊だけ持って!って引っ掴んできたら、まだ上巻の半分も読んでいない状態で中巻を持ってきてしまっており(ちょうど家人が家で読んでたので部屋に転がっていたのを間違えた)、しかし他に読むものもないのでまぁいっか、と思って読み始めた。  冒頭がいつも農村にいる弟リョーヴィンと労働者階級ではなくたまに農村に遊びに来る兄コズヌイシェフの話で、意外と私はロシアの小説でいわゆるロシア的な「農村」が出てくる話を初めて読んだかもしれ

    • 2月読んだものみたもの

      谷川道子『ハイナーミュラーマシーン』  書籍。読書会でハイナーミュラーの戯曲を読むことになったが、実際に戯曲を読んでみてもちっとも足掛かりがなく、組み手をしてからだったらいくらでも頑張れるが組み手の組み方すらわからん……となっていたけれど、この本のおかげで糸口が掴めてきた。めちゃくちゃポストモダンな作品なので、大学くらいから大学卒業してからの間にすごく好きだったテーマかも、と思いつつ、演劇はポストモダンな作品でも上演のやり方によってまたぜんぜん違う地平が見えたり、その時代にあ

      • 1月読んだもの観たもの

        マリオ・バルガス・ジョサ『ガルシア・マルケス論 神殺しの物語』  批評。昨年、熱い経緯で翻訳に至った寺尾先生翻訳のジョサによるマルケス批評。とてもとても面白かった。ジョサとマルケスのパンチ事件以降、ジョサがこの本の翻訳を許していなかったのが、ついに寺尾先生の働きにより翻訳に至ったというのは、寺尾先生に感謝しても仕切れない。  ジョサの、作家のオブセッションを称して言った「悪魔」の話は、漏れ聞こえていたが、ジョサによる記述でまとめて読むととても面白い。作家には文化的悪魔と、個人

        • 12月読んだもの観たもの

          宇野重規『民主主義とは何か』  書籍。11月の続き。  全部読むと、読む前には民主主義に対して極めてぼんやりしたイメージしかなかったのが(というか、一般市民はどのように政治参加できるのかとか、どういう役割を果たすのかがすごいのっぺりしたイメージだった)、もっと複雑で色々な可能性のあり方を考えることができた。古代ギリシアの民主主義と、現在の日本のことしか念頭になかったけれどその間の文脈を埋めてくれるものだった。  社会の状態や国の規模によって、理想的な政治の形は違う、というのが

        3月読んだもの観たもの

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        • 作品感想記録
          59本

        記事

          11月読んだもの観たもの

          ガルシア・マルケス『愛その他の悪霊について』  小説。旦敬介さんの訳で読む。神保町の著名な訳者や研究者などが、自分でセレクトした本を売ってみる店に置いてあって、寝かせていたのを読んだ。  初めて読んだマルケスがこれだったのだが、その頃の自分にはギリギリ読めているか読めていないかのラインだったのではないかとおもう。  修道院の小部屋のイメージがすごく強く、かろうじて残っている記憶はそれと狂犬病で暴れる少女のイメージだけだった。  読み切った感想は、意外と他の作品の方が面白かった

          11月読んだもの観たもの

          10月読んだものみたもの

          古事記(岩波)  書き下し文の古事記と、レ点付きの漢文の古事記が載っている。訳註に頼ってギリギリ読めるか読めないかのラインだった。町田康と角川クラシックとを参照しながら読んだ。  ある程度天皇の威光を強める方向の話もあるんだけど、なぜこの変なエピソードがここに?みたいなのもあり、日本書紀と読み比べるとそこらへんが色々違うのかもと思った。あと、研究書読んだら面白そうだった。 町田康『口訳古事記』  結構本家『古事記』から大胆に削られたり膨らませられたりしていた。実際に、古事記

          10月読んだものみたもの

          9月読んだもの観たもの

          カート・ヴォネガット・ジュニア『タイタンの幼女』 小説。『スローターハウス5』の後に読んで、ヴォネガットの持つ決定論的な感覚は他の作品にも共通している感覚なのだというのがわかり、これが作家の中心的なテーマで、作品としていろんなバリエーションで描かれているのは、かなり気になる、と思った。決定論を描き続けるニヒリスティックな面がありつつ、眼差しは温かいタイプだと感じているので、それが物語としてどんなふうに立ち上がるのかというのが気になっている理由。『スローターハウス5』は、自伝的

          9月読んだもの観たもの

          秋の到来

           台湾へ行って、そのじめっけと暑さに閉口していたと思ったら、帰ってきた日本は急に涼しくなって秋のようになっていた。台湾旅程中の日本は非常に暑かったらしいが、月曜日に帰ってきて、水曜日頃にはそんなことも全く感じさせないほど涼しくなっていた。  先週末くらいから自然とエアコンを使わなくなった。少しでも暑いと躊躇なく使う方なので、自然と全く必要としなくなるほどに過ごしやすくなっているわけである。窓を大きいのと、小さいのとそれぞれ開け放って、蚊取り線香を焚いて、日中を過ごすと、庭から

          トラルファマドール星人と出会う

           カート・ヴォネガットの『スローターハウス5』を先月末から今月頭にかけて読んでいた。とても面白かった。家人がとても大切に思っている作家なので読みたくはあったが、自分が読みたいタイミングになるまで待たないと嫌だったので、読みたいタイミングになるまで待っていたら今になっていた。  お風呂の中でゆっくり読んでいたら、上がったあと洗面所で身体を拭いている間に、本当に『スローターハウス5』って面白いということしか考えられなくなるくらい、面白いのである。すごく面白いと思っている感覚を、言

          トラルファマドール星人と出会う

          8月観たもの読んだもの

          『スパイダーマン:スパイダーバース』 映画。アニメーションとしてとてもいいと聞いたので、マーベルそんなだけど観るか〜〜と観た。 スパイダーマンって、能力がほとんどなくて、ほぼ普通の人間なのがポイントなのだな、と思った。 アニメーションはめちゃくちゃいい。スパイダーマンの動きと3Dアニメは相性が良さそう(実際のところ作ってて相性いい〜と思ってるのかはわからない…)。 脅威の部屋 ドラマ。1話目だけ観た。怖くて良い。 続けて全部観るには疲れていたので、また今度〜〜 『タイガー

          8月観たもの読んだもの

          小説の下練り

           昨日と今日の間あたりで、うっすら目が覚めて、雨がざあざあと降っている音に気がついた。昨晩、夕飯を食べながら細野晴臣のドキュメンタリーを観ていた影響で夢に細野晴臣が出てきていた。目覚めてすぐは、具体的な内容を夢の記憶から探り出すことができたが、朝正式に目が覚めた後では、その内容を思い出すことができなかった。半分寝たまま夢をたぐっているうちに、昨日の昼頃に干した洗濯物をそのまま外に出していると、急に気がついた。非常に惜しい気持ちになる。最近は雨予報の日が続いていたので洗濯物が干

          山から降りて

           フジロックに行ってきた。初めてのフジロック、三日通しで前日入り、最終日翌日朝帰宅、キャンプ泊というフルセットのフジロックだった。  音楽フェスと呼ばれるものにはこれまでにも何度か行ったことがあって、それは主に国内アーティストがメインのフェスで、アイドルやJロックなどが主な出演者だったのだが、その頃にはまさか自分がフジロックに行くと思っていなかったし行ってこんなに楽しめるとも思っていなかった。何より過酷で準備がかなり必要だが、海外のアーティストがメインディッシュなので、そん

          7月観たもの読んだもの

          ケリー・ライカート『オールドジョイ』 映画。すごくいい。 キャスティングの妙。と思いながら二人の顔を見続ける。始まり方の、電話や会話からかなり良くて、会話の楽しさと音の楽しさに牽引される。ヨラテンゴの音楽がめちゃくちゃよかった。 朝食の電話のシーンと温泉の一部始終が印象的でいいシーンだった。 『須賀敦子全集2巻』 エッセイ。ずっとのろのろ時間をかけて読んでいる。 気が向いたら手に取るのを繰り返していて、いつも同じ感触が読みながらにして残る。 いつも、喪失や寂しさを感じるのだ

          7月観たもの読んだもの

          旅行先に本を持っていく

           平日はばたつきや負荷が多めでやんなっちゃう週だったが、休みの日は思ったより元気があって身体がテキパキ動く感じだった。家事をしていて楽しい。たぶん、仕事で自分の力ではどうにもコントロールできない事象の取り扱いが増えているので、コントロールできることに快感を感じている。  先週の間は『君たちはどう生きるか』の余韻があって、見た際の自分の感情の動きを探り直しながら、そこに言葉を引き当てていくということをしている時間が長く、それもあってか習慣として文章を書いているときの身体の感じ

          旅行先に本を持っていく

          慌ただしい週末

           演劇が終わったら次は映画、ということで、週末は映画学校に通う友人の映画の撮影にほとんどを費やした。日・月と朝から夜まで、間に友人が我が家を訪問するというイベントを挟みつつ撮影を敢行。  映画撮影のメンバーはほとんどが先月の間、一緒に演劇の練習をしていた面々で、お互いに意思の疎通は取りやすいが、映画は演劇とはまた気をつけるべき点が異なり、その慣れてなさという点で意思の疎通を図る難しさがあった。  以前、ある俳優が私は単なる映画の材料であり、必要な素材を提供しているだけで、作

          書くことと読むことは一人

           noteを再開することにしたが、習慣がすっかり消えているので何を書くか日常的に考える癖も消えていて、今日の昼間にnoteを再開したことを思い出しハッとした。  演劇の上演が終わり、土日に稽古が続く日々も終わり、6月が終わり、それと入れ替わるようにして今月からは友人の制作する映画に出ることになったのでその撮影がある。演劇とほぼ同じメンバー。  昨年か一昨年くらいから、映画の観る量が大きく減った感じがあって、この撮影に関わることで久々に映画に触れる時間が増えた。といっても微々

          書くことと読むことは一人