バーフバリと言う名の神話

バーフバリを観てきました。1作目の「伝説誕生」の方です(ネタバレあり)。ざっくりとした感想は、なんかみんな観ているし、大絶賛だし、インド映画だし、ストーリーはなくて、踊りまくって、超楽しい映画なのだろうなと思って観に行ったら、結構違かった、である。それこそ、タイトルに書いた神話だった。ちゃんとストーリーがあるのだ(2話から観ても大丈夫って言ったの誰だ。嘘じゃないか)。

正直なことを言うと、2本目をまだ観ていないのでなんとも言えないけれど、期待値が高かっただけに、思ったよりは面白くなかったな〜と思いながら劇場を後にしました(でも2は観る)。

思ったより面白くなかった理由は、話がバリバリに王道だったからだ。私は文脈を無視しまくって歌って踊るどんちゃん騒ぎを期待していたけれど、文脈を壊さずに歌って踊っていたというのが正確かもしれない。

ストーリーの骨格は、今まで語られすぎるくらいに語られてきた物語り方で作られている。
王位継承問題はこすりまくられてるジャンルだし、礼節をわきまえ人民に思いやりのあるバーフバリ(父)と、そのライバルで性格が悪いバラーラーデーヴァは、勧善懲悪的な描かれ方をするし。出自を知らない高貴な血を引く人が王位に返り咲くという、貴種流離譚的な(正確には違う?)面もある。男女の描かれ方もかなり王道で、男は強し、子を守る母は強し、母ではない強い女はなんだかんだ言ってかわいい女、みたいな部分がある。そして、印象的だったのは、戦争のシーン。テンプレートな野蛮人として描かれる敵と、文明人であるマヒシュマティ王国。文明対野蛮人って、それは西部劇……とか思ってしまった。

そう思いつつも、期待値が高すぎただけでバーフバリ、面白かったな(というより楽しかったなかな?)と思うところは多々あった。

まず、みんな無双過ぎる。ジャンプのスポーツ漫画どころじゃない。バーフバリ(父)なんか神と言われているし。猛り狂う牛を1人で押さえ込むとか、ロープと弓を手作りして木に矢をぶっ刺し、崖の頂上に至るとか、数え切れないほどのありえなさが楽しい。

スケールも大きい。強さと同じで大きなものって無条件にワクワクする。滝の大きさをはじめとして、戦場や王国、王宮に奴隷の数。
それに対してシヴドゥが子供っぽいのにも笑ってしまう。ピリピリするアヴァンティカの気を蛇で気そらして、陽気でメルヘンなBGMを背後に「惚れちゃってるんだおれ!」って顔でタトゥー彫ってるし(しかも2本目にはアヴァンティカがほとんど出てこないと聞いて笑った)。

こういう、ありえなさとか、常識からあまりにもはみ出たエピソードが、人類の歴史の中でこすりまくられてきた王道ストーリーという道理に組み込まれることで安定感はあるけど、奇想天外な話になっているのかな、という風に思った。
そして、壮大さと王道ストーリーに、奇想天外な登場人物のスペックと行動などは、まさに神話だと思う。バーフバリは神話だ。

とは言いつつ、カッタッパがバーフバリ(父)を殺めたと言うのは驚きだった。だが、きっとそこにはまた、別の事情があったのだろう。そこには必ず道理がある、と思わせる安心感がある。
だから、早く「王の凱旋」を観て神話を完成させねばと思う。

ちなみに、私が一番笑ったシーンはシヴドゥがアヴァンティカに化粧をするシーンだ。真の男であるシヴドゥの前でアヴァンティカが女性らしくなるというストーリーラインは横に置いとくとして、バトルの途中に木の実をむしった瞬間に笑ってしまった。絶対その木の実で化粧するじゃん……!と思ったら案の定だったのでさらに笑った。
「王の凱旋」でもっと面白いシーン観られるといいな……。

#バーフバリ #映画 #感想 #エッセイ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?