キャラ萌え女がジャンルから離れた理由

これはとあるキャラ萌え女が、その時ハマっていたジャンルから離れた理由をなんとなく書き連ねたものだ。自分用の整理も含めて書いており、別にそのジャンルに何かお気持ち表明したいだとか、そういうわけではない。
ただ、なんとなく「こういうやつも世の中にはいるんだなぁ」くらいに思ってくれれば充分だ。

私は当時、とあるジャンルのとあるキャラにハマっていた。
そのキャラはいわゆる敵役というやつで、主人公とははっきりと敵対していて正直好きな人は好きだけれど嫌いな人はどこまでも嫌い、そんなキャラだった。けれど私はそのキャラを当時非常に推していたし、人生で初めて同人誌も出した。勿論、今でもそのキャラのことは好きであるし推しているし、その時お世話になった界隈の人たちのことも好きなままだ。


けれど、もう2度とあの界隈には戻らないと決めている。


どうしてか。これはひとえに私自身の問題であった。
別にリアルでの生活が忙しすぎてしている余裕がないとか、病気等で心身的に難しい状況であるとか、同人活動で嫌な思いをしたとか、そういうことではない。
単純明快に私が原作が読めなくなってしまったからだった。
私は元々かなり漫画やアニメを選り好みするタイプだ。別に設定が……とかこのジャンルはこうだから……とかで選んでいるわけではなく、どうしても主人公たちの語る『正義』だとか『勧善懲悪』であるとかが受け入れられないことが多いという面倒臭い質を持っているためだった。
主人公との価値観の違いやギャップについていけきれず、彼らの話す主張と1人で勝手に解釈違いを起こしているだけである。
勿論、自分が面倒臭いやつであることは重々承知であるため、解釈違いを起こしそうな作品を読まない、読んでしまっても騒がず1人で呻いて過ごしていた。単に自分がその作品の求める客層ではなかっただけの話であるのだし。
けれど、私がハマっていたその時のジャンル――仮にAとしよう――を読んでいた時私はまだこの面倒臭い質をそこまで拗らせてはいなかった。友人に勧められ、少しずつ漫画を借りていく中で私はAの中に出てくるキャラ――仮にBとしよう――を大好きになっていったのだ。出番こそは少なかったがBが出てくるところは何度も読んだし、アルバイトの出来ない学生時代にハマったため少ない小遣いをやりくりしながらBの出てくる巻を中心に原作を集めたりもした。
けれど、時が経ち原作の話が進んでいくにつれ私はどうしても我慢ならなくなってきたのだ。

そう、あの面倒臭い質が疼いて仕方なかったのだ。

主人公たちが話す内容が悉く合わないし、ムカつく。
主人公の味方たちが語る内容が理解は出来ても飲み込めない。
Bのことは好きなのに原作がどんどん読めない、読むと心が掻き乱れる。

あまりにも苦しく、辛い状態だった。

正直、普段であればその時点でAを読むのをやめて界隈からも離れてしまえば良かっただけである。
けれど、私はBが好きだった。Bの界隈にいる人たちも好きだった。
好きだったのだ。
好きで、離れられなかったのだ。
でも、Bが好きな人というのは当然A自体が好きな人でもあるわけで、Bの話をしていると自然とAの話をしていくことになり、自分1人がどんどん勝手に追い詰められていった。Aが好きな人の前で「A嫌い」だなんて言えなかったのだ。しかもAに出てくるBが好きであると公言し、同人誌まで出しているくせに。創作も楽しいし、界隈の人と話すのも楽しい。イベントに参加するのも好きだし、Bについて語り合うのも好きだ。

けれど、私の心は限界だった。
もう無理だった。
原作の主義主張の何1つが受け入れられないのに、これ以上笑顔を浮かべながら話すのは無理だった。

故に、とうとう離れることにした。
ちょうど原作の方も一区切りつき、自分のリアルもほんの少しだけ忙しくなって、ちょうどいい、と自分に言い聞かせながら界隈からも原作からも離れることにしたのだ。
正直、離れると決めた時「きっと少し落ち着いたらまた読める様になっているだろう」と思っていた。今の自分にほんの少しだけ余裕が消えてしまって読めないだけだと。
でも、ダメだった。読めなかった。それどころか、離れると決める前よりも読むと心が乱れてしまったのだ。
愕然とした。あんなにも好きだったのに、もう私は完膚なきまでにAの客ではなくなっていたのだ。Bを好きな気持ちは今でもあるけれど、もう私にAを語る資格などなくなっていた。とっくの昔になくなっていたはずなのに、私はこの時ようやっと思い知ったのだ。
悲しかった。
好きだったものを自分側の問題で受け入れられなくなってしまうのは。
本当に、悲しかった。
今でもAを見る度にちょっぴり悲しくなる。
けれど、やっぱりこれは私の問題であることは分かっているのだ。だから、その界隈やジャンルを恨むこともなければ、Aのアンチにならずにひっそりと完全に姿を消した。

今では別ジャンルにて元気に活動をしているし、今まで以上に自衛も上手くなったと思う。その時の界隈の人とも時おりA以外のことをお話してもらうことだってある。
だから、あの時の私の『離れる』という決断は間違いではなかったと今でも思っているし、今後も自分の精神的に辛くなったら例えどれだけそのジャンルやキャラが好きであっても離れるべきだと、私は私の中で結論付けた。
趣味のことである。人生を楽しくできるようにしていきたいと思う。

これは、ただそういうことだった。
もしも、同じようなことで悩んでいる人がいたのなら(よほどいないと思うけれども)、自分が害になってしまう前に離れるという選択肢があることをどうか思い出してもらえたらと思う。

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