Chikahiro Hanamura

大学准教授として研究するかたわら、デザインや美術などの芸術表現、映画や舞台などでのパフ…

Chikahiro Hanamura

大学准教授として研究するかたわら、デザインや美術などの芸術表現、映画や舞台などでのパフォーマンス表現も行う。

マガジン

  • 親指の哲学

    フェイスブックでの日々のつぶやきをアーカイブするページ。ひと月ごとに投稿をまとめて、適当なタイトルをつけています。スマホでいつも入力するので、親指が思考しているかのよう。

  • 自己という病

    「スキ」があまりに多かったので、もう少し掘り下げて思考しながらこちらで溜めていければ思って作りました。

  • 聖地のランドスケープ

    世界中の聖地のランドスケープの構造を解明するためのフィールドワークの軌跡。

  • ダンマの呼び声

    宇宙について考えたい

  • 生命表象学

    細分化された科学領域を、生命とその表現形態から包括する新しい学問のための試論

最近の記事

「光と闇と色彩と」(2023年8月)

●8月1日/1st Aug  長老との対談の中で、輪廻転生のメカニズムについて何度かやり取りしているが、その中に"人工知能への転生"の可能性について二人で話している下りがある。このあたりは超絶面白い所だが、日本のアカデミズムではキワモノ扱いされてしまう。  こういう箇所を原稿整理の際に落とすべきか悩む所だが、忖度して世に出ないのも勿体ない。結局は誰が読みたいのか、そして誰が応援してくれるかにかかっているのかと。 ●8月2日/2nd Aug  後期の「環境デザイン通史」、デザ

    • 「意図とは違うことが起こる」(2023年7月)

      ●7月1日/1st Jul ヒトは「正しい動機で正しい行動をし」、「間違った動機で間違ったことをする」。それはある意味で原因と結果が直線的な因果法則で結ばれている場合だ。 それに対して、自然界には運動方向に対して90度の方向に働く"プリセッション"という力があるため、直線的な因果関係で物事が進んでいかないことがある。それが未来を予測することを困難にし、物事を計画通りに行かせない要因になったりする。 このプリセッションが働くので、ヒトは「間違った動機から正しいことをする」場合が

      • 「現実とはフィクション」(2023年6月)

        ●6月2日/2nd Jun 芝公園の中にある丸山古墳をフィールドワークする。今回はトリフィールドメーターを持って諸々計測もしたが、もう少し手法の検討が必要。丸山古墳とその麓にある円山随身稲荷大明神は増上寺の裏鬼門にあたり、ここは洪積層の地盤上だ。ここより下は縄文期には海だった。 当時の岬にあたるこの場所に増上寺が作られ、東京タワーが作られていることは偶然ではないように思える。我々が考えている以上に現代というのは古代からの影響を受けている。それを知っている者は意図的に場の力を

        • 「ゆっくり育つが急に終わる」(2023年5月)

          ●5月1日/1st May 「しゃべる者は知らない、知る者はしゃべらない」 ●5月3日/3rd May まなざしの革命放送をポッドキャストで続けて来たが、もうそろそろ潮時かなと感じている。これまでの放送がどう受け止められたかはあまり聞こえて来ないが、続ける意味を失いつつあるということもある。 それ以上に、そもそも聞いたところでシステムに絡め取られて何も出来ず、他人事として眉をひそめながら神妙そうに理屈を語る大人しかいないならば、直接子供に語った方が良いのではないかと思い

        「光と闇と色彩と」(2023年8月)

        マガジン

        • 親指の哲学
          57本
        • 自己という病
          10本
        • 聖地のランドスケープ
          16本
        • ダンマの呼び声
          7本
        • 生命表象学
          24本
        • 進化の行く末
          15本

        記事

          「自我は隠される」(2023年4月)

          ●4月2日/2nd Apr 春になり新しい生命がまた芽生え始めてきた。テントウムシが後尾をしている隣で、カメムシも後尾をしている様子を見つけたので、じっと観察する。虫たちはほんのわずかな時間しか生きることが出来ないので、生命のリレーをすることに命がけだ。我々はそんな短い時間しか生きられない虫たちの命を、いとも簡単に奪ってしまうことがある。だがそんな権利は本来ないはずだろう。 ●4月4日/4th Apr  免疫系の働きを突き詰めると、身体という生態系の世話をすることであり、異

          「自我は隠される」(2023年4月)

          「賢者の試験」(2023年3月)

          ●3月1日/1st Mar 神奈川県公立高校の国語の入試問題に、拙著「まなざしの革命」を使用した旨のご連絡を教育委員会より頂く。全く同日に過去問を作成している出版社からも掲載の許諾の書類が届いた。試験自体は2月14日だったらしい。教育委員会からの手紙にもカタカナでハナムラチカヒロ先生と書いてあるのが、ちょっと面白い。 ●3月2日/2nd Mar また拙著「まなざしの革命」から入試問題に使用した連絡が先ほど届いた。立教大学の入試のようだが、なんと拙著の第1章「常識」の冒頭部

          「賢者の試験」(2023年3月)

          「アートの意図」(2023年2月)

          ●2月1日/1st Feb これまでの社会の枠組みの中で優秀とされて活躍しているほど、その枠組みそのものの矛盾にはなかなか気付きにくい。その枠組みの外にいると簡単に理解できる矛盾であっても、枠組みの中心に近いほど何の矛盾もないように見えるのだから。 ●2月2日/2nd Feb 超人と凡人という区別に囚われてまなざしを固定化すること自体が貧しい。「超人の凡人性」や「凡人の超人性」という観点に乏しいからだ。どんなものでも二項に分けて捉えることでひとまず整理はされるが、分けられた

          「アートの意図」(2023年2月)

          「神話の考察」(2023年1月)

          ●1月1日/1st Jan 新年明けましておめでとうございます。旧年中はお世話になりました多くの方々にとっても、本年が良い年でありますように。 僕自身は今年は世界がどうであろうと良い年にすると決めたので、その方向に進んでいく。新年早々に、文化人類学者の辻信一先生から出版前の新刊本「ムダのてつがく」が届き、幸先の良いスタートを切る。 ●1月3日/3rd Jan 元々、初詣になどほとんど行ったことがないのだが、呪のレイヤーを理解すると里宮での遥拝からますます足が遠のく。そんな

          「神話の考察」(2023年1月)

          「知性の罠」(2022年12月)

          ●12月1日/1st Dec 自分の中でモノを考えるときに自然科学、社会科学、人文科学の三つの補助線が並走するが、トピックによって優先順位が入れ替わる。今三つくらいの原稿を同時に書いているが、器用に使い分けないとふいにモノが書けなくなることがある。 ●12月1日/1st Dec この現代社会は近代化を経てすっかりと脱魔術化し、迷妄な心の力を隅に追いやったと思い込んでいるが、今もって現代社会を動かす力学の中心には"呪い"がしっかりと据えられている。  そんな社会を読み解くのに

          「知性の罠」(2022年12月)

          「ほんのわずかな時間に」(2022年11月)

          ●11月1日/1st Nov 今日から11月に入る。世界情勢や政治的な状況について、今更ここであれこれ言うつもりはないが、報道されてることもされていないことも併せて総合的に見ると、かなりなことにはなってきているように思える。アメリカ大統領の中間選挙も迫り、今月あたりから山場に差し掛かるかもしれない。 丁度一年前に「まなざしの革命」を書き上げた頃は、まだ何とかなるような気もしていたので、ギリギリの所を書いた。もちろんその後もあちこちで訴えかけては来たが、そもそも聴く耳を持たな

          「ほんのわずかな時間に」(2022年11月)

          「大地の流れ」(2022年10月)

          ●10月4日/4th Oct 岡山のアーティストの金考姸さんにハナムラもタグ付けしてもらいましたが、9月30日より「岡山芸術交流2022」という現代アートのイベントが行われています。 アーティスティックディレクターにタイの現代アーティストのリクリット・ティラヴァーニャが起用され、彼のオイルドラムステージという作品も展示されています。 これは彼の社会彫刻の考え方を表現する場で、市民や様々な表現者がこのステージで出来事を繰り広げることで完成します。 岡山の伝説のライブハウス「ペ

          「大地の流れ」(2022年10月)

          「二度と会うことはあるまい」(2022年9月)

          ●9月3日/3rd Sep 本日は関東の桐光学園で講演。この学校は「大学訪問授業」という名物プログラムがある。現校長の中野先生を中心に2004年から続いているプログラムで、毎回講師で呼ばれる方々が豪華なことで有名。 2007年度からは講義内容が書籍化されて、20刷を超えるぐらいのベストセラーになっている。(ちなみに昨年は表紙に大友克洋のAKIRAが使われていた) 今年の講師もドミニク・チェンさんはじめ豪華なメンバーで、「まなざしの革命」の帯を書いてもらった山極壽一先生や

          「二度と会うことはあるまい」(2022年9月)

          「世界のはじまり」(2022年8月)

          ●8月3日/3rd Aug 今年に入り、にわかに「戦争」がリアルに感じられる局面に入ってきた。未だ遠くの国で起こる惨事だという認識を持っているかもしれないが、もう既に着々と準備は進められていると見ていいだろう。 それは情報操作、価値観の刷り込みが浸透したままでの我々の日々の小さな選択や一人ひとりの意思表明、そして何より「関心の低さ」よって徐々に導かれてきた。 少し長いが今一度、拙著「まなざしの革命」の第三章「平和」から以下に引用する。この章は元々「戦争」というタイトルだ

          「世界のはじまり」(2022年8月)

          「偶然の計画」(2022年7月)

          ●7月2日/2nd Jul ふーん、今度は通信障害ね。色々と大変なことですな。 ●7月3日/3th Jul 4月に生まれた子やぎ達が立派に大きくなった。最初は草も食べれなかったのに、今では凄い勢いでジャガイモの葉っぱを食べる。6月に生まれた2匹の子達ももう草を食べれるようになった。 ツバメが何匹も騒がしくしているからどうしたのかと近づいてみると、ヒナが1匹巣から地面に落ちて戻れなくなったらしい。まだ飛べないのだがツバメたちではどうすることもできなかったので、指に乗せて巣に戻

          「偶然の計画」(2022年7月)

          新聞連載「現代アートの見方を知れば 世界の見方が変わる」

          教育新聞でハナムラの連載が始まります。「現代アートの見方を知れば世界の見方が変わる」というタイトルです。 全13回の連載で第1回目は無料でご覧いただけます。全国の小中高の学校で購読されている方が多い新聞ですが、今回は美術以外の教科の先生も読んでいただけるように工夫しています。 現代アートの「解説」ではなく、「見方」にフォーカスして、できるだけ専門的な知識や用語を使わずに書いていますが、現代美術の作品をイメージ写真として毎回一枚載せるようにしております。 第1回目の写真は十和

          新聞連載「現代アートの見方を知れば 世界の見方が変わる」

          高校生たちの感想

          先月、神奈川の桐光学園で高校生たちに講演をした。その時の司会をしてくれた生徒が、他の生徒から講演の感想を集めて送ってくれた。大人に話す以上に熱が入ったが、予想以上に皆さんに響いたようでとても嬉しい。 内面の観察能力や言語化能力の高い生徒もいて、読むことで学びになると思ったので許可をもらってシェアする。もちろん送ってくれた感想なので基本的にはいいことしか書かれていない。だが、あの話で何をどこまで理解したのかも確認できるし、今の高校生がどんなことを考えているのかに触れれるのは個

          高校生たちの感想