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処方された抗生物質のほぼ4分の1は不要な処方だった

Nearly a quarter of antibiotic prescriptions for children and adults may be unnecessary
by University of Michigan
Medical Pressより
JANUARY 16, 2019

 ミシガン大学医学部の最新の研究によれば、2016年のアメリカでは、子どもの 10人に 1人、そして大人では 6人に 1人が、処方される必要のない抗生物質を処方されていたことが示された。
 全体として、7人に 1人の患者たちが不要な抗生物質を投与されていたことを研究者たちは見出した。
 研究では、2016年に民間健康保険に加入している 18歳〜 64歳の 1920万人のアメリカ人の小児および成人に対しての抗生物質の処方のうち、その 23パーセントは医学的に処方の理由が正当化できないものだった。
 適切だと判断されたのは全体の 36パーセントだった。また、28パーセントは診断内容と関連しなかった。
 抗生物質の処方の妥当性についての最新かつ包括的な推定を提供するこの研究は、医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal / BMJ)に掲載された。
 ミシガン大学小児病院および UM ヘルスケア政策研究所の研究者であり小児科医でもある主執筆者のカオ・ピン・チュア(Kao-Ping Chua)博士は、次のように述べている。
 「何十年にもわたり、医療環境の改善と、正しい医療教育を推進してきたにも関わらず、医療提供者たちは、依然として処方する必要がない疾患に抗生物質を処方しています。その多くは患者さんたちの自己治癒力で治るものです」
 2016年には、アメリカの個人保険に加入している 1920万人のうちの約 760万人(40パーセント)が少なくとも 1種以上の抗生物質を処方されていた、そのうちの約 270万人(14パーセント)は少なくとも 1種以上の不適切な抗生物質を処方されていた。
 保険に加入しているうちの成人は 1,460万人で、そのうちの約 220万人(15パーセント)が少なくとも 1種以上の不適切な抗生物質の処方を受けていた。
 子どもは 460万人で、そのうちの 49万745人(11%)が、少なくとも 1種以上の不適切な抗生物質の処方をされていた。
 最も一般的には、気管支炎や風邪、あるいは咳などの関連症状に対して抗生物質が過剰に処方されていた。これらは抗生物質で改善する症状ではない。
 360万件の不適切な抗生物質の処方のうち、71%が病院および診療所で、6%が緊急治療室、そして 5%が救急部門でのものだった。
 最近のアメリカ疾病予防管理センター(CDC)の研究によると、子どもの場合では、有害な薬が原因での事象で緊急治療室に搬送される主な原因は抗生物質だ。抗生物質で起こり得る副作用には、アレルギー反応、真菌感染症、下痢などがある。
 長期的な懸念としては、抗生物質の過剰な使用が抗生物質耐性菌の発生に寄与していることであり、これまで抗生物質で簡単に治療できた病気が治療不可能で危険なものになることだ。
 CDC によると、アメリカでは毎年 200万人が抗生物質耐性菌の感染症に罹患し、2万3000人が死亡している。
 アメリカ全体のデータによると、毎年およそ 2億 7000万件の抗生物質の処方が行われている。
 「抗生物質耐性は世界の公衆衛生に対する最大の脅威の 1つであり、医療提供者が患者に処方する多数の抗生物質が耐性の主な推進力です」とチュア氏は言う。
 そして、「医療提供者は、患者と社会の両方のために、必要ではない抗生物質の処方を早急に排除する必要があります」と述べた。


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