火性について

 火性は動物としての生きる土台です。この性質が弱ると生きる意欲が衰弱します。火が高くて鬱ということはなく、鬱とは火の弱まりと一致します。人生におけるあらゆる喜びの母体なので、人生を意味付ける土台です。これ無くしては人生の意味を語れないくらい大切な性質です。
 同じ意味で生きるのに酸素が必要不可欠ですが、酸素は猛毒の活性酸素を生み出します。生きるためには酸素は必要ですが吸った酸素の2パーセントは毒の活性酸素を作ります。
 同じ意味で火は活性酸素のような毒を生み出して、その火の力によって自分自身や他者を燃やして人生を台無しにする危険性を孕んでいるのです。

 火とは欲望のことです。盛んな欲望の火は人生に刺激を与え活力を生み出しますが、欲望の向き先によっては当人や他者を破滅させます。欲望の火をコントロールする力が弱いとせっかくの火が業火となって身を滅ぼします。これがないと人生を単なる火遊びの場としてしまいます。

 火をコントロールするものに木性の判断力があります。火の勢いを弱めるのではなく、あくまで火の向かう方向性を指し示します。水性の水は火を弱めるのみです。木に力が無ければ水で加減する必要もあるのです。水は火が過剰で思わぬ延焼が広がりそうな時に緊急安全装置です。木に力がなく水にも消火する力が弱ければ色々困った状況を招いてしまうでしょうね。
例えば言ってはいけないことを口走ったりする舌禍で顰蹙を買い立場を危うくします。自分の立っている場を理解する木の判断力不足と他者の感情が読めない水の不足が舌禍を起こすのです。

 ありのままが良いというセラピストにそそのかされてはいけません。思ったままに、つまりありのままの自分の感情を表現するのは無垢な幼稚さを見せるだけです。
 火性の人は低い次元においては物質的欲望の火を燃やして経済力に見合わない買い物をしてしまい、債務地獄に陥ります。あるいは感覚的シゲキにさらされて何かの中毒や依存症にもなりやすいのです。
男性であればギャンブル中毒やアルコール依存ですね。これらは破滅しかないですが、実は目に見えない破滅はたくさんあるのです。セックス依存もあればお金中毒や依存症です。お金を稼いで成功しているように見えても家に帰ると冷え冷えとした風が吹いている状況の人も多いのです。

 恋愛依存症もありますね。この依存症は嫉妬の火を絶えず内心に燃やしています。いずれも共通項は視野に自分しか見えていないことです。いえ、自分の全体が見えていれば良いのですが、自分の感覚と感情しか感じていないのです。火の力は人生を逞しく生きるに必要ですが、火のコントロール力が必要です。よりよく生きるためには木の判断力が必要なのです。

あすなろ日記より

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