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シミュレータパイロットは日本を変える

Microsoft Flight Simulator 2020の売れ行きがすごいです。あのリアルさは息を飲みます。単純に景色を見ているだけでも十分に楽しめる。下の写真には動画がリンクされています。その景色をまずはご覧ください。

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地元の空を飛んでみる

馴染みの地形、街並み、山川湖海などの自然、リアルな建物まで。ドローンでリアルのリアルももちろんいいけど制限されている空域もある。ゲームだと自由にみることができる。

誰にだって一度は空を鳥のように飛んでみたいと思ったことはないだろうか?それが今ではゲームの中でできてしまう。

行ってみたいところを飛んでみる

コロナ渦で巣篭もり状態の中、海外旅行もオンラインで実施する時代。ならいっそのこと空から観光してみよう。現地に行って遊覧飛行することが絶対に感動するのは百も承知。でもなんちゃって海外旅行を自分の手で遊覧飛行なんていうものアリだと思う。

地球のどこでも一瞬で行ける。今日はヨーロッパ、明日は北アメリカ、明後日はアフリカ。HIS澤田会長がテレビ番組で言っていた。

海外旅行のオンラインツアーは将来はリアルツアーと同じくらい、いやそれを上回る需要が出る。格安で数多くの現地をみるチャンスが増え、その中から実際にリアルにいくところを決めるという流れになる。

遊覧飛行ではどの国でも航空法により最低安全飛行高度が定められている。当然街並みを鳥のように低い高度でみることはできない。でもゲームなら可能。

コロナ渦で全ての動きが制限されている今だからこそ、ストレスを抱えている人間の心理として、このゲームが爆発的に売れている理由の一つでもあるだろう。

航空の裾野が広いアメリカ

人口が日本の約2.7倍のアメリカは、パイロット資格を持つ航空人口が日本の65倍と圧倒的な差を持つ国。空港の数は日本が約100に対して、アメリカは約20,000とこれまた200倍以上の差。

野球のメジャーリーグは野球選手の憧れの舞台。30チームのメジャーリーグの下のマイナーリーグにはAAAレベルからRokieレベルと7つのレベルが下にぶら下がっているというのは有名な話だ。200を超える最下位レベルから30のメジャーリーグを構成するピラミッド型になっている。最下位のRokieレベルの下には町の野球チームや大学チーム、そして高校チームなどいくつもの野球環境が整備されている。

つまり小さい頃から野球をする環境があって、花形選手を夢見るような教育システムが構築されているのだ。

パイロット業界も似ている。最上級にはメジャーエアライン、その下にコーポレートや地域航空などのパイロット達。そして最下位レベルに位置するフライトインストラクターパイロット達。

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出典:Cirrus Aviation

身近に飛行機があるアメリカでは驚くほど簡単に小型飛行機に乗って実際に操縦してみることが可能だ。冒頭に書いた自分の街をリアルに見て感動することや、フレンドリーなインストラクターパイロットとの話しで航空に興味を持ってもらう活動が非常に盛んだ。今できる操縦体験という選択肢でも書いた通り。

航空機の製造メーカーが多く存在するアメリカ、100を超える航空大学が存在するアメリカ、航空宇宙局はトムクルーズと共に宇宙で映画制作をすると発表するなど、航空宇宙業界の世界の先端を走るアメリカ。そんなアメリカの活動は実は一番下の航空の普及活動も世界一なのだ。裾野が広く充実しているからこそトップが世界一になれる。

EAA Young Eagle Programとは8歳から17歳の子供達に無料でフライトを提供している。これまで2万人以上の子供達に夢を与えている事実。羨ましい限り。写真は自身もパイロット資格を持ち普段からフライトしているハリソンフォードがこのプログラムにも何度も参加しているもの。

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日本では無理

航空の裾野が無い日本

飛行機が少ない。パイロットが少ない。だから飛行するのに目玉が飛び出るほど高い。簡単に操縦桿も握らせることができない。航空法違反となるから。操縦桿を握るには航空身体検査を受けなければならない!アホな話だ!とアメリカの航空業界を経験し操縦教育の専門家としては断言する。とは言え文句を言うパイロット人口も少ないので小さな声は国も世論も気にしない。悲しい日本の空の現状。

そんな日本も航空産業を持つ国の一つである。航空宇宙産業を担う人材に本当の空の楽しさをどこで知ってもらうのだろうか?本気で航空宇宙産業を担う人材を子供の時から育成しようと思っているのか?

そんな日本を変えるかもしれない。それが冒頭に書いたMicrosoft Flight Simulator 2020と勝手に解釈している。日本式航空普及・航空の裾野拡大に一役買うのではと本気で期待している。

とにかく楽しめばいい

楽しくなければ興味がわかなければ動かない

パイロットがエリートやスパルタ式教育と思っている誤解

まずは誰でも気軽に楽しめる空の世界を実現できるのがゲームの世界

ゲームの世界からリアルの世界へ

そうやって現実にゲームからリアルの世界へ飛び出し、パイロットになっている人もいるのである。

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もちろんゲームだけの世界でも十分楽しめるし、そこで極めることも貴重であると思う。中にはいろんな飛行機を操縦できる人もいる。ある意味羨ましいとも思う。そこを極めることもめちゃめちゃ面白そうだし意義あることだと思う。

現実的には様々な飛行機を飛ばせるようになるにはそれなりのお金と時間がかかる。世界中を飛び回るパイロットだって数が限られている。

そんな中様々な飛行機を飛ばす(何機種飛べるかという競技)、世界中を飛ぶ(幾つの空港を制覇したかという競技)というこれまでのリアル航空の常識を覆す面白いイベントが出てきてもおかしくない。

もしかしたら日本の航空宇宙産業を担う人材がそこから生まれるかもしれないのだから。

もしかしたら地球を歩き回る達人になっているかもしれない。観光業界かもしれない。世界文化比較業界かもしれない。海洋自然系や山岳自然系、はたまた動物系かもしれない。バーチャルでも世界をみるというのは何かのきっかけになる可能性があると思う。昔は図鑑で夢をふくらましていた時代もあったのだから。

ゲームの世界をもっと面白く

適当にエンジンをかけて、離陸して、着陸してもちょっと失敗してもゲームの世界では全く問題ないこと。

もしエンジンのかけ方から、離陸の仕方、着陸の仕方が本物のインストラクターパイロットから教わることができたとしたらどうだろうか?

タッチアンドゴーが一人でできるようになったらどうだろうか?

一度基本ができると世界中のどの空港でもできてしまう技術

これまでの世界を飛び回って景色を楽しむ他にもう一つ

本物の操縦に一歩近づくことになる

さらに楽しみが倍増される

そうやって上の動画の二人は本物に進み、現在は航空人口の増加・航空の普及と言う活動に尽力しているのだ。

もしかしたら日本の航空宇宙産業を担う人材がそこから生まれるかもしれないのだから。

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